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 第一二五回 ('06年11月5日放送)
  「今、何が起きているのか」

  ゲスト: 浅野史郎 氏 / 寺島実郎 氏

必修の世界史を教えていない高校が全国に広がりをみせ、なんと履修不足の生徒の数は8万人を越えるということが明らかになりました。なんということでしょうか。その一方で補習時間を考えるうえで、負担軽減ということで、次第にその時間数が削られていった経緯に関してもなんだか腑に落ちません。また学校での事件も相次いでいます。

今学校で何が起きているのか。子供や孫は大丈夫なのか。ご心配の方も多いと思います。北朝鮮とアメリカも大きく動き出しました。



― 必修漏れは…
浅野

「心配になって我が母校、仙台第二高等学校ね、これセーフなんですよ。で、他の進学校はアウトなんですね。僕らんときも、同じ学年ですけども、特に団塊の世代で受験大変だったけど、やらされましたよ、もちろん必修。だけどね、それは生徒側も生活の知恵で内職ってのをやるんですよね。一応科目はあるけども、その自分がやる科目をやったりする。そのぐらいの、ただ試験は合格しなくちゃいけない。

ま、そうやって色々テクニックも学んでいくっていうことですから、最初からね、必修のやつもやんないでいいっていうのは、これはもう生徒はそういうふうにしたいと思ってますけど、学校がやっちゃいけないですよ。学校がズルを教えちゃいけないというのが今回の一番私にとって、こう重く受け止めることなんですね」

寺島

「ただこの大人社会のね、問題解決能力の低さ、この展開の中で見せたと思うんですよ。っていうのは、バナナの叩き売りみたいにね、70時間ていうやつをですね、まあ妥協して50時間でいいやとかね、そういう展開の中でおさめてったんだけども、じゃあ、世界史の授業を時間として70時間やればね、歴史っていうものを、若い者が学ぶですね、若者が学ぶ、そういうことになるのかっていうことだと思うんですよね。

一番大事なのは形式としての70時間か50時間かなんてことよりもですね、どうやってね、若者に歴史に向け合わせるかっていうことだと思うんですけども。そこの中身とか内容のことを議論しないで、数字だけ50だ70だであわせてですね、なにやら妥協の産物で解決してみせたかのように見せてるっていうか…」

― いじめ自殺は…
浅野

「これはね、僕は一言で言って、子供がね、出口なしっていう状況に自分を追い詰めてると。で、色んな原因があるんだけど、もちろん学校も悪いんでしょうけれども、多分それ、いい子になれっていうプレッシャーね、家庭からもくるでしょう。友達と仲良くしなさいよっていうふうに思っていて、自分は仲良く出来ていないと、いじめも含めて。

そうなると自分を責めますよね。でもお父さん、お母さんにはそれぞれ相談もできないと。それで出口なしっていう状況になって、こうなるとすると、やっぱり解決はその出口をいっぱい複数つくって、保健室登校でもいいし、それから本当にやったら逃げればいいんですよね。転校ってのもあるし、あの大人の世界でも村八分ってあるでしょ。あれ昔農村社会で村八分されると出て行けないから、流動性がないから、もうそこでじっと思うしかないんだけど、村でてきゃいいんですよ。

同じように学校でいじめがあったならば、まあ本当逃げるというのもね、死ぬよりはいいですから。というようなことをね、とにかくこんな幼い命が自分で自分の命を断つ、なんていうことのね、重大さっていうのは、これ本気に考えないと。いじめの問題じゃないんですよ、これは。いじめによる自殺っていうのをどう防ぐかという問題ですね」

寺島

「今の報道がですね、例えば校長先生土下座させるようなところまで追い込んでね、いじめがあったのかなかったのか、ってなことでね、ついに認めたみたいなところで、溜飲下げてるような話題で終われせちゃあいけないと思うんですね。っていうのは、そういう責任の議論の前にですね、ぼくは結局一人の少年なり、その子供がですね、死を選ぶなんてことは、その周りを取り巻いていたね、要するに「大人力」って言葉使いたいだすが、ただの一人でもですよ、その子と向き合ってね、お前何考えてるんだよって言ってやれる奴がね、いなかったのかっていうね、つまりそれほどまでにね、子供を取り巻く人間関係のね、密度が薄くなってんのかと」

― 6カ国協議再開が決定。中国の役割は…
寺島

「この半年間で、ワシントンの中国に対する考え方が激変したな、っていうのが、ぼくの印象なんですよ。これはどういうことかっていうと、半年前までは、中国という国は、21世紀の覇権主義的な危険な国とみるかどうかっていうことでね、綱引きがおこなわれて、半分半分って感じだったんです。ところが、もう圧倒的にですね、中国を評価する声っていうかですね、その中国を国際社会の責任ある勧誘者として招き入れて、ステークホルダー、かつてはコンペティターって言ってたのがですね、つまり、責任を分担するパートナーとしてですね、認知していこうというような考え方がものすごく強くなってきてる」

岩見

「その激変の背景には何があるんでしょうか」

寺島

「やはりね、まあ中国にしてみるとね、国際化っていうのは、中国にとっては大切だと。例えば北京オリンピックがですね、上海万国博覧会がひかえてですね、しかもWTOなんかにも加盟して国際社会の参画者として生きていかなければ、相互依存の中でなければ生きていけないってこと次第に学んでるってこともある。一方、アメリカの方は、中間選挙が迫ってきてですね、イラク泥沼で軍事的にアジアの北朝鮮問題を解決できる余力もないと。こうなってきた時にどんどん追い上げられてきて、中国との連携の中で事態を制御していこうっていう判断が、相互の思惑がですね、スパっと噛み合ってきてですね、こういう力学になっていったと思いますね」

浅野

「じゃあ、日本は一体この中でどういうような位置付け、どういう役割を果たすんだろうかと。何か米中だけでみんな決まってしまう。だけど、日本にとっては、アメリカよりも物理的に地理的に近いわけですから、本当に攻撃とかそういうことになっていけば、周辺事態どころか、日本の安全保障上大変大きな問題になる。という中で大体アメリカと中国で大枠が決まってしまうというのが、ここで日本の外交手腕っていうのもちゃんと発揮していかないと、まさに自分達の問題ですからね。という危機感というか、どう割り込んでったらいいか」




 
   
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