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第二三二回 ('08年12月21日放送)
  「これからどうする麻生政権 自民党 政治」
  〜支持率20%の先〜
  ゲスト: 森喜朗 氏 / 渡部恒三 氏

― 自民党の中が何だか、ザワザワしていますが?
御厨

「ちょっと前までは「麻生圧勝」だった自民党も、浮き足立ってきたのでは?渡辺喜美さんなど、公然と麻生政権を批判する議員も出てきました。森さんは注意をされたんですよね」

「そんな言い方はしてませんけど。渡辺さんの名前は言ってませんよ」

御厨

「そうですか」

「その時に名前を言ったのは、塩崎さんです。なぜかと言うと、彼は官房長官をやってたんでしょ、この間までね。そしたら国会の運営とか、法案の出し具合の事だとか、そんな事は良く知ってるはずでしょ。そういう立場を経験した人が、国会対策とか党の運営をやってる人達の事をもう少し良く理解してあげなくちゃいかんのですよ。それを一緒になって、マイクを突きつけられ、カメラを向けられると、総理の悪口を言う」

御厨

「あと、中川秀直さんも、消費税をめぐって、かなり踏み込んで政府批判をされてるんですけど、どうご覧になりますか?」

「これも僕だな。質問は(笑)」

御厨

「はい(笑)」

「中川さんは、大変な政策マンですよ。本当に政策に明るいし、果敢だし、敏捷だしね。ただ、彼は『増税なしてやっていこう』とずっと言ってきたから、こういう問題が出てくると、マスコミの皆さんは『中川さん、どうなんですか?』って聞きますよね、すると中川さんも『しょうがないね』とは言えないでしょ。やっぱり彼は自分の持論を言おうとする」

御厨

「なるほど」

「ただ、今は、みんなで心を1つにして、この難関をどう乗り越えていくのかという時なんで、人の口を封ずるわけにはいかないけども、まぁ出来れば、立場が重要視されてる人、影響力のある人は、『慎重であって欲しいな』と僕は思います。友人として」

「これだけ僕が言うとね、また記者が『森元首相 中川批判』なんて書く。今聞いてる限り批判じゃないでしょ。友情ある話をしてるんですよ(笑)」

― 不況の嵐。相次ぐ派遣社員の解雇に・・・
御厨

「あの日産も派遣社員をゼロに。本当に景気の悪化を感じますね」

「なんて言ったって、日本の自動車は、アメリカ、ヨーロッパに買ってもらってるわけですから。そこが買わないわけでしょ。アメリカだってクライスラーも殆ど危なくなってますしね」

渡部

「しかし私が宮沢内閣の通産大臣の時は、バブルの崩壊で非常に厳しい不景気だったんですが、今、思い出すとね、クビ切りは無かった。やっぱり、長い間、この国の伝統で良かったのは、終身雇用です。今でも思い出すのは、会社の社長さん達と不況の問題で話しをすると『最初に会社がおかしくなって、一番にクビになるのは社長です』と言って、会社が苦しいから働いてる者を辞めさせるという感覚はその当時はなかった」

御厨

「そうですね」

渡部

「ところが、今回は、中小企業はもとより、大企業も「あの会社が」と思うところが、バカバカ、クビ切りでしょ。これは小泉改革の時に、アメリカの悪いところを真似して、日本の一番良いところを失った。派遣社員なんて事を作っちゃったでしょ。それで会社がちょっと具合が悪いと簡単にクビにしちゃうんですよね。今後の日本のために一番大きな問題で、政治はそれに取り組まなきゃならないと思ってます」

「車だけじゃないですね。全ての製造はそうでしょ。それから地域もアメリカだけじゃありませんね。ロシアを含めてヨーロッパも、中国も、それから恐らくアフリカやインドもそうでしょう。中国なんかは人も多いわけだけど、政策をやっても、恐らく買わないと思いますよね。みんな貯金に回すか、溜め込むでしょうね」

渡部

「そこなんだよ。この国で今、これだけ「不景気だ、不景気だ」と言っても、今、国民全体で1400兆の金融資産あるんです。この1400兆の1%でも、14兆円ですよ。一人一人にすれば100万円貯金持ってる方々が、1万円使ってくれれば、14兆円。可能な事でしょ。景気を良くするには内需の拡大なんですよ」

御厨

「なるほど」

渡部

「でも『年金はどうなるか』『後期高齢者でお金もなければお医者さんに掛かれない』、そして、若い者がせっかく就職したら『内定取り消しだ』と、暗いニュースだけだったらね、益々お金使いませんよ。だから明るいニュースを作らなくちゃ駄目なんです」

「たまたま、昨日、オリンピック招致の議員連盟がスタートしたんすが、来年オリンピックが決まるんですよ。これは是非取りたいです。なんとかこれを日本が取ると1つの転機になって、良くなるんじゃないかなとね。そして、もう1つ行事をやってきたのは、『天皇陛下の御即位20周年』と『金婚式』なんですね。皇后様と御結婚されてちょうど50年。それも来年のとても明るい話題だろうと。国民の皆さんに明るい気持ちに、どうやったらなってもらえるかということでしょうね」