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 第一一九回 ('06年9月24日放送)
  「新しい政権の船出に」

  ゲスト: 森喜朗 氏 / 渡部恒三 氏

いよいよあさって、火曜日に新しい安倍内閣がスタートします。安倍新総裁は今日は富士山のすそ野の別荘にこもって自民党3役、そして大臣の人事構想を練っているということですが、5年半続いた小泉内閣に代わって、今度はどんな顔ぶれがどんな政治をするのでしょうか? またそれを迎え撃つ小沢民主党はどうするのでしょうか?

安倍新総裁が所属した自民党内最大派閥、森派の領袖で安倍政権誕生の立役者として安倍さんの胸の内を知り尽くす森前総理。そして、民主党国会対策委員長として週明けからの国会で安倍内閣と全面対決の構えの渡部国会対策委員長。ズバリマル秘戦略をうかがった。



― 森前総理は「季節感、あふれる情景白山麓」(馳浩議員編著)という句集に総裁選をテーマに俳句を寄せた。
 

◇ 夏山や総裁選は五里霧中
◇ 梅雨空の向こうに白山我ひとり
◇ 実るほど頭を垂れぬ純一郎
◇ 永田町汗をしぼりて総裁選
◇ 梅雨空や安倍は東に福田西
◇ 短夜にやせる思いの総裁選

岩見

「やせる思い?」

「やせていたんですけどね」

渡部

「やせる思いするほどの総裁選じゃなかったよ」

岩見

「しかしかなり長丁場でしたからね」

「これはね、俳句作った頃はまだ麻垣康三さんの頃ですよ。ですから福田さんとか安倍さんの頃がいろいろありましたね。そういうことなんです」

岩見

「じゃあ、やせるという感じが多少あったわけですね」

「神経を使いましたね。だからこれ俳句っていっても川柳に近いですよね」

渡部

「『実るほど頭を垂れぬ純一郎』ってこれはなかなか巧いね」

岩見

「垂れるじゃなくて、垂れぬですから。渡部さんこういうのどうですか?こういう感じですか、小泉さんっていうのは」

渡部

「だね。見直したな、森さん」

「今頃?今頃見直したの?」

渡部

「安倍のことはどうなの?」

「それはこれからですね。これはずっと早い時期ですよ。僕はこの番組でも申したことある。実るほど頭を垂れる稲穂かなっていう、例の解散のときですね。だから選挙であまり調子に乗りすぎてはいかんと。これは彼にも言ったんですよ、武部幹事長にも」

岩見

「頭を垂れなきゃいけないけど、なかなか垂れてくれないということですね」

「そういう気持ちでいたほうがいいなってことですね」

― 自民党総裁選は?

「国会議員の票300くらいを目標にしていたんでしょうね。そんなことはないでしょうが、それでも280くらいは考えたんでしょうか。決していいことではないと思います。それから麻生さんも意外にとられたし、谷垣さんも善戦でしょうね。ですから、わが党の良識がうまくバランスをとったんじゃないでしょうか」

渡部

「政治家っていうのは、ある程度、冷静さというか、権力に迎合しないという意気込みがないと。田中内閣のとき、森さんは田中に迎合してこなかった。それが今の自民党見ていると、俺は中国外交をきちっとやらないと駄目だとか、あるいは、格差是正を、地方の困難な、格差是正をやらない限りは安倍についてきかいとか、そういう議員がいるかと思ったら、そういう議員が全然ないんだよね。かつ、安倍さんにも草木もみんななびいていくという雰囲気で、これは政治家の一員として困った状態だなと思いました」

― 「猟官運動」が激しかったのでは?

「僕も驚きましたよ。一期生の皆さんなんて誰も僕のところに来ませんし、私も知らないですよね。それがこの騒ぎになったら、なにかしらないけど面会もとめてきたり…」

岩見

「最近?」

「ええ。それでなんなんだろうって。大体分かりますけど、言わないですよね。ご指導いただきたい、ご指導いただきたい。それならもっと早くくればいいのに」

― 森さんが派閥の会長を辞めるという話は?

「僕はその気持ち強いですから、皆さんで後どうするか相談してくださいと。昔みたいにオーナー会長っていうのはいないんですよ。政治家がオーナーになっていけないと思いますよ。私の場合は形だけのあれでしたから、そろそろ普通の株式会社に変わって、みんなでやって…」

岩見

「しかしお辞めになるということになると、後継会長はなかなか難しいじゃないんですか?」

「ま、この人事が終わればおのずと見えてくるんじゃないですか」

― 官房長官はどういうタイプがいい?

「官房長官の大きな役割の一つはやはりテレビフェイスがいい、明快な語り口調、国民のみなさんにきちっと説明できる、これがやっぱり大きな条件になるんじゃないでしょうかね」

― 安倍さんへのアドバイスは?

「僕は前から言っているように、こういう選挙をやったらですね、みんなよいしょと神輿を担ぐと…。何かがあったら、みんなが手を離しちゃうよと。だからここは挙党体制が第一。それは小泉さんのやり方も一つのやり方でしょうが、それがいろんなところにですね、党の中にいろんな軋みができていることは間違いないですから。全員を活用していくって言うことは大事じゃないかって思います。それからもう一つは何よりも来年の参議院選挙に向けてどういう体制でいくのか。それにはですね、来年の選挙何とかクリアできたら、後は安倍さん思ったとおりやりなさいと。だから今回はそれだけじゃなくて、これだけ多くの党内の指示を受けたなら、多くの党内の皆さんの力を借りるということは申し上げたい」

渡部

「安倍さんはあまりにも恵まれすぎた、今日までの生活ですからね。やっぱりこの国には非常に恵まれない人、まずしい人、そういう国民の生活実態、地方で農家の人が田んぼで働いて、汗を流して働いても生活できない。そういうの分からないと思うんだな。だから国民の生活実態を勉強してもらって、やっぱり格差の是正。二度と戦争になっちゃいけない、平和を守る。それには近隣諸国との友好、これにもっと力を入れてもらいたいんですが、今のところ言葉としては言っても、実際本当にこの人が格差是正にとりくんでこれそうだ、あるいはアジア外交に本気になりそうだという姿勢は全く見えない…」




 
   
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