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第三五六回('11年7月3日 放送)
 「この混乱をどう立て直す」〜7日間空転

 ゲスト: 玄葉光一郎 氏 / 石破茂 氏

御厨

「原子力をめぐって、脱原発、そして『いや、やっぱりこれは必要なんだ』という対立が激しくなってきていますが、玄葉さんはこれをどうお考えでしょう」

玄葉

「私は『減原発』と言ってます。『減』というのは減少するの『減』ですね。つまり、脱原発か、原発推進かというこの二項対立がよくないと思います。こういう二項対立が今回の事故を生んだと言ってもよいかもしれません。つまりは、どうしても脱原発組があって、この二項対立でいくと、原発推進派は村にこもってしまうというところが、この間あったと思います。実は、その中間的な戦略派というのが層が厚くなかった。このことが最大の問題点だと思ってますので、私は原発は徐々に減らしていく、そういう絵姿を描けたらと思ってます。描けると思います。

大きく申し上げれば、やはり旧パラダイムから新しいパラダイムに中長期的に変えていく。集権型から分散型に変えていく。それを短期と中期と長期でリアルな形で行程表をつくり上げようというふうに思っています 」

御厨

「それは、めどはどういう感じであるんでしょう。例えば時期なのか、どうなんでしょう、その辺」

玄葉

「短期で申し上げれば、やっぱり、まずこの2〜3年の対策をどうするかというのはありますよね。今も新聞記事にございましたけれども、この電力不足への対応どうするか。LNG(液化天然ガス)を活用するのかとか、火力を使うのかとか、再稼働なのかと、こういう問題があります。

同時に、一方で中長期でとても大事なのは、やっぱり省エネなんですね。つまり、これ1兆キロワット/アワー、いま日本の発電電力量あるんですね。なかなか1兆キロワット/アワーといってもぴんときませんけども。2030年に実は計画つくってるんですけど、発電電力量は同じだという想定なんです。これを本当にスマートグリッドとかで減らすことができたら、絵姿はかけるんですね。だから、実はこの省エネが、再生可能エネルギーも大切ですけれども、この省エネの技術革新が最大のポイントだと申し上げて間違いないと思います」

御厨

「なるほどね。石破さん、玄葉さんはこうおっしゃってますけど、いかがでしょう」

石破

「まじめに考えればこういう結論になるのですよ。スローガンで『脱原発か、原発推進か』みたいな、そういう二項対立を今回絶対やってはいけないんですね。じゃあ、だんだん原発のウエートを減らしていくんだけれども、風力あり、地熱あり、火力あり、太陽光あり、どの手段がどれぐらいのコストがかかりますか、そのためにどれぐらいの年月がかかりますかというのは、きちんと客観的に出ることなんです。そういうものをまずテーブルの上にのせましょうよと。

そして原発でも、今回福島のように古い原発はあのようなことになった。だけど、女川の原発というのは、あれだけの地震、津波にきちんととまり、きちんと冷やせた。新しい原発というのは安全性は高いんですよね。そうすると、古い原発はやめていく。それを新しいものに置きかえる。そのときの安全の基準というのはどうなんだと。政府が言うだけじゃなくて、国際機関もそうだと言うことが必要だし、玄海にしても、佐賀にだけは説明したんだけど、福岡とか長崎とか聞いてないわけですよ」

御厨

「そうですね」

石破

「そんなばかなことがありますかと。理を尽くしてきちんとした客観的な厳しい基準で、新しい原発どうしますかという議論と、代替エネルギーをどれだけのコストで、幾らかかってもいいなんて話にならないですよ。それは国民生活成り立たないから。産業競争力なんかないし、雇用もなければ医療も福祉もないわけです。安全・雇用そして経済、このことを総合的に議論しないと、私は禍根を残すと思いますね」