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第三七五回('11年11月20日 放送)
 「政治をどうする」
 ゲスト: 仙谷由人 氏 / 武村正義 氏

御厨

「まずは仙谷さんに伺いたいのは、この記者会見の1日先送り、あるいは表現があいまいになっちゃった。この辺はどういうふうに理解したらよろしいんですか」

仙谷

「党の中の議論もある種、二分というほどじゃないけど、灰色の方も随分いらっしゃるんですが、そういう中で、あるいは国家的にも、まあ、この種の問題のときには、実際問題、GATTウルグアイ・ラウンドのときに武村さんは最後の締めをなさったんだけども、その中で出てくる個別の話は、関税がどうのこうのとかはわかるけども、全体としてどういうことなのかというのはやっぱりわかりにくい話でもありますよね、国を開くという話は」

「だから、現時点で、外交術と国内世論形成に向けての一つのテクニックとして、ちょっとあいまいにできるものはあいまいにしておくということだったと、僕は見ていますけどもね 」

御厨

「そうすると、あいまいにしておいて、それはいずれかは決着がつくんだから、とりあえずはそれで行けるところまで行くという、そういう感じですか」

仙谷

「まあ、そういうことでしょう。さっきおっしゃられた、アメリカ側との品目、物品・サービスすべてをというのは、交渉のテーブルにはすべてのってくるけども、多分アメリカも砂糖なんかは最後まで頑張るんじゃないですか」

御厨

「なるほどね」

仙谷

「だからそういう意味では、それはそれぞれが、テーブルの上に出ても、いや、うちはこうだああだという話を、マルチ、つまり10カ国なら10カ国、あるいは12カ国なら12カ国の中で、それが全体として合意形成できるようなところに行かないと。だから、アメリカにやられる、アメリカにやられるという、2国間交渉じゃないわけですから、あんまりそれを被害者意識強くて言うというのは、僕は今の時代、いかがなものかと。ドルもアメリカ国内も、我々から見ていると10年前20年前と全然違いますからね」

御厨

「それはそうですよね」

仙谷

「はい」

御厨

「どうでしょう、武村さんはこの経緯をどういうふうにお考えでしょう」

武村

「私は、日本というのはもう今や世界でも最も進んだ自由貿易国で、自由貿易の先端を行っている国だと思っていますから。実際に、貿易品目は1万件ぐらいある中で、もう90%は関税ゼロなんだ、あと900幾つが残っているんだと。1%のものから、米みたいに778%までいろいろ大小あるんですが。その残っているものをどうするかというのが、関税問題」

「今回はそれを、アメリカの言い分は、聖域なしでゼロにしようと。それどころか非関税障壁もゼロにしようという、こういう大変大胆な、関税がもう全くないような世界にしようじゃないかという提案なんですね。すばらしい提案でもあるんですが、そんなこと一挙にいくかよ、やっぱり例外もあるじゃないかというのが世界の常識でもあってね」

「私は今度の日本の国内の対立も、慎重派と推進派という言い方はようわかりませんが、慎重派も皆、開国派なんですよ。自由貿易派なんですよ。もう今まで全部賛成してきたので。これ以上どうするか。ぼちぼちやるか、一挙にあと残った10%をやって、一挙にもう引っぱがすかという、この選択ですからね。『こっちは昔の鎖国と攘夷』みたいにレッテルを張るのは間違っている。もう自由化が進んだ国で、最後の残った9%、1割の残っている関税をどうするかという議論をしているわけで、アメリカは全部はがせと言うから、いや、それはちょっと荒っぽいじゃないかというのが慎重派であって、まあ、どっこいどっこいの議論だと思います 」