時事放談 トップページ 毎週日曜あさ6:00〜6:45
過去の放送 出演者 時事放談「サロン」 テレビプロデューサーの日々
 
 
第四七五回('13年11月24日 放送)
 「臨時国会『ヤマ場』突入で」
 ゲスト: 武村正義 氏 / 浜矩子 氏

御厨

「まずは武村さんにお伺いしたいのですが、この法律にしても、集団的自衛権にしても、アメリカとの同盟関係を深めようという議論がどんどん進んでいると。この事態をどうご覧になりますか」

武村

「言われているNSC法案ですか、安全保障の概要を作ろうと言う法案と、特定秘密法案が表裏一体のような説明もなされていますよね。おっしゃる通り日米安全保障の中から飛び出してきた法案のような感じがしますね。国民から見てもこの特定秘密法案っていうのは本当に急にこの臨時国会で浮上してきて、しかも短期間で政府がバタバタっと政府が決めようとしてると、ようやく国民の間で疑念が浮かびあがってきたばかりなのに、そんなのお構いなしに一部の野党を手なずけて、強引に多数決で決めてしまうような雰囲気なのは非常に異常ですね。国民の間に疑念が深まっている以上は、少なくとも継続審議にしてじっくり与野党ともに真剣な議論を続けて欲しいと思いますね」

御厨

「浜さんいかがですか」

「そうですね、今うかがった国民の6割が反対、反対集会も沢山行われている、専門家達が強い反対の声を上げている。このへんが実に正常な、まともな感覚なだと思いますね。ですから我々、人々の正常な感覚が前面に出てきた事は非常に心強い事だと思いますが、それにも関わらず政治家達の世界では、武村先生が今言われたように、どんどん話が行っちゃう。まるで野党側はですね、自民党野党支部になったごとき感じで、この辺こうしたほうが良いですか、良いんじゃないんですか、みたいなことしか言ってない。これはやっぱり我々に対する裏切り行為だと思いますね」

御厨

「まあ、そのアメリカの機密情報を貰う為に、日本国内の機密を漏らした人もそそのかした人も厳しく罰して保護しようという、今回のこの秘密保護法案自体を武村さんはどういうふうにご覧になってますか」

武村

「およそそれは外交とか防衛とかの分野ではですね、一定の案件についてはオープンに出来ない物が当然ありますし、従って一定期間は秘密で保持すると言う事があってもおかしくはないと私は思います。ですから、それはそうなんですけど、今回の場合は、一体特定秘密とは何なのか、どの範囲なのか、それを誰が決めるのかという基本的な点でね、議論が進んでないし、そこが曖昧なままで決着が付けられようとしている所になんか非常に不安を感じますね。だから野党も一部なんですが、なんかすり寄ってるとしか思えない。今、浜さんは自民党の野党支部とおっしゃったけども、野党でこんな根幹に議論をしないで枝葉の部分でこちょこちょと一二か所いじってそれで合意と、賛成するという。これは、議論する前に党首同士がご飯食べるとかそんなこともオープンになってますからね。なんかちょっと異常さを感じます」

御厨

「どうなんでしょう浜さん、まあアメリカから受けた機密情報を漏らした人だけを厳しく罰すればいいというふうに考えたとしてですよ。原案ではバーっと範囲が広がって、何と対象40万件という気の遠くなるような数が言われてるんです。この点どう考えますか」

「やっぱりそうなるんだと思いますね、何かを秘密にするっていう話になれば、あれも秘密これも秘密というふうになってしまう。これは当然の成り行きだと思います。だから原則論的に言って秘密は無い方が良い、何かを秘密にするからだんだん秘密にすべきことの範囲が広まっていってしまうと。まあ人間はそれなりに秘密が好きですから。秘密を明かしてもらった自分、明かす相手、そういう特別の集団を形成するということで存在感を深めるとか、知らしむべからずというところに身を置いておきたいという権力の発想はあるので。そこに蟻の一穴を開けてしまうと全て秘密になると、我々は何も知らないという状況に追いやられていくと、それが非常に恐ろしいですね。そういう観点からはこれは非常に厳しく見ていくべきだと思います」