時事放談 トップページ 毎週日曜あさ6:00〜6:45
過去の放送 出演者 時事放談「サロン」 テレビプロデューサーの日々
 
 
第二四五回 ('09年3月22日放送)
  「広がる、強まる『政治不信』!」
  〜あさって小沢氏『判断』!政治は!〜
  ゲスト: 与謝野馨 氏 / ジェラルド・カーティス 氏

― 小沢代表・秘書逮捕!「検察には説明責任がある」!?
御厨

「カーティスさんは、今回の小沢代表の秘書逮捕について、検察には説明責任があるとおっしゃっていますね」

カーティス

「今、数ヶ月以内に総選挙がある。それで、もしかしたら本当の政権交代が起こるかもしれないということが、取り沙汰されている時に、ひょっとしたら次の総理大臣にもなるかもしれない人の秘書を政治資金規正法を違反した疑いがあって逮捕した。普通のスキャンダルとは違って、ものすごい政治のインパクトが、大きいですよね」

御厨

「そうですね」

カーティス

「それだけに、検察として『こういう理由があって、今の時点で、対応しなければならなかった』という説明をする責任があると思うのですが、検察の方から公の場で何も説明がない。このことに対して、何か奇妙な感じがしています」

御厨

「与謝野さんは、どういう風に思われます?」

与謝野

「検察に説明を求めても、彼らは『法と証拠に基づいて我々は行動しています』という説明しか返ってこないと思うんです。日本の検察というのは、ほとんど全く人のいう事を聞かない組織で、政治家のいう事も聞かないし、法務省のいう事も聞かないわけですよ」

御厨

「じゃあ、独立部隊のような?」

与謝野

「本当に独立しちゃってるところで、そんな『何かします』なんて法務大臣のところに報告は来ないし、むしろ総理とか、政府関係者には一切言わない」

カーティス

「ただ、こういうことは、ある意味、どの国でも、ある程度あるんですよ。アメリカのFBIもできるだけ、外には喋らない。政治の影響を受けない。しかし、このような事件になったら、まずマスコミが、どうしてかと責める。それで世論が、説明を求める。そのプレッシャーの下で、検察も『こういう理由で今、逮捕したんだ』と記者会見をする」

御厨

「なるほど」

カーティス

「日本の場合、マスコミも説明を求めない。検察はそういうもんだという事で、政治家も諦める。僕はおかしいと思う。諦めることはないと思う」

与謝野

「ですから、24日になれば、不起訴になるか、起訴猶予になるか、起訴になるか分かるわけで、その時に説明があると思うんですけどね」


― 小沢代表が「企業・団体献金の全面禁止」と…
御厨

「小沢代表は『政治団体も含め、すべての企業・団体献金を禁止するのが一番スッキリする』と、突然、企業・団体献金を全面禁止すべきとの考えを示しましたが、これについては?」

カーティス

「企業献金の問題も、アメリカも、どの国も、どうするか非常に悩んでいますね。僕はある程度、企業の献金を許さないといけないと思うんです」

御厨

「なるほど」

カーティス

「政治には、やはりお金がかかります。特に日本の場合は、アメリカと違って政府のお金で雇える秘書は3人でしょ。アメリカの場合、下院議員は18人の秘書を政府のお金で雇えるし、事務所もワシントンの下院・上院議員の事務所は、ものすごく広い部屋を与えられます」

御厨

「そうですか」

カーティス

「日本の場合、議員会館のあの狭い部屋だけですから、また別な所に事務所を借りることになる。それだけでもお金がかかる。ですから少なくともその分は、国がお金を出すのか、それか企業から貰うか、やっぱりある程度の献金が必要だと思います。いきなり、昨日まで献金をもらっていた方が、全面禁止するのは驚くと同時に、本当に禁止して良いのか、僕は疑問に思います」

与謝野

「昭和51年以降、これはロッキード事件が起きた年ですが、それ以降、色んな事件があると、政治資金規正法の改正をやって、何か段々、段々物事が悪くなる、むしろ。政治活動の自由が狭められている」

御厨

「そうですか」

与謝野

「しかし、今回はこの問題を、一般的な問題にすり替えない方が良いと思いますね」


― 小沢代表の進退について
カーティス

「小沢さんが、辞めるか、辞めないのか、僕は何も言う立場に無いので言いませんが、ただ、問題は自分の政党が、選挙で勝つためにどうすれば一番良いかを考えるのが、党のリーダーの一番必要なことであると思います」

御厨

「なるほど」

カーティス

「代表を辞めて、他の方に譲るほうが、次の選挙でより強くなると思うのか、自分で代表をやった方が、民主党が政権を取る可能性が高くなるのか、ある意味で自分を捨てて、そういう次元で考えて欲しいなと思います」

御厨

「与謝野さんは、小沢さんとは囲碁仲間と伺ってますけど、いかがですか?」

与謝野

「恐らく慎重に考えてらっしゃると思いますね。私はどういう結論を出しても、それは小沢さんの判断であり、民主党の判断であるから、それに対してコメントは全く無いんです」

御厨

「なるほど」

与謝野

「ただ、一連の発言の中で『日本の刑事手続き、刑事訴訟手続きが、国家権力が横暴を繰り返す』と言うような表現ぶりがあるんですけど、日本の刑事訴訟手続きというのは、今、世界で一番民主的な、もっとも透明性の高い刑事手続きなんで、これはちょっと私は、日本の刑事訴訟に対する信頼性に対して、もう少し理解を深められたら良いかなと思います」