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過去の放送 出演者 時事放談「サロン」 テレビプロデューサーの日々
 
 
第四四七回('13年5月5日 放送)
 「まだまだ、GW」
 ゲスト: 藤井裕久 氏 / 鴨下一郎 氏

御厨

「さあ、鴨下さん。今回の階段で北方領土問題はどうなっていったとお考えですか?」

鴨下

「両国の強いリーダーが決断をする時期がいよいよきたかなというふうに私は思っています。もちろん日露が平和条約を結んでこの地域の安定や、それと同時に経済がウィンウィンになるように、国民世論もリーダーシップについていけると、こういうようなことでいうと、本当に今まで待ちに待った日露平和条約を結ぶチャンスがきたなと思っています。私たちもそれをサポートしたい、これから国会の中でも世論を高めたいというふうに思っています」

御厨

「藤井さんは今回の会談をどのようにご覧になっていますか?」

藤井

「まず経済外交という点でこれは非常に重要で、私は今の経済は需給ギャップだと思っています、金不足ではないと思っていますから。その需給ギャップという意味において非常に経済外交は意味があると思うんですね。特に新興国は経済成長する、しかし先進国は経済成長よりも円熟した社会になっているわけですから、色んな仕組みが非常に優れている。だから優れたものとこれからの新興国を結び付けるということは需給ギャップの改善になるということで、私は非常に大事だと思っておりますし、ロシアとの関係もそういう意味で是非伸ばして頂きたい。特にアメリカからペリーが来た1853年の100年近く前から帝政ロシアとはやっているわけですから、なんらおかしくないどころじゃない。ロシアも友好国であると私は思っています」

御厨

「鴨下さん。話題になっている経済協力ですけど、これが北方領土問題とどう繋がってくるのか。俗な表現で言うと"食い逃げされる"感じはどうでしょう?」

鴨下

「これは原理原則を重んじる人、実利を追求する人、それぞれの立場で随分違うと思うんですね。私はこの60数年間平和条約が結ばれないで地政学的にも極めて近い国がこういう状態が続いているということそのものが問題だったと思います。これからは経済の交流を深めていって親しくなっていけば、自ずと領土問題も方向性が見えてくる。領土問題が解決しないと全てがストップというそういうような考え方には立つべきではないと思っています。もっと政治は柔軟に、なお且つ国民の利益を中心に考えるべきだというふうに思います」

御厨

「なるほど。藤井さんいかがでしょう?」

藤井

「私は戦前の話はもう致しませんけれどもね、まず何よりも1956年の日ソ共同宣言。これは鳩山・ブルガーニンですが、実際はフルシチョフですけど、あの時は二島は返す、ただし平和条約が出来てからだとこういうことですね。その次は私あまり自分のことは言いたくありませんが、細川内閣ですよね。その時は東京宣言、この平和条約と四島の未解決問題を一緒に解決するということをやって、2001年のイレクーツクの合意ではちゃんとその通りにやろうということになっているわけですね。その間に橋本さんが、非常に近くまでやったという話も事実あると思いますよ。あると思いますが、川奈提案はこちらのお願いですから、なかなかそうは言ってないですが。私は常にこの問題は、今安倍さんが行かれて単なる経済外交ではなくこういうことをやられるのはいいことだと思っているんですよ。だけど一挙に解決するかどうかについては私はなんとも申しません。申しませんが、とにかくやっているということが、黙っていると自然に遠ざかっちゃうんですね、必ずやらなくてはいけないという意味においては私は評価致します」

御厨

「鴨下さん、一時"面積分割論"みたいなのが取りざたされましたけど、どういうふうにお考えでしょう?」

鴨下

「先ほど申し上げたように色々な考えがあります。ただ私はこういうようなことも一つの選択肢だと思いますし、何よりも日露平和条約を結ぶということを前提に物事を考えていくべきだと考えています。その中で多分この問題にも知恵が出てくるだろう考えていますので。原理原則を重んじる人達にとってみると必ずしも面白い話ではないかもわかりませんけれども、ここは強いリーダー同士が国民を説得して事を前に進める好機だと考えます」