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第五四八回('15年5月17日 放送)
 「スタート『新安保法制』論戦」
 ゲスト: 小野寺五典 氏 / 細野豪志 氏

御厨

「さあ、ポイントの周辺事態法の改正で、日本の「周辺」を取っちゃったわけですね。この点を小野寺さんはどうお考えになるか。日本の平和と安全に資する活動なら、世界に自衛隊を派遣することが可能になるというふうに言われていますけど、いかがでしょう」

小野寺

「まず、今から約20年前くらいまでは防衛力の色んなレベルというが今ほどやはり向上していなかった。例えば北朝鮮の弾道ミサイル対応っていうのはどんどん広がっています。同じように世界にですね、色んな武器の技術向上があります。ですから今まで日本の周りで起きていたことが、そのまま放っておくと日本の問題になりますよ、というのが周辺事態だったんですが。遥かにその安全保障の環境が世界に広がっていて、そして例えばテロの問題、今回のISの問題もありますが、色んな形の問題がそのまま放置すれば、牽いては日本に影響が及ぶかもしれない。こういう時に関しては、日本としてはしっかり対応する必要がある。そう思っていますし、また、国際社会でやはり一致して、国連決議でですね、このような問題に国際社会で一致して立ち向かおうという決意があった時に、日本として、じゃあ何もしなくていいのか。その時に日本が出来る限りの後方支援をするとか、そういう役割をするという法整備が今回できたと思うんです。ひとつポイントはですね、今回の国際支援法に関しては、恒久法という形で法律になっています。これは自衛隊員としては、大変必要なことなんです。なぜかと言うと今まではですね、特別措置法という臨時の法律を作って、その度に海外に行くんですが、国会で審議している間は実はまだ決まっていなので、自衛隊員は準備はできません。で、国会で決まった後は何ですぐ行かないんだと、国会で言われますから、自衛隊員は慌てて行くことになります。普段の準備も装備もない中で慌てて行くよりは、初めから、こういうことが想定されて国会でしっかり承認されたら行くことがありますよとなれば、装備も訓練も充実して出来ますので、むしろ安全に任務が行える。私はもし国際社会に貢献するんであれば、むしろ、一般化法という形で、十全化の備えをしてもらった方が隊員の立場からするとありがたいと思います」

御厨

「細野さんどうですかこの点」

細野

「はい、そうですね。周辺事態という概念は残した方が良いと思います。もちろん脅威は多様化していますので、様々な問題に日本がどうこれから関わっていくのかという議論は必要ですよ。ただ、周辺事態というのがなぜできたかというと、それはもう我が国の自衛のそのものに直結をするですね、特に朝鮮半島有事を想定して当初出来たわけですよ。それは我が国の有事そのものに直結をするから、そこは半歩もしくは一歩前に出てですね、様々な後方支援を含めてですね、一体化はしないんだけども、やれるとこまではやろうということですよね。ただ、今回は弾薬の輸送までやると。これはですね、我々は一体化していないと。もちろん、そういう理屈で言うのかもしれないけれども、相手国から見ればですよ、弾薬を運んでいるわけですから、それはもう戦闘に参加していると言う風に解釈される余地ありますよね。それを周辺だけではなくて、世界中どこでもやれますということを、本当に国民が求めるかどうかですよ。ですから、我々の考え方、民主党の考え方というのは、近くについては、現実的にやっていこうと。ですから必要な法律を出します。しかし、遠くについては、これはこれまで同様、抑制的にやると。そして、人道支援ですね、PKOなどの現実的な人道支援については出来る限りしっかりやっていこうと、これが民主党の方針です」

御厨

「去年総理の会見で、朝鮮半島で戦争が起きて、そして子どもを抱えたお母さんを乗せたアメリカの艦船が攻撃されたら、守らなくてはならない。という総理の会見でパネルを使った話というのが、どんどんどんどん、印象ですよ、広がって、地球規模でアメリカ軍を手伝うという事で、日本が守ってもらえるという、それが抑止力を高めるというそういう考え方ではないかなという感じもするんですが、細野さんどうでしょう」

細野

「私もそう思いますね。はじめは限定的な話からスタートしてですね、随分広がったなと。ですから小野寺さんもさっき例として上げられたような、国民の命を守っていくと、日本政府がやらなきゃいけないことは我々も真摯にやりたいと思います。ただ、今小野寺さんがおっしゃったような、世界中何があるかわからないと、確かにそうでしょう。それは色んな日本に間接的な脅威にはなるかもしれない。しかし、直接的に日本と戦争をするという話からは随分距離がありますよね。そのことまでこの1年間で議論が尽きて、そして政府としてそれに対応できる法律を作るという感覚は、ちょっと私は違和感がありますね」

御厨

「どうでしょう小野寺さん」

小野寺

「大切なのはですね。法律とか制度というのは確かに条文になっていて、そして法律がひとつの形を取るんですが。やっぱり細野さんがおっしゃったように様々な懸念とか、どうなんだろうということに関して、それを読んだだけではわからないですよね。これは国会の仕事なんです。国会で総理がどのような発言をしたか、大臣がどういう発言をしたかということは政府の方針として、ずっとこれからも政府を縛ることになります。ですから私がお願いしたいのは、大切な国会です。大切な国会の中で、今細野さんがおっしゃった不安、懸念。おそらく国民も同じように思っていると思います。それをひとつひとつを確認をして頂いて、そこで出てくる総理の答弁というのがその方針ですから。なるほどと、集団的自衛権の限定行使、容認というのは、なるほどこういう時は出来る、これは出来ないと。あるいは先ほど言ったように、周辺という言葉を取りましたが、重要影響事態というのは、こういう場合は日本にも放っておくと影響が出るから、これは日本として支援する。だけどこういうのは出来ない。そういうですね、ひとつひとつの出来る出来ないを明確にしていく。これが国会だと思います。そして、これが逆に言えばこれからも、この法律に基づく政府を縛ることになりますから。ですから大変重要な国会だと思います」