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第二四〇回 ('09年2月15日放送)
  「どうする麻生丸」
  〜白熱する国会論戦の中で〜
  ゲスト: 野中広務 氏 / 鳩山邦夫 氏

― また迷走!?麻生首相「郵政民営化に賛成じゃなかった」発言
御厨

「麻生総理は『郵政民営化に賛成じゃなかった』とか『国民の中で4分社化を知っていた方は、ほとんどいなかった』と、また迷走発言ですが…」

野中

「やっぱり、郵政民営化という大変な問題の時に、麻生さんは真剣に考えてなかったんだろうと思うんですね。だから麻生さんが、総務大臣なのに、小泉総理は、担当大臣に竹中さんを、わざわざ持ってきてやったのだろうと。だから正直にその時の気持ちを言ってるじゃないですか」

御厨

「正直に?」

野中

「僕は、4分社化を知ってましたけども。麻生さんは『知らなかった』と言うんですから。正直に言ってるんじゃないかなと思いますけどね(笑)」

御厨

「なるほど。総理として、発言がぶれる事については?」

鳩山

「麻生総理という方は、凄く気を使う方で、基本的には物凄く正直な方だと思うんですよ。だから、郵政民営化の中で色んな事をご自分の中で、お考えになったいきさつを、部分的に出す。すると国民は『あれ?ちょっと違ってるかな?』ということになるのかと」

御厨

「う〜ん」

鳩山

「定額給付金のときもそうなんですよ。私は麻生総理に『定額給付金の所得制限は絶対に出来ません。地方税、住民税の関係で、絶対に出来ませんよ』と言ったら。『分かった、分かった』と。だから所得制限一切無しで、10月30日に、全ての世帯に配りますと、最初の発表をするわけですよね」

御厨

「はい」

鳩山

「その総理に対して『高額所得者がもらうのはおかしい』と何人かの方が言った。そうすると『それもそうだな』という考えになって…。だから自分が最初に思いついたままで突っ走って頂きたいというのが、私の気持ちですね」

御厨

「やっぱりそこで揺れちゃうんですね」

鳩山

「麻生総理は、やんちゃで我がままに見えるけど、凄く人の言うことに左右される、影響を受ける方だと思います。私は、全国民がニコニコと受け取ってもらいたい。だから麻生総理も国民の1人なんですから早く『俺も派手に使うぞ』と言ってもらいたい」

野中

「『俺は貰わない』とかね」

鳩山

「そうなんですよ。『みんな使ってください』って言う本人が、『俺は貰わない』と言ったら説得力がないですからね」

野中

「側にいないのかね?ちゃんとサポートする人が」

御厨

「本当にそうですね」


― 勃発!「小泉の乱」に…
御厨

「そんな中で、飛び出した小泉発言。最近の麻生総理の発言に『怒るというよりも、笑っちゃうくらい、ただただ、呆れている』。また、定額給付金については『3分の2を使ってでも成立させなければならない法案だとは思っていない』と」

野中

「まぁ、言われた小泉さんも、またその前提になった麻生さんの発言も、私に言わせれば、どっちもどっちだと。どっちも笑って、本当に呆れかえってるのが、率直な私の気持ちです」

御厨

「鳩山さんはいかがですか?閣内におられて難しいとは思いますけども」

鳩山

「こういう風にね、大先輩の小泉さんに言われてしまう。残念ですよね。定額給付金は、私が総務大臣になった時に決っていて、私がそれを、なんとか宣伝して、国民に使ってもわなくちゃいけないという仕事を粛々とやってるわけだけど、ショックですよね」

御厨

「小泉さんが、こういう発言をすると、給付金の3分の2採決は、荒れますか?どうでしょう、野中さん?」

野中

「一旦、衆議院を通したんですからね、やはりそれで造反するというのは…。そんな事はないと、信じてますけどね」

御厨

「また、小泉さんは『総理の発言に信頼がなければ、選挙は戦えない』と、厳しい麻生政権批判を展開しました。麻生さんで選挙をやらせないと取れるわけですけど、どうなんでしょうか?」

野中

「この前も言いましたけど、麻生さんで選挙をやるというのは、選択すべきではない。森総理の時も、森さん自身で判断して、政権与党を守るために、自民党の大会を早めて、そして総裁選をやられたわけですから」

御厨

「森総理は、総裁選を早めて退陣。そして小泉総理で選挙をした。あのパターンですね」

野中

「麻生さんも一国の総理として勤められたんですから、私はこの国の将来と、今の公明党をはじめとして連立に協力してくれて、辛苦に耐えて、この10年やってきてくれた、そういう人達の事を考えながら、やはり責任ある身の処し方をして、新しいリーダーで総選挙を迎える。それが政治家としての道であると。私は思ってますけどね」


― 「かんぽの宿」問題は、どうなる!?
御厨

「かんぽの宿の問題が非常に燃え上がってる状況ですね」

鳩山

「13日に西川社長が、どうしても会いたいと言うので、お会いをして『宮内さんにも話をしました。これは白紙撤回。つまり契約解除。違約金はなしで話はついた』というになりました。でも、これは決して問題の解決では全くありませんから」

御厨

「1つの動きがあったということですね」

鳩山

「私は別に西川さんは敵でもないし、宮内さんが敵でもないんですよ。けれども、M&Aだとか、テイクオーバービットだとか、企業は、吸収合併で、金が金を生むマネーゲーム。それはホリエンもそうじゃないですか。そういうものに日本の素晴らしい文化や文明が犯されてはならない。そういう思いが強いんですよ。」

御厨

「なるほど」

鳩山

「カサカサ、カラカラに乾いたマネーゲームみたいなのが行われて、それに日本郵政が平気で乗ってるという事は、本当に腹が立ちますね」

御厨

「ただ最初はそんなに問題ではなかったですね。でも、あっという間にこの問題は火が点いて大きくなったんですね」

鳩山

「私も最初は勘でした。これは出来レースだなと。すると出来レースですからね。公正な入札であるはずがないんです。案の定、日本郵政は『入札ではなかった』何て言い出してるわけです」

御厨

「そうですか」

鳩山

「私が最初、問題に火を点けけたとき、殆どの新聞が『公正な入札で決ったものを、政治家あるいは大臣が横槍を入れるのはけしからん』という社説をみんな書いた。だけど、これは公正な入札でないから、出来レースで、早い話がインチキだから、私は言ってるわけですよ」

御厨

「なるほど」

鳩山

「それと、40億円の赤字と出てますけど、かつてかんぽの宿って客室の占有率は75%あった。リゾートホテルは50%あれば、絶対に採算が取れるんですよ。なんで75%で採算が取れないかというと、値段を低く抑えてきたから。だから赤字が出てるんですよ。普通の旅館として経営すれば、赤字になるはずがない」

御厨

「なるほど」

鳩山

「それを、赤字を出してるから、そんなものは、企業価値が無いから、ただみたいなもんだと言って、1万円で売っぱらったものが、半年で6000万円で売られるという、信じられない馬鹿な事が起きてる。だから、本当に数限りない誤魔化しとマネーゲームの組み合わせの中で、国民の財産がハゲタカにさらわれようとしてるんですよ」

御厨

「野中さん、何が一番問題なんでしょう?」

野中

「それは郵政公社法案をこれ以上の改革はしないと決めておいて、そしていきなり民営化の方向に走っちゃったわけですから、そこにどれだけの変化があったか?アメリカの構造改革の会議を含めて、検証して欲しいし、これからの郵便貯金や、かんぽで、国民に対する責任を持てるような真相を究めて欲しいと。今のようにこれを道具にして、選挙の突き合いをやっていても、何も生まれるものは無い」

御厨

「そうですね」

野中

「やっぱり一番怖いのは、郵便貯金ですよ。その中から新しい会社に融資して、それをオリックスの株支えも使ったんじゃないかと疑われるようなオリックスの筆頭株主の会社にいれてますね。こういうことになってくると、郵貯だけじゃなく、郵政改革とあれだけの熱気に狂ったあの時代の小泉さんは、何だったんだろうと。そして小泉・ブッシュ会談にどんなことがあったのだろう。あるいは、今、世界銀行の総裁になっておる当時の財務長官をやられたアメリカのゼーリックと竹中さんが数回会ってるはずですよね。そういうアメリカから求められた構造改革のところを、ずっと追ってくると真相を究めてくると思いますね。私はこれはね、捜査当局も、もっと広い視野でね、一体、郵政の民営化はどんなデザイン中からやられたんだ。あの狂った時代の真相を突き詰めてもらって、そして明らかにして欲しい。国の財産を私有物みたいにしてやってきた人達の真相が究められなくてはいけないと思いますね」

御厨

「今後、立ち入り検査はなさるんでしょうか?」

鳩山

「どういう報告が出てくるかですね。西川社長も、優秀は方だと思うんですよ。ただあくまでも『入札は公明正大であって、やましいことはない』とおっしゃってきた。ただ『あれは入札ではなかったのではないか』と言うと『確かに企画競争みたいなものだったかな』と、ちょっと言葉が変わってきてます。私は絶対カラクリがあると思うんですね。それを見つけ出すのに必要であれば立ち入り検査も法律上できますから」

御厨

「まだまた追及の手を緩めないと?」

野中

「国民に対する責任上、鳩山さんはやるべきだと思いますよ」