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 第一二四回 ('06年10月29日放送)
  「子供は大丈夫か?」

  ゲスト: 野中広務 氏 / 渡部恒三 氏

世界史を教えていないという高校が続々と発覚しました。実習科目をおろそかにしてでも受験を優先させることが子供のためだという発想には驚かされます。高校生のうちに何を学んでおくべきなのかという大切な視点が抜けおちています。そして相次ぐ子供の事件。今、学校では何が起きているのでしょうか…。



― 核実験後の北朝鮮は…
野中

「そうですね、やっぱり北朝鮮に全体の世界情勢を見る目が失われているんじゃないかと。だからアメリカの金融制裁が一番こたえているわけですね。だから、なんとかアメリカとだけ話をさせてくれということばっかり言ってる。これは、もう六カ国協議をはじめ、世界の国連決議がやられたということについて厳しい、自分たちへの理解ができてないんじゃないかと、私はそう思ってますけどね」

渡部

「まあ、中国が今一歩積極的にアメリカと日本と完全に同じ姿勢で、やっぱりこれは許さないぞということになれば、世界人類の中でたった一つだけあんなでたらめなことをやってること許されるはずありませんからね。で、北朝鮮の国民だってそれぞれ意思はあるんですから、もうあの国が民主的な国になるという将来の希望、しかし以外と近いかもしれませんよ、これ」

― 安倍総理の訪中は…
渡部

「中国行ったことは立派だ」

野中

「中国行って、韓国行って、やっぱり自分が一人の政治家なり、あるいは官房長官、副長官とであった時と、一国の運命を担った総理という立場になった時との違いをね、最初に明確にしておかなきゃいけないという、そういう悲壮感をですね、決断されたっていうのは立派だったと思いますよ」

― 未履修問題は…
野中

「やっぱり進学校を中心に、大学の受験だけに焦点をおいてやってきているから、やはり何を教育として教えるかという責任感が、教師にも学校にもなかったし、また教育委員会にもなかったと。そう思うと、大変責任は重いと思うんですよ。日の丸が、立つの立たんのね、そんなことで裁判しとるような事態と違うんですよ。もうね、本当に教師としてのね、欠格ですよ」

渡部

「ぼくはね、これは30年以上前に、文部政務次官の時に、受験地獄をなくそうということで、共通一次試験という制度を、つくってるんですが、結果はね、結果はかえってそのことが、かえって受験地獄をまた増やすことになって…。これは僕がやった政策で一番反省してるんですけどね。で、今度この騒ぎでしょ。やっぱりね、小学校、中学校、高校、これは人づくりの教育なんですから。それがね、なんか受験地獄の受験のための学校になっちゃったらね、この国の教育終わりですよ」

― 今のタイミングでの「教育基本法改正」や防衛庁の省昇格は…
野中

「投票法とかそういうことを急いでやる雰囲気の場じゃないと思うんですよ。もっともっと、今、本当に医療給付が下がって、介護の人達が不安を感じ、医療費の負担がかかってきてる。あるいは税金の負担もかかってきてる。年金に税金かかるんですからね。だからそういうね、生活の本当の弱者の問題に目をもっていって、国民全体がね、安心できる環境っていうのをつくらないと…。外交でも、非常に不安だ。で、国内のそれぞれの生活の一体どうなるんだろうっていう不安がある。で、教育現場にも不安がある。こういう国の中の不安をね、どう取り除くのか、やわらげていくのかというのが、一番重要なことだと思っています。

それが、忘れられて、勇ましい、どんどんどんどん戦争だけやるとか、みたいな法案につっこんでいく。で、法案が通ったからってね、愛国心が培養されるわけじゃないですよ、そりゃ。やっぱり、我が故郷を愛しよう、我が家庭を愛しよう、ね、人間お互いにね、愛し合おう、敬愛しあおうっていう、そっからね、やっぱり地域愛なり、地域文化なり、あるいは国を愛しおうというものが出てくるんであって、法律でやったからね、それで国を愛しおうっていうことは、出てこないと思うんですよ」

渡部

「これはね、野中さんと今の話はね、記録して頂いてもいいんですが、100パーセント、同じ考えです、私は。やっぱり、しっかりした、これ野中さん、もう一遍カムバックして民主党の党首になってくれないかな。100パーセント今の野中さんの考えは同じです、私。これ絶対民主党の党首だ。戻ってきてよ」

― 造反組の復党は…
渡部

「1本の法律にね、賛成したとか、反対したとかでね、今まで党のために一生懸命がんばってたことを、追い出すとか、そこに刺客を差し向けてね、落としてやろうなんてことがまず、民主政治の根幹、ゆるがす、許されない、ことなんですよね。しかも、あの場合はね、参議院で否決されたんで。衆議院では通っているんですから、これは私らえらい迷惑だった。あれ参議院解散するならまだ理屈があったけども、参議院で否決されたのを、衆議院で解散する、そしてしかも100本のうちの一本の法律が反対した。長い間、党のためにがんばってた、例えば保利耕輔君とか、名前いうと。本当に、自民党の功労者、立派な人をね、やたらに、刺客でね。これはもう根本的に間違いだったと。

ところが今度ね、そんなら安倍君がそれ直してるのがいいかというと、これもね、動機が不純なんですよ。あの人達に、追い出したけれども、今度は戻ってもらわないと来年の参議院の選挙に勝てないから今度戻ってくる。これも非常に不純なこと。そんならね、今までのことどうだったか、これはやっぱ国民のみなさんの前に反省してもらわなきゃなりませんよ」

野中

「それは一概に言えないけども、少なくとも去年のこの扱いは私は議会制民主主義を、完全に否定したもんだと思いますよ。だから早急にですね、これは直さなきゃいけない。だから当選した人もあるいは落ちた人もですね、あんな大義のないやり方、一法案の扱いで、しかもさっき、話がありましたように、参議院で否決されて、衆議院は可決されているのにですね、両院議長の調整もなく、ただちに解散というのはね、これ、憲政史上ね、絶対に大きな汚点を残したことだ。

だからこれはね、ぜひ、安倍総理の最初の仕事としてやはり自分たちの議会政治ですから、将来の汚点にならないようにですね、もう11月中にでもね、やるべきだと、わたくしはそう思いますし、笹川尭さんが、党委員長やられて、新聞みると、これ、落ちたものも上がったものも一括してばさっとやるんだという話を党紀委員長が言っておられましたが、私はその通りだと思うんですよ」


― 「教育再生会議」のメンバーは?
野中

「私はいいメンバーだと思いますが、しかしこの人達が、本当に教育問題のですね、一番の問題点は何だということの意識をね、きちっと持ってくれてるかどうかですね。学校教育だけを取り上げられたら困るんですよ」

渡部

「今、野中さんがね、学校教育の問題だけとりあげるのは困りますと、これ同感なんで。私は人づくりっていうの、いつも言ってるんですが、やっぱり家庭教育、社会教育、学校教育、これが三位一体になってつくるんで、私たちはやっぱり子供のころ思い出すと、よく私は言うんですが、私に一番大きな影響受けたの誰だろうと思うと、物心ついたころのおばあちゃんがね、『恒三、嘘をついてはいけないよ』とか、『ちゃんとおじぎをしろ』とか、申し訳ないけど、早稲田の大学院で、大変有名な教授にならったことなんか、みんな私忘れちゃったけど、やっぱ物心ついた時のおばあちゃんの話は全部覚えているんですよ。学校教育だけでありません。むしろ家庭教育、社会教育で人づくり、これをみんなで考えなきゃいけないと」




 
   
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