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第二〇三回 ('08年5月25日放送)
  「『長寿』の復権」 〜福田政権は、なぜだめなのか〜
  ゲスト: 中曽根康弘 氏 / ジェラルド・カーティス 氏

― 「後期高齢者医療制度」は、どうすべきか!?
中曽根

「福田さんは、おそらく役人の言っていることを、そのまま受け入れて、表に出そうとしたと」

御厨

「なるほど」

中曽根

「後期高齢者という名前が、実に冷たい機械的な名前です。そういう愛情の抜けたやり方というものに対して、老人が全部、反発している。それで支持率が20%を下がると、慌ててこれは大変だと直そうとする。直すこと結構なんですが、だいたい一般的には、元に戻せという議論が強いですね」

カーティス

「やっぱり自民党も、時々、間違えることはあるから、これはやめてやり直します、と言った方が、自民党の支持率は上がると思う」

中曽根

「福田さんは、外交的には今までの総理大臣にないぐらい努力をしておられると思うんですが、ガソリンを上げたり、下げたりしましたね。それと、老人をこうやって痛めましたね。これがやっぱり、非常に大きな痛手になっちまった。至急、これは元に戻して、新しくもう1度考え直す、そういう姿勢をハッキリ早くとる必要がありますね」

― 「大きな政府」か、「小さな政府」か…
カーティス

「小さな政府が、日本の流行でしょ。しかし、日本の政府は、GNPでも他の国ほど使っているお金は少ないんです。何でもかんでも、2011年までにプライマリーバランスを、0にすることが本当にいいことか、非常に疑問に思うんです」

中曽根

「今ある制度をなんとか維持していくための1つの努力として、役人はこういうことを考えたのだろうけども、その中の調和をどうとるか。ある意味においては、社会福祉、社会保障、人間の命に関することについては、予算が増えても仕方がない。そういう態度も取らなければ、政治としては、成り立たないですよ」

御厨

「そうですね」

中曽根

「何でもかんでも、小さい政府だという、馬鹿のひとつ覚えみたいにやるのは、政治家の本意ではないですね。国民の顔色を見て、また世界の情勢も見て、日本を大事にしていく、その日本を子孫に渡していくと。国民介護保険、みんなが、何とか喜んでいるものを、大事にしていかなければいけないと思いますね」

御厨

「福田政治に欠けているものは、なんでしょう?」

中曽根

「やっぱり、官邸で政治家が自ら発想して、自分の理想とか目標から政策を生み出して、国民に訴える。こういうやり方でなくて、役人の言っていることや、これまでの仕事の後始末をやらされている。かわいそうと言えば、かわいそうですね」

御厨

「う〜ん」

中曽根

「しかし、そのまま、乗っかってやるというのも、能無しの感もしますよね。やっぱり時代が動いているんですから、自分の時代に、一番合うようなものを、自分で発明して、国民に訴えて新しくやっていくことで世の中は良くなっていくんです。そういう斬新さ、それから指導力、そういうものを国民は、福田さんに対して、不満を感じているんじゃないでしょうかね」