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第二五九回 ('09年7月5日放送)
 「大迷走!」
 〜退陣か!?解散か!?〜
 ゲスト: 加藤紘一 氏 / 武村正義 氏

― 自民党内の反発強く…麻生首相、党人事を断念!
御厨

「今回の党人事ですが、なぜ出来なかったんでしょうか?」

加藤

「これから1〜2ヶ月後に総選挙がある時期に、総選挙の指令本部長である幹事長を代えるのは、自民党の歴史上ない。それをやる時は、徹底的に根回しをしなきゃならないですね」

御厨

「党内の反発が強かった?」

加藤

「最終決定機関の総務会でいろいろ噴出したということです。私もそのメンバーでいましたが、僕も反対しました。大抵それをやる時は、総務のメンバーに根回しで『総理がこういう人事をやりたいんだが、納得してください』と、事前に了承を取っておくものです」

御厨

「なるほど」

加藤

「私が、幹事長を3年やっていた時は、日々そんな事ばかりやってました。ところが、それを行う幹事長そのものを代えちゃうわけだから、幹事長はそんな根回ししたくないですよね」

御厨

「それは自分を代える人事ですからね(笑)」

加藤

「だから元々おかしいんですよ、この話は」

御厨

「武村さんは、この話をどうご覧になります?」

武村

「恐らく、過去に選挙直前に党内の大きな人事をやったのは、例が無い。それでもやると言うのは、それほど政治が、ポピュリズムになっている、テレビ政治の時代になってきていることを物語ってるのかもしれません」

御厨

「なるほど」

武村

「要するに、テレビ映りの良い人に代えて、少しでも有利にと。手段を選ばない政治になってきている感じがしますね」

御厨

「実際に、舛添幹事長なんて話は、どうご覧になりましたか?」

加藤

「政策マンとしては有能な人だけど、自分を殺して根回しして、全体をまとめていくのはあまりにも経験が少ないと思います」

武村

「それこそ、テレビ映りが良いからだという1点じゃないですか。根回しとか、本当の政治家としての度胸とか、問われるのは、そういう所ですから。そこまで皆が見て候補になってるのか分かりません」

御厨

「東国原大臣なんて話もあって、東国原さんもその気になって、条件が総裁候補だとか?」

加藤

「私は、古賀選対委員長が、東国原さんに、立候補してくれとか、一議員としてですよ。それから、自民党候補者の応援に回って欲しいと頼みに行くのは、僕は当たり前だと思います」

御厨

「なるほど」

加藤

「だから、古賀さんを悪く言う人がいるけれども、これは選対委員長として、なるほどなと思います。ところが、東国原さんの方が、少し勘違いしているんじゃないでしょうか。『自分を総理にするか?』というわけでしょ。それはないですよ」

御厨

「東国原さんは、その後も国政に意欲がある感じに見えるんですけど?」

武村

「私は、おかしいと思います。だって、まだ2年ちょっとでしょ。4年の任期を前提にして立候補し『頑張る』と言っておいて。私の経験から言っても、県政というのは、8年ぐらい黙々と仕事をして、やっと2つ、3つ実績が出来るぐらいの世界ですよ」

御厨

「そうですね」

武村

「古賀さんの方も、一期足らずの知事に国会議員を勧めに行くのも、問題だと思うし、それに大乗りの東国原さんは、『大いに無責任だ』と言いたいですね」

御厨

「今回も、どうして、麻生首相の発言はドンドン変わったのでしょうか?」

加藤

「やはり、基本的に自分の戦略をしっかり深く考えないからだと思います。ですから、執務室に早めに入って、強い言葉で言った人の意見に動かされてしまう」

御厨

「なるほど」

加藤

「今度の場合、安倍晋三さんの意見をだいぶ取り入れたという事から始まったと言われてますが、夜中の10時頃に安倍元総理が、入って、そこから始まってるんですね。しばらくしたら、森元総理が行って止めた。大掴みに言えば、そういう事じゃないかと」

御厨

「武村さんはどうですか?『しかるべき時に、しかるべき人を、前から考えていた』と言ったら、国民は改造があるかな?と思いますよね?」

武村

「とにかく『迷いの麻生太郎さん』というイメージを持ってしまいますね。そもそも選挙を目的に選ばれた麻生さんですから、選挙を回避して、フラフラしだしてから『喧嘩太郎の麻生さん』じゃなしに、迷いの麻生さんで終始してるのは残念ですね」

御厨

「そうですね」

武村

「結局、政治家にとって1つの大事な要素は、最後の最後は『度胸』というのはありますね。普段見えないんですが、本当に極限状態に置かれた時に、腹を決められるかどうかで、その政治家は評価されます」

御厨

「なるほど」

武村

「まだ解散という最終の大きな勝負どころが残ってますけど、最後に度胸を発揮できるかどうか」

御厨

「サミットでの記者懇談会の場で『解散宣言』をするのでは?という見方があるんですが、どうでしょう?聞きなれない言葉ですが〜」

加藤

「解散宣言?聞いたこと無いですね。それは殺人を予告するようなものです。これはあり得ないと思います。ですから、都議選が終わった後どうするか、という事だと思いますよ」

武村

「私も初めて聞きますから、コメントしようがありませんが、公明党が都議選と重なるのを猛反対してきましたから、折衷案でそういうのを考えたんじゃないでしょうか」

御厨

「麻生首相は、都議選の開票直後に解散する戦略を狙ってるとも言われてますけど?」

加藤

「麻生さんが『自分の手で解散を』と思えば、あると思いますね。ただ都議選が思わしくない結果だったら、かなりの(麻生降ろしの)エネルギーが出てくると思いますね」

御厨

「と言いますと?」

加藤

「今、みんな抑えてます『7・12都議選までは、騒がないように』と、都議選に悪い影響が出るといけないから」

御厨

「そういう事なんですね。武村さんどういう風にご覧になります?」

武村

「でも、もう解散はドンドン迫ってきますよね。我々が聞いてるのは『8月上旬』か、さもなくば『8月下旬ギリギリか、9月初め』か、この2つに絞られてきてるでしょ」

御厨

「はい」

武村

「その幅は1ヶ月ないんですね。もうどっちが良いかなんて、あまりここでしのぎを削らないで、麻生さんも度胸を決めて、しかし今度は、根回しも少しして、最後に解散くらいは麻生さんらしく断行して欲しいですね」