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第二四七回 ('09年4月5日放送)
  「4月から色々変わります」
  〜いつ解散?麻生氏 VS いつ辞める?小沢氏〜
  ゲスト: 藤井裕久 氏 / 片山善博 氏

― 森田健作氏 千葉県知事に!
御厨

「森田知事の当選をどう思われましたか?」

片山

「知名度の高い方ですし、他の候補は、やはり知名度が低かった。その中で浮上されたんだと思いますが、私は1つの論点として、政党がやはり、もっとこういう地方の選挙でも、人材の養成とか、候補の育成をやらなきゃと思いますね」

御厨

「と言いますと?」

片山

「政党は、間際になって候補者をドタバタ、決めるんですよ。そういう状況の中で、ポッと知名度のある方が出てくる選挙が多いですよね。本当はもっと長期間かけて、その地域の課題、政策課題を政党がキチンと整理をして、そのための処方箋を出して、それを担う人は誰かということを、随分前から候補者を提示しなきゃいけないですよね」

御厨

「藤井さん、いかがですか?」

藤井

「片山さんの言われた通りだと思いますね。自民党もそういう傾向があるんです。あそこは「自分党」ですけどね。民主党は、地方組織が弱いです。そういう事から今、片山さんが言われたような事が出てきていますね」

御厨

「小沢代表の問題の影響は?」

藤井

「うちの代表自身は『自分の責任もある』と明確に言っております」

御厨

「片山さんも小沢問題が影響したと?」

片山

「それはあったと思いますね。特に不動層の影響は非常に高いですから、その不動層が小沢問題でかなり影響を受けたことはあるだろうと思います」

御厨

「森田健作氏には、クリーンなイメージがあったんでしょうかね?」

片山

「森田さんは、政党からちょっと距離をおきましたね。基本的には、自民党の方が多く支援されたんでしょうけど、自民党とは、一線を画してましたよね。そのことが持つ意味は大きかったと思うんです」

御厨

「なるほど」

片山

「やはり、自民党とか自民党政権は、支持率も低く、非常に評判悪いです。民主党は、小沢問題ありました。有権者には、政党に対する危機感があると思うんです。そんな中で『非政党、政党とのシガラミ、関係が無い』というのが、評価された。でも、これは裏を返せば、政党がもっとちゃんとしなきゃいけないという象徴的な意味があると思います」

御厨

「政党が、ちゃんとしなければいけない。民主党いかがです?」

藤井

「その通りだと思いますし、さっき申し上げたとおり、民主党について言うならば、地方組織がまた弱いことは、非常に大きな問題点だと思います。だいぶ変わりましたけどね。まだ弱いですね」


― 相次ぐタレント知事の誕生!はたしてその評価は?
御厨

「宮崎の東国原知事、大阪の橋下知事のこれまでを、どのようにご覧になっていますか?」

藤井

「私は、橋下さんは立派だと思っているんですよ。あの人はね、僕らが2年前に言った『直轄事業の地方負担は止めろ』と。橋下さんの言っておられるのは『地方から中央を変える』。本当の意味の力を持っておられる方だと私は思います」

御厨

「片山さんは、いかがですか?」

片山

「どちらも地方行政、地方自治を非常にクローズアップさせて、多くの国民の目を引き付ける効果があり、功績は大きいと思います。ただ地方自治体というのは、アピールするだけではなく、中の行政の実質をどう変えていくかと言うことがありますからね」

御厨

「そうですね」

片山

「そういう面で、藤井さんも言われたように、大阪の橋下さんは、頑張っていると思いますね。国との関係で言うと、直轄事業にしても、タブーみたいなところがありましたから。もう1つはハッキリ言いますと、国の天下り団体に対する会費を納入して、天下りを支えてるような面があるんですよ」

御厨

「なるほど」

片山

「そういう面を、地道な部分でバッサリ切ったりしてるんですよね。あまり報道されてませんけど、これは相当勇気のいることですよ。それから府庁の中の労使問題だとか、府の既得権益とか、そういう所にも踏み込んでますから」

御厨

「東国原さんはそこまでいってない?」

片山

「そこはですね、あの方は、対外的なアピールとか、宣伝とか非常に注目されてますけど、宮崎県政自体、県庁の中がどうなってるのか、全くニュースになってませんよね」

御厨

「そうですね」

片山

「私なんかが見ますと、ちょっと申し訳ないですけど、地方の県庁の中での官僚化が進んでるのではないかと〜。トップが外回りをしていると、中の方がお留守になりますから。これは内部を見てみないと分かりませんが、そこの情報発信が全くないですよね」

御厨

「森田知事は、東国原型、橋下型。どちらになるでしょう?」

藤井

「わからないです(笑)まだ、これからですからね。片山さんの言われた通り、知事は、宣伝だけでは駄目だと思います。やはり内部の行政をしっかりやらないといけない」

御厨

「片山さん、森田知事の今後の課題はなんでしょうね?」

片山

「知名度はありますから、橋下さんのように、知名度を上手く使いながら、内部改革ですね。県政自体の必要な課題を推進していく。そちらの方にエネルギーを投入されることだと思いますね」

御厨

「なるほど」

片山

「外向けには色んな事をされると思うし、出来ると思うんです。マスコミも注目しますから。ですけどその影で、内部がお留守になってしまうと、お役人の方が、シメシメとなってしまうのでね」


― ズバリ!小沢代表の進退は?
御厨

「秘書が逮捕された日に、代表を辞めるべきだったのでは?という議論がありますけれども、藤井さんは、どうお考えでしょう?」

藤井

「この問題はですね。2つの問題がこんがらがっているんですね。つまり、法律論。もっと言ってしまえば『検察のやり方の問題』と、『政治と金の問題』というのが絡まってる」

御厨

「なるほど」

藤井

「私は、これは峻別すべきだと思っているんです。ですから『政治と金の問題』という点については、やはり、代表は、早く結論を出されたほうが良かったという風に思っております」

藤井

「ただね、もう1つの面は『帝人事件』というのがありましたね。これは、ご承知のように斎藤実内閣ですね。平和主義者です。大蔵大臣が高橋是清で、これも軍備縮小ですよね。それから広田弘毅。これも平和で解決しようとした。これが、目の上のたんこぶだから、潰そうということから始まったのは、否定できない」

御厨

「そうですね」

藤井

「しかし、4年経ったら、全員が無罪になった。ですから、そういう面は必ずあると思うんですが、今、申し上げたように、これは峻別しなくてはいけないと思っております」

御厨

「片山さんは、どうでしょう?」

片山

「藤井さんが言われた『法律面の問題』と、それから『政治面の問題』を峻別しなければいけないと言うのは、私もちょっと違った意味でその通り思うんですよ」

御厨

「と言いますと?」

片山

「法律面で言いますと、秘書が、政治資金規正法違反で逮捕された。これは従来のこの問題に対する取締りとは、ちょっと違ってると思うんですよ。『法の下の平等ですか?同じ様な事象があったら同じ様に検察はやってますか?』という意味の法の下の平等に反するんではないか、という疑念があるわけですよ」

御厨

「そうですね」

片山

「ですから、小沢さんは、なんで俺が辞めなきゃいけないんだ、不公正じゃないか、辞められない、という心境になられるんだと思うんですが、政治面でいうと、民主党というのは、今までの自民党政治のやり方を変えようというのが、党の基本的な方針ですよね。今回のことで、政治資金規正法違反の問題とはちょっと別に、まだ民主党の党首は、まだゼネコン頼りだったんですか、という問題が透けて見えた」

御厨

「なるほど」

片山

「それって自民党政治と同じか、もしくはその延長じゃないですか。これは私は民主党にとっては、致命的だと思うんですよ。そういう面で言いますと、この際やっぱり旧態依然としたスタイルとは決別しましょうということであれば、さっさと辞められる。それがあるべき姿ですよね」

藤井

「この問題で、代表が言っておられることは一貫している。つまり『選挙に勝つことが、全てなんだ』と、このことは、本人の言葉だけじゃなく、嘘じゃないと思います。16年前に自民党を辞めた時は『2大政党を作るんだ』ということから始まっていますから、それは原動と言葉は、全く同じだと思うんです」

御厨

「なるほど」

藤井

「ですから、今、片山さんが言われたような根深い不信感というのは事実ですから、そういう事を見ながら、この言葉のように、代表は、基本にあるものをキチンと実行されると思います」