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第四九三回('14年3月30日 放送)
 「『4月』まであと一歩」
 ゲスト: 野中広務 氏 / 藤井裕久 氏

御厨

「さあ、藤井さんに伺いましょう。まず値上げの春が心配な消費増税なんですが。藤井さん、景気への影響ってどんなもんなんでしょう」

藤井

「あの、私はね、今のこの動きを見てますとね、97年、98年を思い出します。決めたのは村山富一さんです。実際実行したのは橋本龍太郎さんです。ちょうどその時なんですがね、おっしゃるように増税直前はがーんと経済伸びまして、その後がーんと落ちる訳ですね。あの時97年の4月ですから、97年の下半期は安定してるんですそれなりに。98年に落ちてくるんですよ。それが消費税だと言う錯覚があるんですが、これははっきり違うと思います。それはですね、バブルの影響なんですよ。あの時山一証券は潰れました、三洋証券も潰れました、それから北海道拓殖銀行も潰れました。そして外ではアジア危機というのがありました。これから98年のダウンはありますんでね、そこいらははっきり分けたほうが良いと思います。もちろん98年の中には消費税のマイナスがないとは言いません。ないとは言いませんが本質はちょっと違うように思っております」

御厨

「野中さんいかがですか」

野中

「いやね、事前の消費が上がれば上がるほど、4月からの消費が減っていく状態になる訳ですね。そして、各入場料とか電気料金とか公共料金が上がっていく、そういうところの遊びやら、そういうものは非常な影響を与えてくるということになると、私は4月のはじめだけでなく10月もね、消費税の影響って言うのは結構日本の経済に影響を与えるんではないかと心配をしておりますし。その消費税の導入は社会保障に投入すると言う大前提があったと思うんですが、今度の予算編成を見て、まあ予算は通過しましたけれども、社会保障にどれだけの予算が投入されたのか。医療費をとってもですね、開業医の診療報酬が少しいらわれたくらいで、ほとんど社会保障に金が行ってないという現状を、私は責任ある政治家としてどのように考えるのかというのをね、予算が可決された後ですがこれに賛成した3党はね、よく責任を考えて欲しいと思いますね」

御厨

「なるほど、藤井さん。その一方で使うお金を増やして景気を軌道に乗せようという訳で、官邸が直接、給料の体系全体を底上げするベースアップ。これを会社に要請して、大手の企業にこれが広がったと言うわけですけど、藤井さんこれは、このやり方はどうでしょう」

藤井

「これはですね、私はこれ極端なことを言えば、社会主義体制みたいなもんなんです。そしたらね、麻生さんは共産主義社会だって言いましたよ。つまりね、形だけは出来ますがね、本当にこれをやろうとしたら社会主意体制にならざるを得ないけど、そこまではやってませんよね、実際はやってません。それはどういうことかというと、裏はいくらも抜け道があるんだと思います。それから特にですね、非正規社員の方、それから中小企業の方、これの効果は非常に難しいように私は思うんですよ」

御厨

「野中さん、この点いかがでしょう」

野中

「要請したのが100社って言うんでしょ。ところがベースアップを可能だと言ったのは30数社で、それ以外は一時金で凌いでいこうという結果が出たわけで。政府がそういう民間の賃金のあり方についてね、要請をするって言うのは、今藤井さんからあったように社会主義の国でもなかなか出来ないことを恣意的にやるっていうのは、景気が苦しいからとは言えね、政治の大道を誤っていると思うんですよ」