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第二四三回 ('09年3月8日放送)
  「この場で『野党代表・第一秘書』逮捕の意味と今後」
  ゲスト: 武村正義 氏 / 増田寛也 氏

― 永田町激震!民主党小沢代表・第一秘書 逮捕!
御厨

「このニュースを聞いた時の第一印象は?」

武村

「驚きました。おそらく日本の国民の全てがびっくりしたし、予想できなかった出来事ですね。私が最初に思ったことは、なぜこの時期にということ。政権交代を期待している国民から見れば、久しくなかった政権交代がいよいよ近づいてきて、まあ期待を持っていたと。そんな時に政権交代の主役のところへ捜査が入ったと。やはり驚かざるをえない」

御厨

「なるほど」

武村

「もうひとつは、私も昔の人間ですが、かつては、ゼネコンをめぐる金券腐敗事件が続発しました。そのあと政治改革をやって、さまざまな峠を越えてきて、もう今、ゼネコンの勢力は、収まっているこの時代に、何百万とか何千万とか、こんな大きな献金をゼネコンがしてる時代かよと、まだこんなことが行われているのか!ということに、すごく違和感を感じました」

御厨

「増田さん、いかがですか?」

増田

「私も大変驚きました。それは麻生さんよりも、むしろ次の総選挙の時には、総理の座に近いといいますか、今、世論調査でもそういう結果になっていますね。その小沢さんの第一秘書が捕まったと」

御厨

「はい」

増田

「ただちょっと時間を置いて考えると、これを民主党は、党としてどういうふうに考えるのかというのが非常に重要なことで、これはある種、小沢さん個人の問題、小沢さんの政治団体と、その政治献金の問題なんですが、党の代表であるがゆえに、民主党の国会議員全員が、この問題をどういうふうに、党として捉えるかということになると思いますね」

御厨

「なるほど」

増田

「そうすると、最初いろいろ民主党の方々がおっしゃっていましたが、もう少し冷静に考える必要があるのじゃないかと。というのは、3月末までには、どう考えても総選挙はないので、ですから、今の秘書の方も拘留されて、最拘留されるにしても、3月下旬には、起訴されるかどうかの結論は出るわけです。だから、今、様子がまだ分からない段階では、冷静に、東京地検の捜査をみて、その上で判断すべきで、国策捜査だなんだという話が、少し過剰な反応に見えて、 違和感を覚えました」

― 小沢代表の記者会見について・・・
増田

「細かな点について、全部自分で承知しているわけではないと言いながら、一方で、秘書が全部きちんとやっていると言っていたので、そこはちょっと引っかかりました。ご自身が全部を見て、あるいはいろいろなことを調べて、はじめて絶対クリーンだという確信が持てるはずなので」

武村

「相手がどういう団体なのか、どういう人なのかということは、献金を受けるときに政治家は、考えないはずないです。2〜3万円の献金だと、数が多いので、いちいちチェックをしないかも知れませんが、私なんかのレベルだと十万円を超えれば、いくら小沢さんでも100万円を超える献金だと、そう沢山はないわけで、誰だ?誰からだ?というように当然、秘書に聞きますよ。そうすると、知らない団体からだと疑問に思いますよね。すると今度は、誰が代表だ?どういうところに関係あるのか?と調べますよ」

御厨

「なるほど」

武村

「第一、政治献金は、暴力団からもらってはいけませんし、外国人から献金は受けられませんし、いろいろな制約があるんです。だから、自民党側の代議士も、知らん、知らんと言ってますが、僕はその側も含めて、知らないはずはない、と言いたいです」

御厨

「それから、小沢さんは、不公正な検察権力の行使だ!と言っていますね」

増田

「こういう場面に立てば、ああしか言えないのかもしれませんが、やはり国民がおそらく期待しているというか、思っているよりは、少し闘う姿勢が出過ぎているような気がします」

御厨

「なるほど」

増田

「とことん裁判で闘って白となれば別ですけども、しかし公判中の人が総理ということはあり得ませんので、もういずれ早晩、出処進退ついては、きちんとお考えいただかなくちゃいかんと思いますし〜。」

武村

「私は、敢えて小沢さんに申し上げたいのは、結論的に言えば、この際、民主党代表をきれいに退かれた方がいいということです。私個人はそう思います。それで、小沢さんは、白だとおっしゃっているのだから、これはもう、とことん頑張って検察とも応酬もしながら、闘っていただいたらいいと思うんです」

御厨

「はい」

武村

「でも党代表のままで闘えば、民主党を巻き込みます。この西松との問題は、まさに政治家・小沢さんの足元の問題で、民主党という組織と全く関係が無いわけです。だから、これは民主党とは一刻も早く切り離さなきゃいけない。民主党の幹部諸君も、なんか一緒になって闘うと、国策捜査だとかいうのも何かちょっと大人げないと思って聞いていましたが、小沢さんと党をきちんと分けて考えて、対応するべきだと思います」

― 「政治とカネ」の問題に・・・
増田

「『政治とカネ』の問題は、これからも出てくる可能性はありますよね。ですから今回のことは民主党に今、起こっているわけで、自民党がどのように関係してくるか良く分かりませんけど、いずれにしてもひとつの政党として、こういう大変大きなダメージができたとき、党をどうやって立て直すか、コントロールするのかが大切だと思います。その積み重ねによって、政権を担える政党として、育っていくのじゃないかと思うんです」

武村

「やっぱり、政治の側が、もっと厳しいルールに作り変えていく努力を怠っていると思いますね。イギリスは100年ほど前に、金権腐敗の政治が続いており、昨今の日本よりもっとひどかった。しかし、30年かけて、二大政党で政権交代をしながら、両方が政治改革の競い合いをして、そして30年かかって腐敗事件を根絶したと聞きました」

御厨

「そうですか」

武村

「日本も、20年、30年、かけて本当の意味での政治改革は、成就できると思うので、細川内閣の前後にやっと法律改正を、政治資金も、選挙法も、やりましたけれども、あれは第1弾で、その後、続いていろんな改革を重ねていって、はじめて仕上がるんだと思います」

御厨

「改革自体も波状効果をねらって、どんどんやっていかないと駄目ということですね」

武村

「はい。集中して続けて欲しいと思いますね」