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第二三一回 ('08年12月14日放送)
  「自民でも、民主でもいい」
  〜どうにかしてくれよ!との声があがる中で〜
  ゲスト: 藤井裕久 氏 / 片山善博 氏

― 不況の嵐。相次ぐ派遣社員の解雇に・・・
片山

「結局、構造改革がこういうことだったんだなと分かりますよね。1つは使用者側が労働者を昔のように、労働組合との交渉もなくあっさり切れる。もう1つは実はそうやって労働者が切り離されやすくなったのに、それに対するケアが何もないって事です」

御厨

「そうですね」

片山

「非正規雇用の皆さんの労働基本権は殆ど空洞化してる。女工哀史とか蟹工船とか言われる時代を経て、日本は労働基本権をちゃんと確立してきたんですけど、今日に至って、振り返ってみると『殆ど無かった』と言うことです」

御厨

「非正規雇用者へのセーフティネットは殆ど無いですね」

片山

「日本の労働者向けの施策は、研修とか育児休業とか段々整ってきましたが、すべて正規雇用者向けの施策なんですね。非正規の皆さんに対する手当てを殆どやってなかった事が露呈しました」

御厨

「それは今まで見えなかった?」

片山

「というか、自由化すればこうなることは分かっていたんですけども、政治や行政がそれに殆ど手を付けてこなかった」

御厨

「経営の方もお手軽で、ずっとやってきたわけですよね」

藤井

「そうです。ですから、経済政策で『あれやります。これやります』という、もっと前に小泉改革のマイナスを直す。そっから始めないといけないとずっと言ってるんです。例えば雇用政策は『1日派遣』なんてのを許しちゃったのも小泉政策ですから、これから直していかないといけないと思いますね」

片山

「それに酷い話ですが、労働者ですから人なんですけども、これは雇う方から見ると「物」になってしまってるんですね。人事課じゃなくて資材調達みたいな所で、派遣を扱うわけですよ」

藤井

「物件費ですよね」

片山

「そうなんです。普通は人件費と言いますけど、アウトソースすると物件費になるんです」

御厨

「物件費ですか」

片山

「実は、お役所がそうで、地方団体に対しても『人件費を出来るだけ切り詰めて、物件費の方に移しなさい』と指導してきたんです」

御厨

「酷いですね。しかも、今、内定取り消しが出てますからね。これもなんかちょっと青年に対しては暗い話で」

片山

「これから社会にでようとする若い人達が目の前が真っ暗になるわけですから、やっぱり国策として、何らかの相談機能とか、そういうセンターを作るべきだと思いますね」

― なぜ「第2次補正予算案」は見送られた?そして「新たな23兆円」とは?
藤井

「麻生首相は、第2次補正を臨時国会に出したくない為に非常に屁理屈を言っておられるわけです。『年末は大丈夫だ、1次補正でやったんだ』でも『1次補正』は不況下の物価高対策なんです」

御厨

「そうですね」

藤井

「今度の話は世界的な金融危機なんですよ。だから信用保証にしても、1次では9兆円で『2次では20兆円足して、30兆円にしました』とおっしゃるけれども、実は来年にならなきゃ駄目だ。年末は何とか渡れるんだという話に変わっていて、とても支離滅裂だという印象です」

御厨

「なるほど」

藤井

「それから、金額も形だけですね、財政が出動しなくてもいような枠に公的資金を投入しますね。金融機関にあれを『10兆円増やしました』とか、そういうのがあるんですよ。その1つに「雇用対策として1兆円」と書いてあるんですが、『内容はなんでしょうか?』といえば、まだ何にも無いんですよ」

片山

「私も同じ印象ですね。とかく、こういうことは従来からの手法で、何か数字だけを大きく見せて『何かやってるぞ』と。ところが良く分析してみると、実は何兆円と言ってるけれども、それは貸付金だったり、枠を用意してるだけで発動は無かったり、見せ金的な物が随分あるんですよね」