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第二七六回('09年11月8日 放送)
 「オバマ大統領がやってくる」
 〜でも、閣内はバラバラで〜
 ゲスト: 野中広務 氏 / 寺島実郎 氏

― 「普天間基地・移設問題」について
御厨

「オバマ大統領・来日を目前にしても、閣内の意見がまとまっていません。野中さんは、政治家の中でも、沖縄問題には深く関わってこられましたが、どう思われますか?」

野中

「岡田外務大臣の発言を聞いてると、岡田さんは普天間や辺野古に行ったことがあるのだろうか?嘉手納に行って、嘉手納の軍隊中身や、あるいは普天間の海兵隊の中身を見てきたのだろうかという疑問すらわくんですね」

御厨

「なるほど」

野中

「また、国会の最中に、なぜあれほどアメリカに行こうとして慌てたのか?非常にまだ疑問に思います」

御厨

「そうですね」

御厨

「そもそも岡田さんの主張する、嘉手納への可能性はあるのですか?」

寺島

「と言うよりも、21世紀に入り、9.11に襲われて、アメリカ軍の戦略目的が大きく変わった。ユーラシア大陸を見渡して『不安定の弧』に対応するために、米軍全体を再編しようとする大きな流れなんですね」

御厨

「はい」

寺島

「その中で、この沖縄の基地問題に対する合意が、前政権の段階で行われた。しかし今、その後のアジアの情勢のさまざまな変化、例えば、中国とアメリカの関係というのは、我々には考えられない位、密度が濃くなってきています」

御厨

「はい」

寺島

「それからロシアも、色々迷走したけど、また新たな体制になって変わってきている。そういう状況下で、在日米軍再編問題そのものを、しっかり問い直して、政策目的に国益が適うのかどうなのか」

御厨

「はい」

寺島

「基地の目的ごとに日本の政策と合致するかどうかを吟味して、アメリカの立場も理解しながら、もう1回、議論し直すところに持っていかないといけないと思います」

御厨

「しかし、着地点が無いままの引き伸ばしは、危険ではないですか?」

野中

「私は怖いですね。このままやったらオバマ会談は、成功したとわ言えないと。言えないし、鳩山さんの総理としてのあり方にも、影響を与えるのではないかと心配します」


― 「これからの日米関係」
野中

「鳩山さんが、東アジア共同体を言われるのは、いいことだと思います。けれどASEAN+3というのが、現にアメリカも入ってあるんです。これにどのように日本がコミットするのか」

寺島

「そうですね。アメリカとの同盟関係は、我々が思っているほどしっかりしていないです。いわば、軍事片肺同盟なんですよ」

御厨

「と言いますと?」

寺島

「例えば、経済については、韓国とアメリカとの間にあるようなFTA、自由貿易協定のようなものさえない」

御厨

「なるほど」

寺島

「ですから、経済に関する日米の関係をより深いものにしていくFTA構想のようなものに踏み込むことも必要だし」

御厨

「はい」

寺島

「安全保障については、次なる時代に向けて、未来志向の関係というものを再構築することをテーブルに出して、アメリカを巻き込みながら、アジアとの重層的な関係を作っていく。そういう時代認識なんだろうと思うんですね」