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 第一〇一回 ('06年5月14日放送)
  「格差問題の裏側は」

  ゲスト: 渡部恒三 氏 / 加藤紘一 氏

さて、夫が40年働いた会社を定年した日、妻が家でお茶を出して「お疲れ様でした」と暖かく出迎える。そんなささやかな幸せな風景は、日本から失われようとしているでしょうか?

毎日、額に汗して働くことがまるで時代遅れのことのように言われ、競争の名のもとにリストラされたり、あげくに景気が回復しても恩恵によくしているのはお金持ちばかりのような。なんでこんなことになっているんでしょうか。「格差問題」こそが重要なテーマで次の総理選びのカギだという加藤さん、渡部さんにズバリ語って頂くことにしました。



― 「小泉・竹中」構造改革は?
加藤

「どうも日本社会では異質だなと思いますね。それから政治ってのは経済理論だけじゃないんですね。私は、小泉政治の五年っていうのは、ずっといた人が竹中さんなんだけれども、竹中さんのエコノミストとしての考え方や政策が、小泉さんを覆ちゃったと。たとえば、エコノミスト的な感覚で言えば、とにかく競争してパイが大きくなる。それで敗れた方が勝った方に少し所得再配分すればそれでいいじゃないかという、そういう意味なんですね。

しかしその敗れた人間が所得再配分でいろんなものを、福祉をもらうということで、心が傷つく、そして人生に充実感がない、という部分を竹中エコノミスト間違えているのではないか。ま、本来のエコノミストの方ってのは、もっとそこの哲学的な部分もですね、もっともっと考える深さがあったんじゃないかなと、思うんですが。なんかみんなで競争して、六本木ヒルズに行こうみたいな話でね。落ち着かない社会になっちゃいましたね」

渡部

「自由主義経済で、競争することによって、経済が発展してきたことは間違いないですね。が、その自由主義経済を守っていくためにはその中で格差が出てくる。それを政治が助けてあげる。それが政策なんですよ。だから今の小泉君や、竹中君の持論で言えば、もう国会議員もいらないし、政府もいらないし、もう自由主義経済でもって、みんなやって負けていく奴は仕方ないって話で。

通産大臣のとき、江沢民さんと一度か二度お話したとき、我が日本は戦後、自由主義経済、資本主義経済でやってきて、大きなお金持ちもいないし、そんなに貧しい人もいない、ほぼ大体中間の生活をしているのが、世界に向かって我が日本の一番の誇りだって言って、江沢民さんもうなづいてくれましたけどね。だから自己否定なんですよ。政府いらないって」

加藤

「今の格差で否定できない部分は、大都会と地方、これは僕ら主張するんですが。それから大企業の中で、その正規社員と非正規、これの差は凄まじいものだと思いますよ」

渡部

「自由主義経済で無くなっちゃうんですから、逆に。固定しちゃったら。だからこれはもう一日、一分一秒の今の小泉改革の考え方を改めなければ、日本は滅びてしまいますね。さっきから同じこと言うようですが、やっぱり汗を流して報われない社会だって、この日本では発展にありえないですよ」

― 自民党の総裁選は?
加藤

「誰が出るかという、そういう人間の話しより、格差の問題とか、アジア外交の政策で7月8月まで議論したらいいと思います。そこに一生懸命発言すると。出たい人は。そしてもうその人を巡って、その発言を巡って派閥も関係ないと、世代も関係ないと。一体どういう国を作りますか、というのが中心で、あと若干の人柄みたいのがついてるといいという戦いであるべきだと思いますね」

渡部

「河野太郎君が今の加藤さんと同じような、これから党首選は誰が通らなくて政策で、これ議論していかなくちゃなんないと言ってて、なかなかねいい息子だと思ったんですが、残念ながら存在感がありませんから、加藤さんが河野君と同じような今の政策論でこれから立候補していけばいいんだな」

― 福田元官房長官にひとこと
加藤

「外交路線については大体印象としてはありますから、あの国内政策、格差の問題だとか教育、地域社会そういった問題に明確な意見を、メッセージを出して欲しいですね」

渡部

「私にとっては民主党政権になれば一番いい訳ですから、これはまあ再来年以後の事ですから、しかし日本の事を考えればやっぱり格差是正を内政の最大スローガンにしてもらいたい。であと、アジア外交に熱心になる。これはもうこういう人になって欲しい。これが前提ですね。そんな中では福田君がそれに近い」




 
   
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