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第三六四回('11年9月4日 放送)
 「スタート野田政権」〜3度目の正直の行方は
 ゲスト: 藤井裕久 氏 / 石破茂 氏

御厨

「みんなに気を使っていると言われちゃったわけですけども、ポイントの大臣として財務大臣ですけども、安住さんは、藤井さん、何を期待して、そして何が心配」

藤井

「私は、財政健全化、これについてはしっかりした物の考え方を持っていると思うんですね。ただ、あえて申しますが、野田さんが財政至上主義とは言っていますが、40年間先送りした話なんですね。あんまり詳しくは言いませんが。昭和40年ごろから、グロスのGNP、『くたばれGNP』とあのころは言った。『くたばれGNP』というのは、経済が悪くなっていいというんじゃないんですね。人々の幸せが大事なんだと、グロスのものだけじゃないんだということ。それゆえに社会保障が非常に伸びたわけですね。社会保障というのは制度なもんで、一回やったら、それはそのまま続いていくわけですね」

御厨

「なるほどね」

藤井

「そこで、次に出た人は、高度成長的な財政運営をやれば穴が埋まるとやったんですね。これが今の一部の人です。これはあり得ないんです。昭和40年代に、具体的に名前を言っちゃいけないのかな、福田さんがカーターに7%成長をしろと言われた。福田さんはそれを努力された。ところが、もう高度成長が終わっているからできないんですね」

御厨

「確かにそうですね」

藤井

「そのあれで後で消費税が出てきたのが、大平さんと中曽根さんなんですね。そういう意味で、私が言いたいことは、財政至上主義とか健全化というのは今の話じゃないんです。40年間の是正をしなきゃいけない。こういうことだと思います。

それから、さっきの話でマイナスも言えというお話ですが、私は通貨政策がこれから非常に大事になると思います。米ドルは続落の歴史です。60年間、続落していると思います。アメリカの知性派の人も皆それを言っているわけです。ただ、それがどういうテンポで続落するかですが。もう既に世界の中では、こういう専門家は、米ドルに対してどういう通貨改革をしたらいいかと言っているわけですが、日本も大きな役割を果たさなきゃいけないのに、果たして大丈夫かなというのはあります」

御厨

「はい。石破さんとしてはどの大臣に着目されますか」

石破

「頭が痛くなっちゃうなという人も何人かおられて。若い政党だし。いきなり大臣という方が多いんですよね、副大臣とか政務官とかやってなくて。だから、やむを得ないところもあるし。野田さんが大連立で「101回でもプロポーズ」と言ったのは、意外とこういうことだったのかもしれないなあという気がしないわけでもないが。ただ我々は、国民の審判を経ないで連立の組みかえなんかやっちゃいかんと思っていますんで、できる協力は一生懸命しますが。

そういう前提で物を申し上げれば、いま藤井先生がおっしゃった通貨政策をどうするか、通貨政策と財政の健全化というのをどうやって両立させるかは、かなり難しい話です。そして、これだけ財政が悪いのに何で円が高いかといいますと、まだ消費税を上げられる余地はあるだろうと、日本の国債は国内で消化できているんだろうという話であって、ほんとに消費税を上げないんだということになれば、どうなるんだということなんです。そのことをもっと真剣に考えるべきなんだが、財政改革をきちんとやっちゃうと、ほら、やればできただろうということで、円はもっと高くなるかもしれない。おかしなことが起こっているわけです。ここにどうやって日本が歯を食いしばって取り組むかということ。

それから、新総理も言っているけれども、今の税体系は今の社会に合わなくなっているところが相当あるんです。そこに踏み込むだけの見識を新財務大臣は持っていますか、ということが問われますね。

それから、鳩山さんのときにむちゃくちゃにしてくれた日米関係、これの立て直しは、私は一緒に1年間仕事をしましたけども、玄葉さんにものすごく期待するところはあるんですね。外交というのは、与党、野党はないのであって、鳩山さんの沖縄、そして菅さんの尖閣、あの失点は取り返さなければいけません。そういう点で私は玄葉外務大臣というのは期待はしていますね」