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第五三七回('15年2月22日 放送)
 「スタート新年度予算案本格論戦」
 ゲスト: 武村正義 氏 / 片山善博 氏

御厨

「ペルシャ湾の掃海艇の派遣ですね。これまでは、休戦中に限って派遣するという事でした。今度は相手国から武力行使とみなされる休戦中ではない時にも派遣できるようにする事の検討が始まったというわけです。先ほどちらっと武村さんもおっしゃいましたけど、武村さんこれについてどうお考えでしょう」

武村

「とにかくホルムズ海峡という大変大事な海峡ですが。そこに機雷を撒かれたとしたらですね、それをのこのこ日本の自衛隊が行ってどんどん排除すれば、その機雷を撒いた国の意に反する行為ですから、当然その国との戦争を覚悟しなきゃならない。そこで日本との戦争が始まるかもしれない。それはかなり踏み出した事になりますよね。安倍さんの言うほど単純じゃないなと私は思って見てます」

御厨

「片山さんはいかがですか」

片山

「今、自民党と公明党で議論始まりましたけどね、これは言うなれば、去年の閣議決定に照らし合わせてこれが閣議決定の範囲内に入るかどうかの議論をするんだと思いますがね。そもそもその閣議決定というのが憲法9条から見たら、例えてみればゴムひもでいえば相当伸ばしている訳ですよね。今度はその伸ばしきったゴムひもから更に伸ばすかどうかの議論をしてる訳でして。やはり原点に戻って、今回の議論の対象となっている行為が、憲法9条から見てどうなのかという議論にしなきゃいけないですよね。伸ばしたゴムひもの閣議決定からでは本当はないはずなんです」

「で、私はね、この問題はこれで法律になれば国会で議論されるんでしょうけど、歯止めはやっぱり最高裁なんですよね、憲法解釈ですから。今は政府が出したひとつの言うなれば学説みたいなもんですよね。その学説に基づいて法律を作った時に、それが憲法に抵触するかどうかってのは司法の判断ですから、どこかで司法の判断を仰げるような算段はないのかなっていう気はするんですよね。このまま政府がどんどん独走するんじゃなくて、どこかで司法が判断を加える。これ訴訟にならないと判断出来ないっていう建前になってるんですけどね、どこかでなにか訴訟の糸口でもないのかなって気がするんですけどね。そうしますとね、ある程度メドがつきますよね、良いのかどうかってのは」

御厨

「まあ裁判所に行く手前の話ですけど、武器輸出3原則の見直しとか、あるいは集団的自衛権の見直し、そして武村さんが言われたODA、これも他国軍への支援にも使うと。こういう戦略転換が、要するに国会での本格的な議論がないままに進んでいる。この事態を武村さんはどう思われます」

武村

「そこがやっぱり心配ですね。国会の議論もそうだし、マスコミの紙面やテレビの議論もほとんどないから国民は分からないですよね。だけど結果だけがどんどん進んでいくと。武器輸出の問題だって、あれは禁止する三原則なんですね。それをこんどは武器の輸出を奨励するような三原則にガラッと変えようとしてましてね。ものすごく大きな転換ですね。だからこれが一内閣の判断でポンと決まってしまうと、何十年も守ってきた日本の原則がそれで壊されるというのは、ものすごく納得がいかない。その最たるものがこの集団的自衛権の閣議決定ですけどね。なんか全体に日本が右傾化しているという言い方もありますけど、やっぱり安全保障とか防衛という一番この国の大事な問題の方向がぐぐっと変わろうとしているということを非常に危惧します」