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第二四六回 ('09年3月29日放送)
  「辞めない小沢氏 辞めない麻生氏」
  〜カウントダウン6ヶ月〜
  ゲスト: 森 喜朗 氏 / 渡部恒三 氏

― 小沢代表・涙の会見!
御厨

「渡部さん、いかがです?小沢さん泣いてましたね」

渡部

「40年つき合ってきて、彼の涙を見たのは2度目です。随分前になりますが、金丸先生がお亡くなりになった時、ちょうど枕元に私と竹下登さんがいたんですが、そこに小沢君が来て、大きな声で泣いた」

御厨

「そうでしたか」

渡部

「これは人の為に泣くのは、男として良いと思ったけど、今度は自分の事で泣くのはね。どうかと思うな」

御厨

「男の涙は、ダメですか?」

渡部

「男は、人の為には、どんなに泣いても良いけど、自分の事で泣いてはいかん。加藤紘一君が加藤の乱で、辞めた時に、泣いて。僕は『男は自分の事で泣いちゃいかん』と言ったんです」

御厨

「森さんは、この会見をどうご覧になりましたか?」

「やっぱり苦労をして、なんとかこれで政権交代が出来るんじゃないかと、周りではね、僕達は必ずしもそうは見てないんだけど、そういう所まで、ありとあらゆることがあったでしょ。自民党を出られてからね。例の大連立の時も、僕は中に入ったりしたから、その中でやっとここまで来て、ご自分では9合目にまで来たというお気持ちだったでしょうから。それを思うと、悔し涙も出てくるんだろうと思いますよ」

御厨

「なるほど」

「だから自分の事で泣くのはいかんか、良いかと言うけど、悔しさは出てきたんだろうと思いますけどね。それはそれとして、党を率いていかれるお立場から見れば、涙で誤魔化してはいけないと思いますけどね」


― 小沢代表・第一秘書逮捕!その時・・・
御厨

「渡部さん、小沢さんの秘書が逮捕された日は、何をなさってましたか?」

渡部

「全くの偶然なんですが、私と小沢君とで囲碁を打っていました。その日、4時からかな、約束して打って。そしたら5時かな、テレビつけたら大久保君が、逮捕されたというのが出た」

御厨

「そうだったんですか」

渡部

「私は、小沢君は豪胆な男だと思ったのは、私は全然その事を知らなかった。小沢君は知ってるわけだね。大久保君が、逮捕されることを。しかし、全然、私にそういう事を気取らせないで、堂々と碁をやって。碁というのはメンタルゲームですから、やっていて電話がきただけでもちょっと困るぐらいでね。私が逆の立場だったら、今日は勘弁してくれと言って、やれなかったと思いますよ」

御厨

「その瞬間は、どんな話をされたんですか?」

渡部

「小沢君は『絶対心配ない。間違った事はしてない』と言って。私は『そうか、しっかりしろ』というような事です」

御厨

「森さんは、どうご覧になりますか?一連の秘書逮捕から起訴までの小沢さんの心の揺れに関しては?」

「個人の立場ってものがあるでしょうし、もう1つは民主党全体の上に立って、党首としての責任もある。党首の感情が出る時と、個人の人間としての感情が出る時と、色々交錯しているんじゃないですか」

御厨

「なるほど」

「今、囲碁を打っていた時に、大変な豪胆だと、渡部さんはおっしゃったけど、逆にいうと、なかなか心が落ち着かないから、囲碁を打つことによって、心を静めていようという事だったのかもしれませんよね。まぁ、分かりませんね」

渡部

「これはね、国民の皆さんにも知って頂きたいのが、2つの心理が交錯してると思うんです」

御厨

「と言いますと?」

渡部

「今度のように、検察が、大久保秘書を強制捜査したような事は、今までありませんからね。政治資金の事務的な問題ですから。それで『強制捜査なんて、断じて許せない、頑張らなくちゃならない』という面が強く出る時と。一方、森さんの前で悪いけど、小沢君にしたって、私にしたって、自民党に残っていれば、森さんや小泉君より先に、総理になったかもしれないんだからね」

「・・・(笑)」

渡部

「しかし、その事を全部捨てて、この国に2大政党。自民党と、自民党に代わって政権を担当できる政党を作って、政治を国民のものにするという事で、やってきた」

御厨

「そうですね」

渡部

「だから、今度の事件の為に駄目になったなんて事になったら、申し訳ないから、今『次の選挙に勝てるかどうか、という事を物差しにして判断する』と小沢君が言うのは、その意味で。俺が党首に留まってる事が、次の選挙で勝つために不利になるか、あるいは俺が党首に留まっても勝てるかという事で、迷い苦しんでいる。それで、さっきの男の涙になったんだろうと」


― 小沢氏は、民主党代表を続投するのか?
御厨

「小沢さんは、代表は、辞めないですか?」

渡部

「当面ね」

御厨

「新聞などの社説では、辞任すべきが多いわけですが?」

渡部

「これは非常に難しいのはね。千葉の知事選挙の応援に行って、私が壇に立ったら、前の方に待ってた人達は『小沢さんを守ってやれ、辞めさせちゃ駄目だよ』なんて大きな声で言う。今度、演説が終わって、皆さんと『いや〜ご苦労さん』とやっていると『小沢さんに辞めてもらわないと、民主党勝てないぞ』と」

御厨

「なるほど」

渡部

「私の議員会館に来る電話も、大体半々です。『民主党が勝つためにやめてもらった方が良い』と言うのと、やっぱり『辞めないで頑張らせろ』というのと。非常に、小沢さんも苦しんでると思うな」