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第二八三回('09年12月27日 放送)
 「私の重大ニュース」
 〜激動の1年の終わりに〜
 ゲスト: 野中広務 氏 / 半藤一利 氏

― 激動の2009年の重大ニュースから
御厨

「半藤さんは、重大ニュースに『天皇陛下と中国副主席の特例会見』をあげましたがどうして、このニュースを?」

半藤

「僕は、このニュースを聞いた瞬間に、昭和史を思い出しました。陸軍が天皇陛下を利用して、強引な事をやっていくという一歩を踏み出した、満州事変の時のことを」

御厨

「はい」

半藤

「最初は、ほんのつまらない事で始まったんですよ。だからね、これで味しめてグングンと民意と選挙の数と、そして政治主導という名のもとに、ドンドンまたこういう事が起きることを懸念しますね」

御厨

「なるほど」

半藤

「天皇陛下というのは、ソフトに大事にしておかないと、自分たちのために使うのはよくない。ちょっと、私は、これ黙って見てちゃいけないんじゃないかと思いました」

御厨

「野中さんはこの問題に関して、どうお考えですか?」

野中

「こういう事が、起こるということは、1930年代からの戦争の多くの反省点が、いかされていないと思います」

御厨

「なるほど」

野中

「政治が権力もってこんな事しだしたら、取り返しのつかない事になる」

御厨

「この問題では、小沢氏と宮内庁長官とのバトルもありましたが、この対立は、どう思いましたか?」

半藤

「対立そのものは、羽毛田長官が『ルール』なんて言い出したから、つまらない論争になったんですが、基本にあるのはもっと違う問題ですね。天皇家をどういう風にこれからの日本人は扱っていくのか」

御厨

「はい」

半藤

「それを基本に、置かなきゃいけないと思うんですよ」

野中

「私も同じです。しかも、総理が、何かを発言するとか、官房長官が総理に代わって発言するというのなら、それは、また別の話でありますけれど」

御厨

「はい」

野中

「党の幹事長が、すべてに先立って発言をされるというのは、これまた異常な事であって、非常に醜い対立が、国民の前に露呈されたのは、天皇陛下のためにも、ご迷惑をおかけしたという風に思っております」