後藤 |
「国家戦略局の担当には、菅直人さんの起用が固まって、早くも官僚がピリピリしているようですね。この国家戦略局のイメージがなかなか沸いてこないのですが、どうやって運用させていくんでしょうか?」 |
仙谷 |
「一番我々が感じてるのは、霞ヶ関が『由らしむべし知らしむべからず』で、ずっとやってきたこと。情報独占をして、一方で隠して、一方で与党に出しながら、しかし全部出さないで操作的に動かしてきたみたいなことです」 |
後藤 |
「はい」 |
仙谷 |
「ここの大掃除をすれば、お金の面でも、重複して使われたりしているものが、相当出てくるんじゃないかと思うんですよ。そこは、どうも行政刷新会議の仕事じゃないかと、僕自身は見ている訳ですが」 |
後藤 |
「なるほど」 |
仙谷 |
「国家戦略局としては、予算を作っていくことと、『こういう方向性なんだよ』と『こういう社会をつくるんだよ』『国際社会でこう生きていくんだよ』とビジョンと言いますか、将来の設計図を書く仕事がある。それが大きい仕事ですね」 |
後藤 |
「財務省との関係は?」 |
仙谷 |
「一番、直接の当事者は、財務省主計局みたいな話で。『主計局が今までやってきたことを、どれだけ取り上げられるのか?』という発想になると、そこは大変なバトルになるのかなと思ったりもするし、今、その辺は報道もゴッチャに入り混じってますね」 |
後藤 |
「武村さん、菅さんといえば『自社さ・橋本政権』の厚生大臣で、『薬害エイズ問題』で名をはせたわけですが、その当時の菅さんの手法は、どうご覧になっていたんでしょう?」 |
武村 |
「菅さんは、あの時は『建設大臣か運輸大臣をやりたい』という希望だったんですよ。私は党首として『党のイメージとしても、厚生の方が良いんじゃないか』と勧めて、厚生大臣を受けていただいた経緯がありました」 |
後藤 |
「そうですか」 |
武村 |
「すぐにエイズ問題で、情報公開をいち早く取り上げて、厳しく官僚を追及して表にデータが出ましたね。あれが、大成功だったのは良かったと思います。思いますが、官僚をどう見るかですけど〜」 |
後藤 |
「はい」 |
武村 |
「政治主導も良いんです、基本的には良いんですが、官僚なしでは、1日も民主党政権はもちません。何十万という官僚が、協力しなきゃ、政府の仕事は1本も進みません。財政赤字の問題も、見方を変えると、自民党という政治主導の結果、こんな巨大な赤字が溜まりに溜まったとも言える」 |
後藤 |
「なるほど」 |
武村 |
「もし官僚に任せていたらこんな赤字にしなかったかも。自民党がいつも、増税はするな、この仕事はするが、この仕事はするな、とばかり要求してきたもんだから、財政の出と入りが歪んで、溜まりに溜まって800兆円という大赤字。これは政治主導の歪んだ結果かもしれませんね」 |