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過去の放送 出演者 時事放談「サロン」 テレビプロデューサーの日々
 
 
 第一九三回 ('08年3月9日放送)
  「変わるアメリカ。変わらないニッポン」
  〜民意と政治の「パイプの目詰まり」なくすには〜
  ゲスト: 鶴見俊輔 氏 / 筑紫哲也 氏

― 熱戦!アメリカ大統領選。アメリカは変わるのか?
鶴見

「何か変わっているように見えるんですけども、1つのところで掴むとね、わりあい日本とアメリカの両方で、ボタンの掛け違いをしている」

御厨

「と言いますと?」

鶴見

「広島と長崎に原爆が2つ落とされましたね。広島と長崎で『二重被爆』した岩永さんという人が、『弄ばれたような気がする』と言ったんです。これがキーワードだと思いました。これは正解だと思います。原爆は、アメリカが勝つためにも、アメリカの兵隊の命を救うためにも必要ないのに落としたんですね。『必要のないものを落とした』ってことをアメリカは国民に60年間隠している。日本の方も不思議なことに同じように隠すのに協力しているんです」

御厨

「筑紫さんいかがですか?」

筑紫

「東京大空襲も同じですね。軍事的な意味なんて全くないんだけれども、わずか2時間22分の間に10万人の人間を焼き殺した。アメリカの今の大統領の選挙は、アメリカの光と影でいうと、光の部分です。民主主義をこれだけ入念にやってのけるのは凄いと思うんです。でも一方で、広島、長崎、東京大空襲につながっていくアメリカの非常に残酷な部分を踏まえた上で、僕はアメリカを見た方がいいなという気がするんですね」

― 「イージス艦事故」「道路」「強行採決」でも…
筑紫

「これだけ、いろんな事が起きているのに、もうちょっと国民は怒っていいのではと思うんだけど、怒らない。そのための運動もおきない。安保の時は強行採決3回。この政権は、いくら強行採決してもデモにならない。鶴見さんたちがやったような運動が、なんで今起きないんですかね」

鶴見

「体にね染みこんじゃってますね。もっとどうかならないだろうかと客観主義的傾向の中に自分を入れちゃうんだ。だけど、現代史を生きている自分が、ここにいるんだから。自分がここに生きている生き方から出発しなきゃいけないでしょ。だから初めから出発点を間違っているんですよ」