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第二六八回 ('09年9月13日放送)
 「スタート鳩山政権」
 〜最初の100日が勝負〜
 ゲスト: 武村正義 氏 / 仙谷由人 氏

― いよいよ出航!鳩山丸
後藤

「鳩山政権がスタートしました。国民新党や社民党との連立協議に、やや時間がかかったようにも見えますが?」

武村

「16年前の細川内閣から日本の連立政権の時代が始まって、ずっと連立政権なんですね。もう二度と自民党単独の政権は、戻らなかったし、色んな組み合わせを試行錯誤してきたなと思います」

後藤

「そうですね」

武村

「今回、政権交代になり、全く新しい状況ですが、それでも参議院のこともあり、2つの政党と組まざるを得ない状況で、協議が行われました。しかし、同じく12〜13年前にドイツが政権交代した時は、組閣の人事とか、副大臣とか、政府の委員会など、細かな相談を1ヶ月もかけて、やっと新内閣が出来たことを考えると、日本は、16日間で出来たのは、早すぎるぐらいです」

後藤

「なるほど」

武村

「連立政権のスタートは、時間を掛けて、細々したところまで詰めて、準備した方が、後に上手くいくのではないかと思います」

後藤

「今回の選挙の民意は、民主308議席、社民7議席、国民新党3議席。あえて連立を組む必要はあったのでしょうか?」

仙谷

「そういうお考えも、なんで議席が少ない政党とこんなに丁寧にやってるんだというのも、僕も感性レベルとしては、分からないでもないんですが、政治というのは、結果を残していく作業が、どうやれば出来るのかを見通してやっていくのが、一番正しい方向ですから、遅いと言われても気にしない方が良いんじゃないでしょうか」


― 気になる「国家戦略局」とは?
後藤

「国家戦略局の担当には、菅直人さんの起用が固まって、早くも官僚がピリピリしているようですね。この国家戦略局のイメージがなかなか沸いてこないのですが、どうやって運用させていくんでしょうか?」

仙谷

「一番我々が感じてるのは、霞ヶ関が『由らしむべし知らしむべからず』で、ずっとやってきたこと。情報独占をして、一方で隠して、一方で与党に出しながら、しかし全部出さないで操作的に動かしてきたみたいなことです」

後藤

「はい」

仙谷

「ここの大掃除をすれば、お金の面でも、重複して使われたりしているものが、相当出てくるんじゃないかと思うんですよ。そこは、どうも行政刷新会議の仕事じゃないかと、僕自身は見ている訳ですが」

後藤

「なるほど」

仙谷

「国家戦略局としては、予算を作っていくことと、『こういう方向性なんだよ』と『こういう社会をつくるんだよ』『国際社会でこう生きていくんだよ』とビジョンと言いますか、将来の設計図を書く仕事がある。それが大きい仕事ですね」

後藤

「財務省との関係は?」

仙谷

「一番、直接の当事者は、財務省主計局みたいな話で。『主計局が今までやってきたことを、どれだけ取り上げられるのか?』という発想になると、そこは大変なバトルになるのかなと思ったりもするし、今、その辺は報道もゴッチャに入り混じってますね」

後藤

「武村さん、菅さんといえば『自社さ・橋本政権』の厚生大臣で、『薬害エイズ問題』で名をはせたわけですが、その当時の菅さんの手法は、どうご覧になっていたんでしょう?」

武村

「菅さんは、あの時は『建設大臣か運輸大臣をやりたい』という希望だったんですよ。私は党首として『党のイメージとしても、厚生の方が良いんじゃないか』と勧めて、厚生大臣を受けていただいた経緯がありました」

後藤

「そうですか」

武村

「すぐにエイズ問題で、情報公開をいち早く取り上げて、厳しく官僚を追及して表にデータが出ましたね。あれが、大成功だったのは良かったと思います。思いますが、官僚をどう見るかですけど〜」

後藤

「はい」

武村

「政治主導も良いんです、基本的には良いんですが、官僚なしでは、1日も民主党政権はもちません。何十万という官僚が、協力しなきゃ、政府の仕事は1本も進みません。財政赤字の問題も、見方を変えると、自民党という政治主導の結果、こんな巨大な赤字が溜まりに溜まったとも言える」

後藤

「なるほど」

武村

「もし官僚に任せていたらこんな赤字にしなかったかも。自民党がいつも、増税はするな、この仕事はするが、この仕事はするな、とばかり要求してきたもんだから、財政の出と入りが歪んで、溜まりに溜まって800兆円という大赤字。これは政治主導の歪んだ結果かもしれませんね」