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第四八〇回('13年12月29日 放送)
 吉例「今年の重大ニュース」
 〜2013年の締めくくりに
 ゲスト: 野中広務 氏 / 半藤一利 氏

御厨

「さあ、まずは野中さんから伺いたいと思いますが、この秘密保護法を第2位に挙げた理由は何でしょう」

野中

「第一はね、参議院選挙、去年の衆議院選挙、2度の選挙で自民党は政権復帰したんです。その基本の選挙に秘密保護法なんて公約には一切出てないんですよ。公約に出てない問題を最大の問題として今国会で成立を強引にやったというのはね、政党政治の基本からいって恥ずかしいことだと私は思うんですね。

しかも審議のやり方はもう結果ありきで、十分な審議も行われず、そして国会はですね新しく変わってからは政府委員というのはないんですよ。今まではちょっと大臣が息詰まったら政府委員が出てきて、自分たちの補運案ですから一生懸命説明した。今は参考人ででなきゃ政府委員として認められてない。だからこの法律なんかは、質問者が秘密は何だって聞いたら、秘密は秘密ですって森大臣が言ってました。そしたら見かねた事務当局が大臣のところに行ってメモを書いてね、それを読んでやる。こういう国会運営のやり方が今度のこの法案の審議を余計に疎かにして、素人の国民が見ていても絶対にもっとつっこんでやれるのに、結果をちゃんと終わるようにやってしまわなきゃならないと言う、そういう目的のためにね、私は取り返しのつかない議会政治の汚点を付けたと。そしてまた結果としてこれがそのまま集団的自衛権の問題、武器輸出の問題、さらには治安維持法の形に変わっていくんじゃないかと思うと、育った時代は違ってもね、私は本当に日本のために、これは大変な道に踏み込んでしまったとそういう気持ちがします」

御厨

「なるほど、半藤さんいかがですか」

半藤

「私もね、野中先生が今おっしゃったとおり、なんにも公約してないでですね、スーっといつの間にか出てきていつの間にか強引に通すんですよ。麻生さんがちょっと前にナチスのドイツがやったようにそっと静かにやるんだと、大事な法案はと。そんなような発言をなさいましたよね。あの時に、我々はこれを注意しなきゃいけなかったんだと、そう言う風に思いましたよ。スーっとやったんですよコレ。

私たちは民主主義の根本は言論の自由だと思ってますんで、これは私の考える民主主義の根本を犯すひどい法律を、だまくらかしてとは言いませんけども、そっと隙に乗じて押し通したと、そういう風に思いますね。ただね、日本のジャーナリズムもだらしなさ過ぎました、これは。全然気がつくの遅かったですよ。9回の裏くらいになってですね、ワイワイワイワイ騒いでたんですけど、野球だって9回の裏でいくらやっても逆転はできませんよね。ですからマスコミも随分迂闊だったなと思いますね」