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 第九十九回 ('06年4月30日放送)
  「消えた小泉マジック・そして次は?」

  ゲスト: 中曽根康弘 氏 / 渡辺恒雄 氏

ライブドアの堀江前社長の保釈で世間は騒がしいですが、折しも永田町は千葉補欠選挙の敗北をきっかけにして「小泉マジックは消えた」とばかりに、ポスト小泉を伺う水面下の駆け引きが始まりました。この一週間で自民党内の雰囲気が大きく変わりつつあります。不意にやってきた「潮目」。それではその後に来るものは何なのか。

番組1回目から登場頂いた中曽根さんと政治記者として、鋭く政局を読み抜いてきた渡辺さんにズバリ語って頂きました



― 絶好調の巨人。原監督は?
渡辺

「まあ、二年間浪人した訳じゃないですよ。巨人軍にちゃんと席はあった。僕の言う人事異動ですよ。その充電期間を与えて、相当変わりましたねその前の二年間に比べてね。堀内君は気の毒だったんだけども、堀内君の時の条件の悪さをよく見てて、それを完全に変えたんですね。空気を…、チーム内の空気を。それで若返りしたり、補強するものは補強して、やっぱり戦術ががらっと変わったんじゃないですか?まあスモール野球というね。コツコツ点を取りに行く。場合によったら歩かせたり、走らせたり、盗塁させたりね。それから、二岡とかイスンヨプクラスにもバントさせるなんてことは考えられなかったんですね。昔は、去年までは」

― 堀江被告が保釈された。堀江被告の政界への影響は?
中曽根

「確かに影響は与えたんですけどね、この間の千葉県の選挙を見るとね。自民党負けましたね、民主党勝って、メール問題でホリエモン騒動で民主党は一番どん底まで落っこったと、そしたら小沢君と言う救世主が出てきて、民主党を盛り上げて国民の皆さんはメールを忘れちゃった。それで自民党は負けましたね。だから、あれは大問題であって、経済的にも政治的にも分析されていくと思いますので、国民の関心はあっちよりも未来に向かって動いていると。特に自民党の総裁選が九月にあると、その後の日本はどうなるか、そっちの関心に動いていると思いますね」

渡辺

「ホリエモンが球団を持とうとバカげた野望を持った段階でね、けしからんと。で、排除したんですから。あれは今度の衆院選の失敗で、やっぱり武部作戦ね、ホリエモンを我が子だ、我が弟だと言ってね、やってホリエモン落っこちましたよね。今度もね『最初でグー、さいとうけん』とね、あれがユーモア、ジョークだと言っておられると、拍手喝采を受けると思う感覚がおかしいですよ。ホリモンが弟だ息子だと言って失敗したあの癖がまだ治らない。あれも敗因の一つですよ。『さいとうけん』が『さいたまけん』に聞こえちゃったと、千葉の選挙ですから。千葉と埼玉はあまり仲のいい所ではないのでああいうやり方は非常にまずい。だから小泉さんのワンフレーズポリティックスね、あれを真似てるつもりでいてね、小泉さんの方がもっと上手いわけですよ。自民党をぶっ壊すとか改革なくして成長無しとかね、『さいしょはグーさいとうけん』というワンフレーズで世の中動くと思っている幹事長がおかしいね。そこに行けば小沢さんは自転車乗って走り回ってたでしょ。あれを見て僕は中曽根さんの最初の選挙を思い出しましたよ。中曽根さんも自転車世代で、群馬県で出て当選したですね。自転車一台ですよ」

― 最近の小泉総理は?
中曽根

「政治家の宿命でね、5年もおやりになればね最後の段階まで同じエネルギーで同じ水準で推移するという事はとても難しい。まあ、我々でもやっぱり最後の一年というのはよりくたびれましたね。小泉さんは今そういう状況になってきて、見てても前より元気がないですよ。元気をつけてるのは分かるけども、やっぱり体力的に相当まいっているなという感じがしますね」

渡辺

「「いやあ、ちょっと最近元気ないですね。新しいフレーズが尽き果てたんですよ。今ごろ自民党を壊すとか改革なくして成長無しなんていう事を言ったって全然受けないですね。逆に小泉改革の結果が出て来た、格差社会ってのはどうしてくれるんだというのが逆に問われている。それと外交的に完全に孤立してるでしょ今、アジアで日本はどんどん孤立化しつつある。アメリカからも批判と言うか、なめられている点もある。ちょっと外交的にはアジア外交は全く息詰まった。それから社会保障ですよね。格差是正するために社会保障制度きちんとしなきゃいかんけれども、生活保障自体が、生活保障ってのは一兆円だったのが今は二兆円でしょ?生活保障が倍になってると、格差があって当たり前。僕もあって当たり前と思いますよ。金持ちと貧乏人ってのは昔々からある訳で、あって当たり前だけど最低の労働能力、労働の機会が無い最低生活を維持できない人が増えるっていう事はこれは良くない。これは政治が何とかしないといかん問題じゃないかと。昔から仁徳天皇とか色々ありますよね。民のかまど、民のかまどを見るという意識が小泉さんに少しあれば、格差があって当たり前と言う言葉は出ないと思いますよ」

― ポスト小泉の課題は?
渡辺

「焦点にすべきじゃないと安部さんおっしゃってますけど、靖国問題ってのは焦点にならざるえないですね。何故かっていうとアジア外交に直結する問題ですから。それと財政再建の問題、これは成長率と金利論争とか色々ね論争があった。いちばん有名なのが、竹中、与謝野の論争で、両方とも親小泉なんだけども、金利と名目成長率と長期金利の還元については正反対の意見。この論争がどうなるかという事でですね。財政再建の将来がどうなるか。という事は年金ね。基礎年金の国庫負担が今まで三分の一だったのが二分の一にしてますね、そういう財源をどうやって出してくるか、これが将来の年金、これは医療保険の問題とも連動していきますけど、そういうものに対する安心感を与える政治がこれから必要だと私は思います。今までそういう事無視して、競争主義、市場原理主義、これはホリエモン的拝金主義に結びついて、それをどう是正するかって事じゃないですか」

中曽根

「前から言ってますように、どういう政策を候補者は訴えるかと、それによって党内の動きは変わってくる。今色々小さな小集団がうごめいているけれど、あんなものはいつ変わっていくか分からんですよ。一番のポイントは今言った靖国問題とかアジア外交とか、あるいは財政再建問題、あるいは社会保障問題、そういうような問題についてどういう公約をしてくるか、その公約の出しっぷり、内容によってね、誰を使ってという空気がおそらく八月頃に確定してくる。それまでは今の四人の候補者達は何と言ったら一番いいだろうと、それ研究している最中だと」

― 小泉総理の靖国参拝は?
渡辺

「公約が国政選挙の為なら立派なもんですよ。だけど総裁選挙の為の公約だったんですよ。だから次元の低い公約ですよね。それにこだわってる事自体おかしいなと。もうあれは失敗でしたと言ったらいいと思うんだけど、そういう事を絶対に言う人じゃないから、小泉と言う人は。ただ8月15日に行けば、最後の反対、右翼の凱旋等々も出て、15日は遺族会が1万人くらい武道館に集まりますからね、そういう人たちの大混雑でね警視庁も警備不能になると思いますよ。靖国神社で将棋倒し事件かなんか起きてねケガ人が出ないとも限らない。そういう混乱を起こしてまでやりたいんですかね。だって首相官邸から遥拝したらいいじゃない。靖国神社に向かって。賽銭箱の前で500円玉入れるか、入れないかっていうのと同じようなもんでね、遠くの方から遥拝したっていいんですよ。心の問題であるなら」




 
   
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