時事放談 トップページ 毎週日曜あさ6:00〜6:45
過去の放送 出演者 時事放談「サロン」 テレビプロデューサーの日々
 
 
第五三二回('15年1月18日 放送)
 「まもなく通常国会」
 ゲスト: 武村正義 氏 / 丹羽宇一郎 氏

御厨

「予算の金額が96兆円と、過去最高と言われてます。その中で整備新幹線の建設が入っているという事ですが、武村さんこの点どう考えますか」

武村

「私は日本の予算を考えるともう真っ先に浮かぶのは巨大な財政赤字ですね。どうするんだろうと。もうご承知のように国、地方の長期債務1035兆円になりました。一年間の税収の20倍の借金を抱えていてですね、これちょっと返せる展望は見いだせません。それくらい大きいです。しかし、それに比べると台所が火の車なのになんかのんきな予算だなと。予算の中身もそうだし、編成のしかたものんきだという気がしてしかたありません。なぜなら、安倍さんになってから3年間予算は増え続けてる、防衛費も公共事業も増えてます。しかし、今年も38%は借金に依存してこの巨大な予算が作られていてね、借金に対してものすごく鈍感な予算だと思いますね。で、本当は血がにじむような厳しい歳出削減等の予算編成をしなきゃいけない。それが全然出来ていない。そこに違和感を感じています」

御厨

「なるほど。丹羽さんはどうでしょう。前時代的な公共事業のシンボルでもある新幹線が、ここに来てまた登場という事ですけど」

丹羽

「まあ統一地方選挙の年ですからね、あちこちに目配りしてですね、全分野に渡ってね、おらが春じゃないけど、おらが予算ですね。それで考えてみますとね、一番大きな日本の課題は中小企業が疲弊してると。それからもうひとつは弱いものですね、あるいはお金のない人、中小企業。こういうものに対する予算の組み方じゃなくてですね、強いもの、大企業、それから高額所得者というものに対するですね、思いやりのほうが強い予算じゃないかと思うんです。これじゃあね、経済の再生は非常に難しいだろうと思うんですよね。どういう事かと言いますとね、少し加えますと1962年からね74年くらいまでですね、日本の経済が大成長してるんですね。その時何が起きたかというと、大企業と中小企業を同じ比率でですよ、10年間毎年のように15%から20%ベースアップ、給料上がってるんです。同じ比率なんですよ。大企業だけ上がってですね、今のように。中小企業が上がらないんじゃなくて、同じ15%、13%と上がって、最後の1974年はですよ、33%ずつ給料がドンと1年で上がったと。こういう事が経済成長の実証的なデータなんですよ。だから経済成長をしようと思えば、大企業も中小企業も同じベースで給料上げてくような政策を打たないといかんと思いますね」

御厨

「武村さん。また新幹線に戻りますが、どうですか。今度作って費用に見合う効果って出ると思われます」

武村

「だんだん地方の方へ延長線が伸びていってますからね。経済効率の面からはだんだん悪くなっていくんじゃないですか。だからどこかで歯止めをかけないと。それに新幹線に期待する気持ちは分かりますけども、しかし新幹線や高速道路が出来て一番得してるのは大都市や東京であって。地方はむしろ吸い取られていってる感じもしますね。だからプラスマイナス両方から新幹線を見つめる必要があるんじゃないかと思います」

御厨

「丹羽さんいかがです、この点」

丹羽

「僕は新幹線、要するに公共投資というものに、もっと相乗効果っていうか乗数効果の高い部分にね、優先的に金を配分していかなきゃいけないのに、それがもう旧来然たるですね、やり方で税金の配分をしてる訳ですね。全く新鮮味がないですね。今の日本経済の一番弱いところ、これからやらなきゃいけないところはどこかというメリハリがついてないと思います。そこが公共投資と言って特に新幹線に集中していくというのは、如何なものかと思いますね。もっとやる事あるんじゃないですかね、特に教育とかね」