御厨 |
「7割の国民が『NO』と言ってる給付金ですが?」 |
塩川 |
「もうこれ2ヶ月前から言ってるでしょ。去年の10月末から。最初は『消費を拡大する』という事を一番に言いましたね。『そのためには低所得者に配るんだ』と。でも、その後『いや、これは経済効果を狙うんだから、高所得者も』と、2転3転。その度に変わってきてる」 |
御厨 |
「そうなんですよ」 |
塩川 |
「もう、国民はうんざりしちゃったんですね。年末を過ぎてしまったんで『もう、どっちでもいいわ』と、国民はそんな感じじゃないですか。それで『どっちでもいい』となったら、今度は『こんなもったいない金の使い方をするなよ』と。こういう具合に変わってきたと、私は認識しておるんです」 |
片山 |
「やはり2兆円もの大金を使うのに『何のために、誰のためにやるのか』という政策の理念が、本当にぶれてますよね。そうすると国民も、結局『どうでも良いんだな』と『本当は最初に結論ありきで、2兆円配ることが目的ではないのか』と、こういう胡散臭さに対する疑念が出てきますよね」 |
御厨 |
「なるほど」 |
片山 |
「もう1つは、この問題をめぐって『議会制民主主義』の一番の基礎のところがかなり空洞化してると思うんですよ」 |
御厨 |
「と言いますと?」 |
片山 |
「『議会制民主主義』と言うのは、議論をして、なるほどなと思ったことがあれば、変えていく可能性があるから議会が成り立つわけで、今回、議論してみると色んな矛盾も出てきて『国民も批判的だ』と分かるわけですよね、そうすると与党の方も『ちょっと軌道修正しないとまずいな』と。これがあってはじめて『議会制民主主義』が成り立つ」 |
御厨 |
「なるほど」 |
片山 |
「しかし『何があってもとにかく最初に決めた事は、変えない』のでは、まるで法廷の弁護士を見てるようです。弁護士は『なるほど、あなたの言うとおりだ』とは言いませんよね。ただ、裁判の場合はお互い言い合っても、裁判官というアンパイアが、いるわけですよ。でも、政治は自分達がアンパイアですから、やっぱり言いっぱなしでは、済まないですよね」 |