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第二六七回 ('09年9月6日放送)
 「スタート鳩山新政権」
 〜大丈夫か?期待と不安〜
 ゲスト: 野中広務 氏 / 藤井裕久 氏

― 民主・圧勝308議席!鳩山総理誕生へ
御厨

「鳩山さんは、宇宙人といわれたりしますが、どんな方ですか?」

藤井

「私は、鳩山さんのお父様・鳩山威一郎さんにお仕えいたしましが、この方は非常に頑固な方でした。それは、遺伝してますね。頑固です。良い意味で頑固です」

御厨

「そうですか」

藤井

「それから宇宙人というのは、俗世間の雑事にあまりこだわらないんですね。『地位が人をつくる』と言うじゃないですか、この方は、そういう方だと思います。素養が無いと地位を与えても、なかなかそうじゃない人もいますが、この方は、だんだん成長されるのではないでしょうか」

御厨

「野中さん、鳩山さんの印象は?」

野中

「まぁ、エース中のエースですからね。ただ私どもが付き合った範囲で言いますと、ちょっと強い力に当たると、ひ弱さが出るという危なさがあるんですね」

御厨

「なるほど」

野中

「だから今度の執行部との関係を見てみると、やや私は、鳩山さんが苦労をするのではないかと、押し切られるのではないかなと、心配します。けれども、総理ですからやっぱりキチンとした対応をされることを期待してます」

御厨

「その鳩山新政権なんですが、期待度が高いですね。野中さんは、どうご覧になりますか?なんで、こんなに高いのか?」

野中

「それは自民党が、だらしが無かったからですよ。自民党は負けるべくして負けたんですよ。私はそう思いますし、そういう不満が、民主党の期待に繋がっていった。私はそう考えてますがね」

御厨

「しかし、藤井さん、これだけ期待が高いと、期待に応えないとあっという間に逆転する、両刃の剣ですよね」

藤井

「その通りだと思います。私は、これから出てくる若い議員に、反面教師として『今の自民党をよく見なさい。もし君たちが真面目にやらないならば、こうなりますよ』と言うつもりなんです」

御厨

「そうですか」

藤井

「また期待に応えるには、マニフェストに書かれた事を、誠実に実行する事に尽きると思うんです」

御厨

「今、マニフェストという言葉が出ました。よく最初の100日が勝負と言われてますけど、マニフェストの中で、どれを優先されるんでしょう?」

藤井

「まず来年度の当初から『子ども手当』『高校の実質無償化』これだけをやる。あとは、2年前に大騒ぎをしました『暫定税率の廃止』ですね」

御厨

「なるほど」

藤井

「暫定税率の廃止は、2兆5000億円。私は『マイナスの財源にはならない』と言っているんです。『その分、道路建設を止めろ』と言うのが私どもの意見ですので。しかし、少なくとも税収が減ることは間違いありません。そんな中で、節約が出来るか、出来ないかの話は、次の段階で話をいたします」

御厨

「野中さん、いかがですか?」

野中

「これはね、私、口が悪いけどね、財源も何も示さないで、食べたいものを並べ立てたのは、買収選挙をやった事になると思うんですよ」

御厨

「民主党は、国の総予算207兆円を徹底的に効率化し、無駄遣い根絶することで、財源を確保するとしています。藤井さんは、大蔵省出身で予算のプロでいらっしゃいますが、本当に出来ますか?」

藤井

「出来ますね。まず、政権が変われば、公務員の態度が変わるんですね。例えば、会社では、社長が変わるだけでボロボロ無駄が出てくるんです」

御厨

「なるほど」

藤井

「例えば、4700の公益法人に2万5000人が天下りをしている。そこに12兆6000億円のお金が出ている。これは、ほとんど無駄ですよね。天下りの持参金です」

御厨

「これを無くしていくということですね」

藤井

「それからもう1つは、私どもは、9兆1000億円、節約できると言っているのですが、自民党の方と議論した時に『会計検査院の検査では、1000億円しか出ない』というんですね。『そんなに無駄が、出るはずが無い』と」

御厨

「なるほど」

藤井

「しかし、私が言うのは『会計検査院とはなんでしょうか?』ということなんです。これは、経理ミスを直すところなんですよ。そうじゃなくて、根っこにあるものを直さないといけない」

御厨

「はい」

藤井

「例えば、道路特別会計があるわけです。この中に公益法人を作って、国土交通省の人間を天下りさせて、金貸し業をやっている。金貸しだけじゃありませんね。健康チェアーだとか、マンションだとか」

御厨

「そうですね」

藤井

「これを全部、根っこからひっくり返すんです。私はこれが出来なかったら政権交代をする意味がないと思います。そのくらいの決意を持って臨もうじゃないか、と若い議員に言っております」

御厨

「いかがですか、野中さん?」

野中

「藤井さんをどこのポジションに据えるかによって決まると思うんです。今のところ官房長官、幹事長が決まったと聞いてますけど、この人がいなかったら、あの党はグチャグチャになっちゃう」

藤井

「いえいえ」

野中

「大蔵省で酸いも甘いも全部知ってきた人で。そして現場を知り、中央官庁を知って、全てをやってきた人ですから、この人が座るポストによって、上手くいくかどうか分ると思いますよ」