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過去の放送 出演者 時事放談「サロン」 テレビプロデューサーの日々
 
 
第二六九回('09年9月20日 放送)
 「何が期待できるのか?
   何に気を付けなければならないのか?」
 ゲスト: 渡部恒三 氏 / 片山善博 氏

― 期待できるか!?鳩山首相
御厨

「渡部さんは、鳩山さんを昔から知っておられると思いますが?」

渡部

「そうだな、小学校6年生から知ってる。私は早稲田の学生の時、音羽の鳩山邸によく行っておった。その頃は『おじいちゃんに負けないようにしっかり勉強しろ』なんて言っておったんですが(笑)」

御厨

「その鳩山少年が、総理大臣になりましたね」

渡部

「ある日、突然、田中角栄さんに呼ばれて、目白に行ったんです。すると若い青年がおって『これを今度、北海道から衆院選に出させることにした。大学は工学部で政治のことは何も知らないから、一から教えてやってくれ』と言われまして」

御厨

「そうでしたか」

渡部

「だから、北海道に一緒に泊り込んで、お辞儀の仕方から、ずっとやって」

御厨

「ああ、お辞儀の仕方は、渡部さんが伝授されたんですね」

渡部

「それから長い付き合いですが、私は、鳩山由紀夫の人間性を気に入って付き合ってきたんです。一遍も不愉快な思いをしたこと無いね。これからどうなるか分からないけれども(笑)」

御厨

「片山さんは、どう見ておられます?」

片山

「多分初めてじゃないでしょうか、博士号を持った方が総理になるのは。しかも理工系ですよね。これまでは、法律とか経済をやった人ばかりでしたよね」

御厨

「そうですね」

片山

「日本のこれからの科学技術の振興だとか、国のあり方を考えた場合には、為政者に理工系に強い人が座るのは必要なことだと思います」

御厨

「なるほど」

片山

「ただ、細川護熙さんと、ちょっと似てるなという印象があって、非常に生まれが良い、育ちが良い。ですから『守りに強いか?』とか、そういう面はこれから、未知数。『未知との遭遇』ですかね」

― 「チーム鳩山」組閣については?
片山

「私は『いろんなこと、気配り内閣』だと思いますね。スター・プレーヤーを配置してますよね。それから三党連立を組む以上は、党首を入れると。それから民主党の中のいろんなグループに対しても気配りをしてますよね。かなり『気配りをしすぎたのかな』という印象はあります」

渡部

「それはおっしゃる、通り」

片山

「逆にあまり気配りされない方が良いと思うんですよ。それは鳩山さんが代表として選挙を大勝されたんですから、その力を自分の自信にして内閣を運営されたら良いと思うんです」

御厨

「なるほど」

片山

「特に、今回連立を組むために、いろんな気配りをしましたよね。私はかなりマイナスの要素を内閣が持ったと思うんです。最初に枠組みを決めておいて、後でいろんな法案を議論なく通したいということなんでしょうけど、やはり政治はダイナミックに、いろんな所で議論があったら、その時そこで、論戦して決めれば良いと思うんです」

御厨

「気になる財源の7兆円。これを引き出すのは、上手くいきますか?」

片山

「それは、そんな難しい事ではないと思います。財務省に新しい政権が入られて、国家戦略局にも新しい体制が出来て、1つ1つ既存の予算を点検していくと無駄はいっぱいありますから」

渡部

「その通りだ」

片山

「かなり抵抗があったり、場合によっては血が出たりしますけど、国民の目から見て『本当に無駄だね』『有効性低いね』というお金はいっぱいありますから、それは大丈夫だと思いますね」

渡部

「藤井財務大臣は、適役です。また藤井君の足りないところを、野田副大臣が全部持ってるから。組み合わせて上手くいく」

御厨

「なるほど。大臣の選定を経て、大化けしそうなのが仙谷大臣ですね」

渡部

「この人も良いですよぉ。彼は政策通という事になっているけど、若い者の面倒も良く見るしね。鳩山君を組閣で褒めるとしたら仙谷君をこのポストに入れた事。まだ本人には言ってないけど、褒めようと思ってる」

御厨

「そうですか。仙谷さんの行政刷新会議は、いかがですか?」

片山

「これはですね、仙谷さんだけが一生懸命、頑張ってもなかなか難しいと思うんですよ。行政刷新会議には『各省に対して強い権限を与える』と報道されていますけど、むしろ各省の大臣がそれぞれ行政刷新をやる覚悟と力量を持たないとダメだと思うんですね」

御厨

「なるほど」

片山

「仙谷さんだけが頑張るんじゃなくて。役所のトップである大臣が号令をかけて『無駄をやめようね』という風に言わないと役人は動きませんから。自民党時代は、大臣がむしろ予算では、役人の防御に回ったりしてましたけど」

御厨

「そうですね」

片山

「そんな事をやってると、仙谷さんだけが1人苦労する事態になりますから。内閣全体の問題として各大臣が、行政刷新のメンバーになったつもりで、協同してやらないといけないと思いますね」