御厨 |
「林さんはこのTPPについてはどういうお考えでしょう」 |
林 |
「実はこの間の衆議院選挙のときに公約をいたしたところがありまして、「聖域なき関税撤廃」を前提とする限り交渉参加に反対と。実はその前に党でそういう文書をまとめたんですが、そのとき私が委員長をやっていまして、まとめた当事者なんです」
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御厨 |
「なるほど」 |
林 |
「ですから限定つきの反対というふうになっていますが。要するに交渉に参加する、しないのときから、実際は駆け引きが始まっていると。したがって、最初にもう全部「聖域なき関税撤廃」だというのを認めて中でかち取るというのは、そこで一回譲っちゃうみたいな感じにならないかというご意見も結構ありまして、こういう言い方になりました」
「そういう、公約で選挙をやって勝った以上は、やっぱりこの公約を守るということは非常に大事になりますね。ですから、そういう前提でいろんなことを考えていくということになると思います
」
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御厨 |
「なるほど。藤井さんはいかがですか」 |
藤井 |
「私は、これは大平さんの時代からの話があるんだと思うんですよ。つまり、大平総理は環太平洋構想というのを出されて、それの実行版としてAPECとかいろんなものが出ているわけですね。それの実際版なんです」
「ただ、いま林さんがおっしゃったように、「聖域なき関税撤廃」というのは本当にそうかどうかというあたりをしっかり見ていかなきゃいけないと思うんです。アメリカだって本当に農産物を撤廃するつもりなのかどうか、これはわからないというよりも残すと思いますね。ですから、そういうあたりで議論をしながら協議を重ねて、主導権はやはり日本も持っていなきゃいけないと私は思っています
」 |
御厨 |
「なるほど。林さん、このTPPのメリットというのは一体何なんでしょう」 |
林 |
「実は私もあんまりよくわかってなくて、一般的に言われていますのはルールづくりに入れるかとか、工業製品の輸出競争力が出るとかという抽象的な話はあるんですが、農業のダメージの話になりますと、米とか小麦とかいろんな具体的な品目は出るんですが、こちらのメリット論は、そういうのがまだ具体的に、どの品目がどうなるというのがあまりないものですから、そこが議論が非常に両極端になりがちなところだと思いますので」
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御厨 |
「何かそうですよね。オール・オア・ナッシング的になるところがありますから」 |
林 |
「ええ。だから、そこをもう少し具体的な数字も含めて出していく必要があると思っています」
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御厨 |
「藤井さんはいかがですか、この点は」 |
藤井 |
「今、農業の話も出ましたけれども公的保険、医療保険ね、これまで入り込んでくるって、それはあり得ない話だということを前から申し上げております。一つ一つ詰めていかなきゃいけないと思うし、いま林さんも言われたように、輸出産業ですね、そのメリットが具体的にどういうことかという、これから詰めていく話だと私は思っています」 |