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 第八十五回 ('06年1月15日放送)
  「『政権党』とは〜新総理に期待すること」

  ゲスト: 野中広務 氏 / 藤井裕久 氏

今週、いよいよ通常国会が始まります。予算審議とともに、政府与党からは様々な重要な法案が提出されますが、そのポイントは一体どこにあるのでしょうか。また、小泉総理は外交問題やポスト小泉についてまたもや様々な発言をされていますが、その真意はどこにあるのでしょうか。そこで今回は、国会の裏も表も知り尽くす野中さんと、与党野党双方を知る藤井さんにズバリお話を伺うことにしました。



― 大雪で思い出すことは…
藤井

「私は田中内閣で秘書官をやっておりましたね、昭和47年ころ。田中総理が『谷川岳を平らにしたら、新潟の雪も減るし、群馬県のからっかぜも減るんじゃないか』と。『それはちょっとまずいんじゃないですか』と申し上げましたら、お前みたいな東京の人間に何がわかると怒られました。田中総理が言われたのは、やっぱり自分の本当の政治活動の原点は雪だと仰いました。こういう時にものすごくそれがわかりますね」

― 「小泉流」の小さな政府は…
藤井

「ちょっとわからないのが社会保障について…、安定じゃないんですね。どうしてかというと、例えば、毎年保険料をあげていくと…、ある条件によっては年金をカットする。これ、安定じゃないんですね。それで私どもはですね、そういう現役世代だけに負担をかぶせて、今、年金をもらってらっしゃる方に安定を図ろうというのは無理なんだから、まあ、僕らの言葉にすると、オールジャパンで、この社会をここまでにしてくださった方を守っていこうということで…。そこに消費税というものがあるというふうに位置づけています」

野中

「私らも一緒ですよ。今まで、キャッチフレーズで『行革』、『行革』、といってこられたけれども、全部中途半端に終わっていますね。結局はずーっと長い間やってこられたことは、アメリカの構造改革に、シナリオにのったまま忠実にやってきたと。で、この間の国会で通ったね、障害者支援法というのはね、これは障害者虐待法ですよ」

― 国民の最大関心事は、社会保障、特に年金だが…
藤井

「総理大臣は、将来のこと言わない総理大臣ってちょっとまずいと思いますよ。要するに、ぶち壊す、あるいはぶち壊そうとしている。それはいいですよ。だけど、その将来がどういう姿かと言わなければね、ぶち壊すことによって、今、野中さん言われたように犠牲者がいっぱい出るわけですよ。その最後のあかつきにはこういうことがあるんだという事によって、初めて何らかの救いがあるわけでしょ。それ、全く無いですね。私は消費税上げないというのはいいですよ。経済悪いんですから。だけど、将来は、社会保障が安定する為には消費税がどうしても必要だと、いうことですね。消費税という言葉は嫌なら、高齢者社会保障保険料という名前にしたっていいと思う。目的税化してくらいの事を言っていますがね、それをね、言わないという総理大臣はおかしいと思います。やっぱり…」

― 省庁再々編を竹中さんなんかは言い始めているが…
野中

「あの人、総務大臣になって、内閣にあったやつを、諮問機関を3つ程、自分の人脈にばっかり重ねて、審議会作って、成果を得て次につなげようということを考えているけれども…。非常に危険な考え方ばっかりで…。しかも、完全なアメリカの市場原理にのった考え方で、今日も見ていたら、自治体の自己破産、なんてね新聞の見出し見てね思っていました。知事会だって、生活保護費を守る為に、三位一体なんていう言葉にふーっとおされて交付でがたっとおろされたわけですね。まあ、危ない改革の方向だけ、方針だけをやられておると…。だからこんなものに国会がね、はい左様でございますというイエスマンを出てきたら、やっぱりここで止める勇気ある人が出てこなきゃね駄目だと思いますよ」

― 防衛「庁」を防衛「省」に昇格させるという法案は…
藤井

「内容的にいいますと、法案提出権とかそういう次元の話ですが、これシンボリックな意味がありますよね。特に大事なことはね、今、小泉内閣で非常に怖い事態が起こりつつありますね。要するにあの人の言動がですね、世の中全体の雰囲気を、なんか軍事国家的にしていこうというようなニュアンスがあるわけですね。そこにこれをやるっていう事が、非常にそれを加速するんだと思うんです。私は、内容的にはシンボリックな意味だと思いますよ。思いますけれど、そのことが今ある一つのムードを、変な方向にますます加速化していくのではないか、ということでおかしいと思いますね。こういう時期にこういうものをあえてもって、特に、中国が、僕は、友達ですよ、党なんて何も関係ない。『小泉外交は0点だ』と言ったんです。『お前、そんな甘いこというな』と言ったんですよ。『マイナス何十点と言え』と、いう位大変なんですね今。そのときにこれをやるということの意味ですよ」

野中

「私も同感ですよ。第一、憲法前文と、9条からいって、防衛省なんて作られっこないし、自衛軍なんて作れっこないんですよ。内閣府に庁としてあって、初めて内閣総理大臣のシビリアン・コントロールがきくということであって、今の憲法で、前文と9条を見たらですね。軍なんてできっこないし、庁という形で、省にすることによって予算編成権や単独行動権を持とうなんて、これはね、恐ろしい考え方で、わが国の根底を揺るがすことになる。私は非常に危険な法案を考えている。その流れがずーっとでてきているのは怖いですね」




 
   
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