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 第八十七回 ('06年1月29日放送)
  「ホリエモンショックから考える」

  ゲスト: 宮澤喜一 氏 / 御厨貴 氏

国会がスタートしたと思ったら、堀江容疑者が逮捕される事態となりました。自家用ジェット機で飛び回る「IT時代の寵児」から一転して、今度は拘置所のなかの「容疑者」となったホリエモン。世間の評価もめまぐるしく揺れ動きますが、この「ホリエモン現象」は、現代の何を映しているのか。そして、昨年の「刺客選挙」では、ホリエモンはいわば「広告塔」の役割を果たしましたが、その「小泉自民党」の行方はどうなるのか。宮澤さんと、御厨さんに、語っていただきました。



― 堀江容疑者をどう思う…
御厨

「今、ひじょうに悪口言われていますけれども、あれは前に良いことを言っていたことの本当の裏側でね。割合はっきりしているのは、やっぱり彼はオタクであって、社会に出た事がなくて、それで、そのまま大きくなっちゃった。だから、子供がそのまま大きくなったという。ですから、そういう点では全然変わらないっていいますかね。以前の行動も今の行動もそんなに変わらずで…。一言で言えば、彼は前から思っていましたけど、人のいう事を聞かない。自分の言うことだけを繰り返し繰り返し言う。で、嫌なことは断ち切るという。だから、そこは全然変わらないという感じがしますね」

宮澤

「まあ、世の中の人はせっかく面白い人が出てきたと思ったんだろうに『なんだ』と皆さん思いなさるんだろうし、がっかりしたんだろうな、と。こう思っています」

― 自民党の中の反応というのは…
宮澤

「そりゃ、幹事長はちょっと、失敗でしたな。それはあの、今やったことが、さあ、どこまで良くて、どこまで悪いかという問題は尚残るにしても…。検察は大半が問題だと考えているということははっきりしている訳ですから。そうすれば政府の立場からいっても、それはまあワーっと幹事長以下が応援したんじゃ悪かろうと。これはどうも、認めざるをえないでしょうね」

御厨

「やっぱりかなり、この面では出てくると思いますね。で、つまり、彼は改革の担い手ですから。しかも、その選挙中にやったことは、改革のシンボルとしてホリエモンを使ったわけでしょ。改革の行方っていう、彼の描いている改革の構図の中に、ホリエモンははっきり入っているわけですから。そうすると、堀江的、ゲームみたいな、やっぱりそれは許されるということになっていて、それがその法網をくぐったこの段階で、やっぱり反省を迫られるのはしょうがないでしょうね」

― 小泉政権の潮目が変わった…
御厨

「彼は、九月に退陣と今でも思っていると思います。けれども、その辞め方が、やっぱり圧倒的に今の改革路線をこのまま後も続けてくれということを言って、そういう人間になってもらって辞めるっていうのは、もうおそらく無理でしょう。そこなんですよ」

宮澤

「そこは微妙なところだな、確かに。あの、改革路線といったようなものが、一体何なのか、現実にやってみるとこういうことなのかといったようなことになると、そうですとも言えないわけだし。そこんところはその、改革、改革だけで押していけるかというと、攻めようによっては微妙なところですよね」

― 勝ち組、負け組の論争は…
御厨

「だから格差社会という言葉がやっぱり、定着してきていますしね。しかもその負け組の方をどうするかってことに関しては、一貫して小泉さんは言ってこなかったわけですよ。で、それはそれで、一つの小泉さんの姿勢だからいいと思うんですけれどもね。だけど、ここへきて、そこを含めてどう調整するか。前から言っているように政治は調整ですから。そうすると、そこをどうするかってことをやっぱり、明確に言わないといけなくなるでしょうね」

宮澤

「ただねえ、そのことだけでそれを言うのは、少し無理なような気もするんだなあ。僕はね。今度の事件が拡大をしてですね、かなりあすこにもここにもこういう事があったといったような事にでもなってこない限り、ああいうやったことを一つ一つ挙げてみても、なるほど、ひでえことだな、と、いうことまではわかるけれども、これで勝ち組負け組だとか、格差だとかいう話、すぐそれ自身はならないような気がしますね」

― 若者にひとこと
宮澤

「ショックを受けられただろうとと思うんですね、今度の事(堀江容疑者逮捕)は…。ただ、これ一種の進行中の出来事なんでね。そういう意味では、最終的な司法の判断というのは、若い方も見ていらしたほうがいいと思いますね」

御厨

「僕はいつも若者と接していますけれども、そういう若者も、やっぱり大分ショックを受けていることは間違いないんで。ただやっぱり、彼ら、もうちょっと大人の方が元気を出して、彼らを叱ってやるっていうね。それがないと。今の子供たちってすごく叱られたがっていますから。何でもね、万能だとか、何でもそのゲームが出来ちゃうとかなんとかっていうんで子供を野放しにしないで、もうちょっと大人は大人の−なんていうかな、風格で、子供を叱ってやるっていう簡単なことを、やったほうがいいですね」




 
   
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