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過去の放送 出演者 時事放談「サロン」 テレビプロデューサーの日々
 
 
第四八一回('14年1月5日 放送)
 「2014新春全力スペシャル」
 〜激動の1年を読みきる
 ゲスト: 石破茂 氏 / 前原誠司 氏 / 武村正義 氏

御厨

「日銀が国債を買って街のなかのお金を増やすと、で、金利が低くなると。みんながそれでお金を使うようになる。さあ、お金の価値も下がってそして円が安くなり輸出もしやすくなる。このアベノミクス2年目突入します。さあ、景気の行方を武村さんどうごらんになりますか」

武村

「まあ1年目は政府と日銀が主導した、どちらかと言うと官制のミニバブルが成功したと言う感じですね。それでも株は上がったし、円も安くなったし、何と言っても国民の経済に対する気持ちがちょっと明るさを感じさせてると言うのは、これは安倍さんの功績だと率直に思います。ただこれからは生活物質が上がるのにも関わらず賃金が上がらないと言う矛盾に直面するかもしれませんし、金利の関係でいえばやっぱり国債が安くなって暴落して金利がどんどん上がってしまうと、これはもう日本国財政の破滅になりますから、この2つの心配が大きくなってきますね。正念場です今年は」

御厨

「正月早々いきなり正念場という言葉が出たり心配の声があがっていますけど、与党幹事長の石破さん大丈夫でしょうか」

石破

「大丈夫です。それはね、今武村さんがご指摘になった事は安倍政権として当然念頭においてやって来てることです。ですから今回は、外需主導って言うよりも内需主導でここまできてる訳ですね。金融緩和をする事によって実質金利が低くなった、それにより国債が消費され、公共事業が行われたということになっている訳です。円が安くなって本当に輸出が増えていくには半年から一年ぐらいかかりますね。どうしてもそのくらいのタイムラグが生じます。これからそういう外需が上がっていくと言う事になる。年末の数字を見ると人手不足って言うのが大企業も中小企業もでてきましたからね、ボーナスとか残業代だけじゃなくて本当の給与が上がり始めることになっていく。そして投資減税の効果が出てきますから、そうすると投資が上がってくるということになる。良い話ばっかりしているようだけど、その順番を間違えないようにしていかなければならないんで、この内需主導で大胆な金融緩和と公共事業、それで作ったこの余裕。その間に何をやるかです。あとは社会保障もきちんと改革をしていかなければ、財政規律も保てないので。25年度補正予算、26年度予算と言うのは経済の成長と財政規律、この二兎を追うということを最初に考えて設計してますんで、順番を間違えないようにしたいと思いますね」

御厨

「なるほど、前原さんどうでしょう」

前原

「安倍総理の経済ブレーンに浜田宏一先生っておられますね、エール大学の。この先生が3本の矢を評価されていて、金融緩和はA、それから機動的な財政出動B、成長戦略E,ここでアベと、ABEと、おっしゃってたんですけど。アメリカの景気と言うもの、そして金融緩和の出口と言うものがうまくマッチングをして、そして円安が進み、ということですね。ただ日銀の資料を見てますと、マネーストックは増えてない、そして企業への貸し出しもそれほど増えてない。結局いわゆる超過準備が積み上がってマネタリーベースが増えていってるということですし、先ほど石破幹事長がおっしゃったJカーブ効果がまだ出てきていないと言う事で、輸出はむしろ下がっている、こんだけ円安なって、輸出が下がっているところがあると。ということで金融緩和による円安効果で株が上がっている状況、これも武村先生おっしゃったように、私は景気の気は気持ちの気ですから、こういう雰囲気にさせたと言う事は安倍さんを評価したいと思いますけども、実際にやはり浜田先生がEとつけられたこの成長戦略。そして構造改革、歳出改革なり本当に日本の経済どうしていくのかという成長戦略。ここについてやっぱりまだ見えてこなかったら借金して景気刺激しても、日銀に国債買わせて金利無理やり下げて資金ジャブジャブにしたって、それはいつかは消えますので、いかに構造改革のための施策が出来るか、今年一年はそれにかかってるんじゃないですか」