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第四四八回('13年5月12日 放送)
 「さあ、『7月選挙』に向かって…」
 ゲスト: 石破茂 氏 / 仙谷由人 氏

御厨

「さあ、仙谷さん。この反応をどうお考えでしょうか。アメリカがなぜここまで反発するのか」

仙谷

「これ実はですね、ニューヨークタイムズは今年の1月の3日の記事から始まってるんですね。最近の話じゃないです。最近はまた靖国神社に自民党の内閣の大勢の方が行かれたとかですね、それからそれに対して安倍さんも否定をするというよりもむしろ肯定的な反応をしたことにですね、改めて火が付いてきたということだと思います。

それで僕は改めて先般の主権回復記念式典とかなんとかって言うのを自民党内閣になってやり始められたと。このサンフランシスコ講和条約っていうのを改めて見てみましたけれども。これ結局ですね、国連憲章と世界人権宣言を踏まえと、それから極東軍事裁判についてはこれを日本が承認すると、要するに世界の戦後レジウムのことが書かれているわけですね。安倍さんが戦後レジウムからの脱却と、こういう風に言う時にですね、国際標準としての戦後レジウムと、どこかずれているんじゃないかと。こういう風に僕は思われていると思うんですね。

で、これは早くですね、いや世界人権宣言と国連憲章を踏まえて我々はやるんだと。あるいはその前のことについては、ポツダム宣言で受諾したようにですね、民主主義的傾向の復活と、軍国主義の解体。これだけはきちっとやるというですね、そのための歴史を、ちゃんと我々の歴史認識はこうだというふうに言わない限りですね、僕は疑念は解けないと思いますよ」

御厨

「なるほど。石破さん、どうです」

石破

「アメリカにしてみるとね、北朝鮮の問題これあり、対中政策これあり、ここで日米韓が緊密に連携しなきゃいかんのだよという意識はすごくあると思いますね。ですから例えば、竹島の問題を巡ってギクシャクしていると。そこへ加えて、これ以上日米韓そこの連携ってものが崩されることがあると、誰が喜ぶんだいって言う、そういうリアリスティックな、そういう現実的な考え方ってあると思うんですね。

総理自身は、そういうですね戦前の肯定とか、美化とか、そんなこと夢にも思っていないのだけれど。それが向こうがそういう風に反応したとするならば、やはりそれに対して、国会での答弁も軌道修正をしている。あるいは官房長官の記者会見でも、例えば河野談話の見直しっていうのもやってませんよという事も言っているわけで、私たちとしてやはり、なにゆえ今の日本国というのが在りうるのかということはキチンと考えなければいかんことです。

一方においてアメリカが懸念をしているのは、やはりそちらの方に政策の軸足が移っていってせっかく回復し始めた経済どうしてくれるのよと、いうこと。これまたリアリスティックな話で現実的な話としてあるわけですよ。

そうすると私たちは、それは色んな政策、憲法も含めて、色んな議論はキチンとしていきます。だけどもそれは、今までの連綿とした政府の姿勢というものを変えるということではございませんと。ということはもっと注意深くやらねばいけないと思っています。

ただ、総理ご自身が「危険なナショナリスト」それはアメリカ議会の公式見解でも何でもないのだけれども、そういうふうに言われるっていうことは、私どもとして、そうではないのですよということを、そんなつもりはないのだ。ではなくてね、むこうがなるほどそうなのかと、言わせなければ、それはやっぱり外交としては上手くないと思いますね」

御厨

「こちらに挙証責任があると」

石破

「それは挙証責任はこちらにある、と私は思っています。そのことはキチンと説明しないとですね、歴史から目を逸らしているとか、パク・クネ大統領が議会で演説をするとパチパチと拍手が起こったとか、それは日本国にとって決して本意とするところではないし、実際にそういう風に思われているとするならば、それを解く責任は我が方にあると思っています」