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第四三八回('13年2月24日 放送)
 「アベノミクス」 〜スタートダッシュ2か月〜
 ゲスト: 武村正義 氏 / ジェラルド・カーティス 氏

御厨

「武村さんから伺いたいんですが、今回の合意、国内的にはどんな影響が出てくると思いますか」

武村

「私は、20年ほど昔の細川内閣での、例のウルグアイ・ラウンドの議論を思い起こします。あのときも国会の中は超党派で反対の空気が強かったわけですが、交渉がぎりぎりの段階に来て、日本も答えを迫られて、細川内閣は、大勢としては反対が多かったんですけれども、最終的に政府としては賛成で決断した。そのときに自民党は態度を決めないで、反対、反対と言い続けて、賛成した細川内閣を批判していましたから。今度の自民党、党内が真っ二つに割れていますけど、安倍さんが帰ってきてうまくすっとまとめられるかどうか。

この問題は、単なる米議員とか、農業の票が欲しいから反対しているとか、そういう小さな次元ではないです。まさに日本民族、農耕・稲作民族のアイデンティティーを問う問題だと。そういう信念で反対している人が結構います。これを壊していいのかと。反対は割合に根強い」

御厨

「そうですか。カーティスさん、日本国内の影響ということについて、小規模農家が多い農業への心配というのも結構みんながしているわけですけれども、どうなんでしょう」

カーティス

「このTPPに参加して農業問題の交渉に乗ることによって、必要な農業の改革をやるプレッシャーが出てくる。要するに、小規模農業、ほとんど年寄りばかりが農業をやっているということは、日本にとってはいいことではない。やっぱり根本的な改革をして…。

私は久しぶりに日本に来て、果物とか野菜なんかがおいしいですよね。そういうものを、もっと効率をよくして、輸出する。アジア諸国はだんだんと生活水準が上がるから、欲しがる人が多いわけですよ。日本にはいろいろな農業、産業のポシビリティーがあるように思うんですけれども、現状を維持し、守るということだけだったら、日本の農業はますます危機的状況になるのではないですか。

ですから、TPPに参加して、国内の農業改革に力を入れる。そういうことになれば、TPPに参加するのはとてもいいことじゃないかと僕は思うんですね」