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第三六五回('11年9月11日 放送)
 「スタートどじょう内閣」
 ゲスト: 武村正義 氏 / 片山善博 氏

― 菅政権を中から見て…

御厨

「まずそこで伺いたいのは、菅さんは何でうまく組織とか制度を回せなかったんでしょうか。せっかく総理になったのに、何となく不思議な感じがするんですが…」

片山

「いろいろありますけれども、なかなか自分の思いを政府の中の各組織にうまく浸透させることが苦手だったと思いますね。

やはり政府というのは大きな組織ですから、自分一人でやれることというのは限界がありますから、それぞれの組織をフル稼働させなければいけない。そうしますと、その組織にいろいろな支持をしますけれども、その際にできるだけ自分のトップの思いと組織の思いが共有できれば一番いいわけですね。それには、かなり労力がかかるわけです。時間もかかるわけです。

やはり議論をして、お互いに違いを埋めていくという作業が必要なんですけど、そこのところはなかなか苦手だったように見受けられますね」

御厨

「なるほどね。武村さん、でも結局小沢系もそれから反小沢系も大臣やら党執行部にこうして一応取り込んだという形なんですけれども、武村さんから見てこの挙党態勢はどういう感じでしょう」

武村

「政権のスタート時点の形としては、全員野球も挙党一致もそれは美しいというか、いいことです。でも問題は何をやるか、どういう仕事をするかが本質ですから、挙党一致でもう何もかもごちゃまぜで、果たして大きな仕事ができるのかということにも疑念を感じます。

今度の野田さんは、私もやや好意的な気持ちで見ようとしているんです。時代の要請に合った内閣というか、あるいは国民意識に合っているというか。ある意味ではこれまでの民主党の悪い面の正反対の人柄を感じさせましたから、民主党らしくない男というか、それが逆に人気になっている。菅・鳩山の反動で、それが支持になっているんですが、問題はしかし、私は二つぐらい疑念というか、心配をしていますね。

一つはやはり野田さん、顔は大きいし、西郷さんみたいにどっしりしていますが、本当に今の日本の政治というのは複雑多岐で、とてつもない課題がたくさん残っていますね 」

御厨

「そうですね」

武村

「いよいよ決断するというときに、どんと腹を据えて決断ができる人物かどうかちょっとわかりません。できないとは言いません。してほしいと思っているんです。もうちょっと小沢さんないし小沢グループの陰というよりも、堂々と党の半分ぐらいを支配する形になってきましたからね。幹事長を初め閣僚もね。そのことがどうなるか、これは小沢グループとそうでないグループは、民主党ないし日本の国策をめぐる基本で対立していますよね。消費税を上げる、上げない、あるいはTPP賛成、反対とかね。あるいはマニフェストを根本的に見直す、見直さないという基本で対立していますからね。そんな大きな矛盾を抱えたものが一緒くたになっていますから、これは容易じゃないぞと。すぐ矛盾が表へ出てくるのではないかという心配をしています」