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 第一一七回 ('06年9月10日放送)
  「どうなる『安倍政権』」

  ゲスト: 野中広務 氏 / 御厨 貴 氏

この一週間は大きな出来事が相次ぎました。紀子さまの男の子ご出産。そして堀江被告の裁判がはじまりました。さらに自民党総裁選が告示が告示されました。すでに事実上はじまっている安倍政権にとってこれらの出来事はどんな意味があるのか、そして行方はどうなるのか。

「政界の狙撃者」の異名を持ち鋭い分析で知られる野中さんと、日本の議会政治の深い知識をもとに現実政治を独自の視点で読み解く御厨さんに大いに語って頂きました。



― 堀江被告は全面否認だが?
御厨

「やっぱり、全面否認でしょ。彼をずっと見てて、悪いことをしたとか、それから犯罪を犯したという、その認識がないですよね。それがね、色々考えた末にそういう戦術をとってるというのでもなくて、おそらく本質的に彼はそういう人なんだと思いますよ。だからあれだけ強く言えるんでね。普通色々考える人だったら、やっぱり、僕は色々迷うと思う。あの人、迷いがないですからね」

野中

「こういう時代の、何かこうかけ離れた寵児を生み出した背景、政府の諮問機関にあるオリックスの宮内さんをはじめとする人たちの動きが、一つも表に出てこない。これは、日本の国にとって大変な不幸だと思うんですよ。だから福井総裁だって、日本の金融業のすべてを掌握しながら、その責任のとり方を、自らあの歳だから考えておられる。

けれども、自分がやめたら何が出てくるかとうことを考えてじっとしておられること考えると、これから安倍政権はこういうものに引きずれないで、内閣にある種々雑多のわけの分からん、ある意味においてこの国をゴチャゴチャにしてしまった人たちを一掃するぐらいのことをやらなければ、私は良くなってこないと思います。次々次々こういう人が出てくると思います」

― 安倍氏のブレーンと言われている人たちは?
御厨

「完全にワンサイドでね。昔はブレーンって人はそんなに簡単に実は出てこなかったんですよね。だから、何かみんなやっぱりブレーンということで何かをしたいんだろうという感じが、やっぱりしちゃうんですよね。本当にワンサイドですよ、これ。だから、安倍さんがどこまでね、それを活用されようとしているのかね、そういうことを含めてね、ちょっと見えないですね」

野中

「いやいや、もう本当怖いですよ。私はもうこの人たちが安倍さんをガードしてやって、本当にワンサイドでやっていくとしたら安倍政権はね、そんなに長くもたない。私はそういう心配をするぐらいね。テレビで話しておられたり、書き物を見てもですね、こういう人が外交官やってきたんだろうかとか、こう言う人が教鞭とってるんだろうかとか、評論家やってるんだろうかとね、思うほどね、本当にね、もう片一方に偏った人たちが多すぎる。私は非常に心配します」

― 安倍氏の「憲法改正」は?
御厨

「あれは唐突だとおもいますね。やっぱり話の中で憲法改正っていわれて、それは非常に軽やかに言われたんですね。憲法改正やるんだったらある程度、筋道が立っていて、本当に現実にこうやるんだっていうのが決まっていればいいんですけども、今の状況で憲法改正といってですね、野党との関係からいったら難しいことですよね。それをポンって言っちゃうことの軽さみたいな。それがすごく気になりますね。タブーは確かにとれて、議論をすることはいいんだけども、それをもうやりますよって言うのは、エッていう感じですね」

野中

「安倍さんの憲法に対する問題は、衆議院、参議院に憲法調査会ができて、党内にもできて憲法については審議がすすんでいるんですよね。この時、わざわざ総裁選挙であの人は改正と言わないで、新憲法制定って言うたんですよ。ここに期待していいのか、もう一つつっこんだね、こういう周囲におる人たちの考えをいれた安倍さんの独特の考え方があるのか、これが忖度できない。

ここにね、非常に私は問題をかかえておると、心配しているんですこれは。だから彼が新しい発想でね、従来の経過を無視してやっぱり新憲法制定とこう言うてるわけですから、従来のものとは違う感じがしてるんです。それをこれから語って総裁選挙で分かりやすくしてほしいと思いますね」

― 「安倍支援」グループがたくさん出来ているが?
野中

「小泉内閣の現職3閣僚が立候補するちゅうのがね、総裁候補だけであるというのが異常ですよ。こんなの過去になかった。だからみんなもう流れに沿って行こうとやっております。安倍さんは、見てると、小泉内閣の当時言うてきたこと、小泉内閣がやってきたこと、やっぱり心の中で、それをある程度転換しようというそういう気持ちがね、あると思うんですよ。あるけれども、それを完全にハッキリして否定したら自分自身を否定し、小泉内閣を否定することになるから、だから彼ね、慎重な言葉の言い方するんですよ。そこがね、もう一つはっきりわかりにくいとこじゃないかと思います。

谷垣さんは私の地元でひじょうに我々と共通の話をしてくれているんで、何とか次につなげるような位置に、票をとってほしいと思ってるんですけども…。やっぱり私がそう言うと返ってくるのはね、そこまで言うんなら、なぜ、8月15日という日に小泉さんが靖国に参拝した時にきちっと辞めないんだと、大臣を…」




 
   
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