時事放談 トップページ 毎週日曜あさ6:00〜6:45
過去の放送 出演者 時事放談「サロン」 テレビプロデューサーの日々
 
 
第三八〇回('11年12月25日 放送)
 「この一年」〜年末恒例!3大ニュース〜
 ゲスト: 野中広務 氏 / 半藤一利 氏

― 震災以降の「政治」「政治家」は…

御厨

「多くの方が亡くなられて、そしていま野中さんがおっしゃったように震災地は、被災地は非常に寒いという状況。残念なのは、やっぱり政治というのは菅総理の政治的な対応、あるいは初期対応がまずかったということばかり指摘していて新しい政治ができなかったことだと思うんですけれども、野中さん、どうして新しい政治というか、政治がこれにうまく対応できなかったんでしょうか」

野中

「それはやっぱり現地に、仙台あたりに大きな事務所を設けて、各県にその出先を設けて、そしてそこに予算をつけて金が動くようにすることですよ。予算はつけた、金はつけると、声は高いけれども、一つも金が流れておらない」

御厨

「ああ、なるほど。そこですね」

野中

「そこに問題があると思うんです」

半藤

「金はどこへ行っちゃったんでしょう、これ。変な話ですけど」

野中

「ねえ、変な話ですね」

御厨

「そうですね。それで半藤さん、この国会では与野党の悪口の合戦なんですよね」

半藤

「言い合いですよね」

御厨

「これをどう思われますか」

半藤

「いや、もうこれね、つまり現地の人の本当の痛みを政治家は一つもわかってないということがわかりました、今度」

― 「見えない恐怖」に…

御厨

「放射能の物質というのが東京にも風の流れで飛んでいて、そして千葉県の柏でありますとか、あるいは葛飾区の金町浄水場というところでもこれが検出されたりしているわけですね。野中さん、この見えないということの怖さ、これどうでしょうか」

野中

「見えないというのは怖いですね。私、官房長官のときに茨城で核の始末に問題を起こして、科技庁が頑張ってやったんですが、犠牲者を出してしまいました。あのときのことを思うと、やっぱり我々の想像以上に核は、学理的じゃなしに現実にざーっとこう広がっていく。それを我々は、避難場所を初め10キロと言いましたけれども、20キロにふやして、いくら後から批判を受けても避難を多くするほうがいいというような決定をしたときの苦衷を思うときに、やはり人的に、また科学的にも、敏速にやっていかなきゃ普通の人の命は守られない」

御厨

「そういうことですね。そういうときはどうなんでしょう、人の命ということを考えると、政治家というのはやっぱりこれまでのしがらみみたいのを、先ほどちょっとおっしゃっていましたけど、全部取り除いて思い切ってやっちゃう?」

野中

「そうですよ。今、与党だとか野党だとか、そんなことを言うてるときじゃないんですよ。政治家が一緒になってこの苦難を乗り越えようという、そういうものが出てこなければいけないと思うんですよね」