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第四二七回('12年12月9日 放送)
 「この国をどう立て直すのか」〜2012の総選挙
 ゲスト: 増田寛也 氏 / 浜矩子 氏

御厨

「増田さんからお聞きしたいと思いますが、この問題、逃げられない問題だと思いますけれども、選挙戦で何だか議論があまり深まってない感じがするんですけど」

増田

「政権が今は民主党政権、その前は自民党政権、そして政権がどう変わろうと例えば社会保障についての財源が圧倒的に足りないとかいうことがあって、今までの日本社会というのは利益の分配をどうしていくかというのが政治のテーマになっていましたけれども、まさにこの社会保障を議論するときは負担の分かち合いというか、負担をどう分配するか。それはなかなか難しい問題ですから、政治的にそれを決めていかなくちゃいけない。

そうすると、日本の政治というのは残念ながらそこをずっと避けてきて、それで社会保障制度改革国民会議がいまスタートしましたけどね、今回もやはりそこの場で議論をすると。実はそういう有識者会議が随分今まで出てきてたんですが…」

御厨

「いっぱいありましたよね」

増田

「ええ。その負担をどういうふうにお互いに分かち合うかということをずっと避けてきた。今回もどうしても選挙戦ということを考えて、しかも小選挙区制であり一気に政権交代に結びつくということになりますと、なかなかそれを真正面から取り上げるという勇気をどうもやっぱり持ち得てないということがあるんじゃないかと思うんですね。だけどもうそれは手遅れなくらいぎりぎりまで来てると思います」

御厨

「浜さん、いかがですか」

「こうやってずっとお話をしてくると、共通している問題が、増田さんもおっしゃいましたけど、今の現実を直視するということができない、鏡の中にかつての自分しか見えてない。それは経済大国もかつてのイメージだし、政策とか政治の役割もかつてのイメージだし、だからかつてうまくいったことをやれば、うまくいったことをより規模が大きく、スケール大きくやれば何とかなるんじゃないかということですよね。

この社会保障の問題だって、高度成長時代の肩車どころかもう寄ってたかって1人の人を支えているときの設計を、必ずやこんなもの行き詰まることがわかっているのに、その現実を直視するということなくここまで来たからこの肩車になってしまった。肩車の姿を見たくないわけですよね。だからやっぱり直視されていない現実に対して的確な回答を出すなんていうことはできないわけですから、その鏡の中の自分が見えない、自分が見たくない症候群が諸悪の根源として根底にある感じがしますね」