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第三八五回('12年2月5日 放送)
 「民主」でもない、「自民」でもない…
 ゲスト: 片山善博 氏 / 浜矩子 氏

御厨

「どうなんでしょう、片山さん。消費税を上げると、ここはまあ随分頑張ってるわけですが、それで一方で、このデータを出さないという、これはやっぱり…」

片山

「これね、消費税を上げるという前提として、やっぱりちょっと、つじつまが合わなくなってるんですね。もともと民主党のマニフェストによると、今の一体改革と称するものの中で、このために上げますよという「このため」というのは、消費税に頼らなくてもできるという前提だったんですよね」

御厨

「あ、そうですよね。確かにそうですね」

片山

「無駄をやめるとかね。それで、基礎年金の7万円をやろうと思えば、これは大きな金がかかるから、これをやる場合には国民の選択によって消費税を財源とするという、そういう建前なんですよ」

御厨

「そうか、それはちょっとずれてますね」

片山

「そうするとね、民主党のマニフェストがそのまま生きてるとすれば、消費税は今5%に、で、基礎年金、満杯をやれば7.1を足せば、12.1になりますという計算になるんですよね。ところが、もう先に5%とっちゃってるもんですから」

御厨

「そりゃそうですね」

片山

「先取りしてるもんですから、上乗せするとぐんと高くなるということで。ですから、そういうつじつまが合わなくなるというのが、これでもう露呈してしまったんですね」

御厨

「露呈しちゃった、ああ…」

片山

「でもいずれこれは、消費税の法案が出て与野党で国会でがちがちやりますと、必ず出てくるので、いわばそれを岡田さんが先に出したということだと、私なんかは思うんですけどもね。いずれ出てくる話ですよね」

御厨

「いずれ出てくるのを、とにかく出した。どうなんでしょうか、浜さん。国民から見た場合には、やっぱりでもこういう話がどんどん出てくると、何となく信用できないという」

「ということになってしまいますよね。だから、そもそもなぜ消費税を上げるのかというところが、まあそのマニフェストの中でも、既にしてそこで間違っているわけで。何か特定目的を達成するために消費税を上げることが必要だ、などというような生易しい状況ではなくて。やっぱり今日(こんにち)的な日本経済の姿の中でまともに税収を上げるためには、やっぱり消費税というこの間接税によって税収が上がるようにしていかないとだめなんだ、ということがこの話の本質だと思うんですけれども。

その本質のところをそもそも理解してないから、彼らが。だから、やっぱり情熱を持って力強く、これをどんな数字になってもお願いするという気合いが入らないのは、そこを出発点で自分たちを、なぜ消費税を上げるかということについてごまかしちゃってるというところが、多分にあると思うんですよね。だから説得力がない 」

御厨

「なるほど。まあ、今の話、延長でいいますと、国民はとにかく10%と言われたときに、それがまあ、上がれば年金も国の借金もどうにかなるみたいな、ある幻想にいたような気がするんですが、その辺は片山さん、どうでしょう」

片山

「これ結局ね、結論先にありきで、ちょっきり10%、わかりやすいですから、10%にしたいというところがもう、最初からの結論なんですよ。中身はあんまり吟味してないんですよ。まあ、ちょっと失礼な言い方になりますけど。これね、細川内閣のときに国民福祉税構想というのが、ある夜、突然、細川総理が発表しましたよね」

御厨

「ああ、ありましたね。そうそう、突然でしたよね」

片山

「それで中身のことを新聞記者にその場で聞かれて答えられなくて、税率は何ですかと聞かれたら、「腰だめの数字です」と言って、1日でついえましたよね」

御厨

「そうでした」

片山

「実はあれと基本的にはそんなに変わらない構図なんですね。ちょっと一晩じゃなくて、相当続いてますけど。結局、腰だめだということが、まあだんだんだんだんわかってきたということなんですね」