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第四六四回('13年9月8日 放送)
 「『決断の秋』突入」
 ゲスト: 増田寛也 氏 / 浜矩子 氏

御厨

「オバマ大統領は議会の了承を得たうえでシリアへの武力攻撃をするという事を表明している訳ですが、この日米首脳会談での日本の対応をどうご覧になりますか」

「そうですね、いかにも端的に言えばアメリカにすり寄っているという感じがありますね。オバマ大統領、非常に難しいところに今追い込まれてると。そこでちょっとバックアップをして点数を稼ごうかと言うような感じにしかどうも見えないところが情けない。

やっぱりもっと今増田さんも言ってましたし私も言ったような、この人達をどうするのと、今我々がとんでもない戦争を起こさない中で何が出来るのということをもうちょっと一緒に考えてみようよと、言うような恰好の中で日本がアメリカとロシアの間を行ったり来たりして仲介をするとかですね、知恵出しのために色を取るとか、そう言うなら分かりますが、そういうのではないへばりつきの感じになっているのが、ちょっとやっぱり次元低いなと言う感じがしてしまいますね」

御厨

「浜さんはこうおっしゃいましたが、増田さんいかがですか」

増田

「中東と言うのはアメリカから見ますと、かつては原油の大変な産出国でありますし、中東情勢っていうのはそれだけでなくてもアメリカにとって利害の非常に大きいところだったと思うんですが。まあ最近はエネルギーの関係でいえばシェール革命なんて言われるようにですね、国内でアメリカは確保できるということですから、だんだんに中東に対しての関心が薄れていくだろうというか、引き下がっていくだろうと言われていますよね。

その中で今回のシリアをどう考えるのかっていうのは、私自身もアメリカのスタンスっていうのがよく分からない。まだ正確な本当に意図が理解できないところがあって、ただそれにしても伝え聞くによると今月の3日ですか、安倍さんとオバマさんが電話会談しましたですね。G20では直接の会談は無いと思われていたところが、急きょアメリカ側からの要請で設定したと。ということはそれだけアメリカが攻撃するための大義名分を日本から取りたいと、安倍さんあの電話会談の時に国連の安保理の決議を得て下さいねと。大変高いハードルでしょうけどもそれを要請したんですが、で、アメリカは急きょやっぱり日本にきちんと話をしようということになったようですから。

ですから私は国連の安保理の決議なんかは今の中では非常にまっとうなルールだと思うんですけどもね。それをアメリカが更に日本に直接要請するからには、やっぱり日本はアメリカに対して大義名分っていうか、それをもっともっときちんとこれからも言っていかなくてはならない。むしろ日本がアメリカに対して非常に高い優位な位置に来てるんじゃないかと思います」

御厨

「一方でこの問題、シリア情勢でアメリカと対立するプーチン大統領の問題がある。彼は攻撃に反対している訳ですけども、浜さん。首脳会談なり、夕食会なりでの日本の対応。これ、いかがでしょう」

「これも今までの話との連続ですが、日本と言うのはその気になれば色んな形で人々を引き寄せてくる、仲介者となりうるという、経済の規模とか平和憲法を持っている国であるとか。っていうことで、人々が耳を傾けざるを得ないような条件を実はそれなりに備えている国だという風に思うんですね、日本の政治家達がそれに気づけばの話ですけども。だからやっぱりそう言う観点から本当に地球的な世のため人のために物を考えている立場の国として色んな形で物を言っていく、そう言う意味では大きなチャンスだと思いますが、そう言う観点からの物言いというのはどうも出てきてないですよね」

御厨

「なるほど、増田さんいかがですか」

増田

「私も同じような思いを持ちますね、やっぱり日本が日本としての主張というのをきちんと両大国に対して言っていくという。ある種一番良いチャンスでありますし、その中でどちらかというと近隣諸国、韓国とか中国との関係がね、今非常に冷え切ってますけども、そこを改善するうえでも米・露というのは非常に大きな影響力がありますから。この米・露に対して日本の主張をきちんと伝える、そう言う場として是非いかして頂きたいと思いますね」