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 第八十回 ('05年12月4日放送)
  「『小泉政治』どこかおかしくなっていないか…」

  ゲスト: 堺屋太一 氏 / 加藤紘一 氏

ある日、住んでいるマンションが天井から崩れてくるかもしれないと知らされる。それが一箇所だけでなく、全国に広がっていたという今回の耐震偽装問題。国民の生命、財産が脅かされる。これほどの問題ですが、郵政問題で、あれほど声を荒げていた小泉総理の怒りも、今回は伝わってきません。何故こんなことが起きるのかどこか政治がおかしくなっていないのか。加藤さんと堺屋さんにずばり裏側を語っていただきました。



― 耐震強度偽装問題は…
加藤

「まだ、これ誰が問題かっていうのは、…まあ、みんな問題なんだけれども、どこが焦点かっていうのはわからないですね。ただ、これが、マンションの設計だったんだけども、航空機を造る過程だったとすると、ちゃんとボルトを設計してあるか、エンジンの力と、重さをどう計算したのかとかってやったら、こんな手抜きしたか、と。しないと思うんですね。だって、それやったら落ちるんですから。でも、今度の場合、震度5強でガラっといくわけでしょ?これは航空機の手抜きと同じくらい激しいことをやったわけですね」

岩見

「この検査機関というのは官から民へ移している訳ですね?」

堺屋

「これねえ、官がやろうが民がやろうが起こる問題だと思うんです。それで、普通に見て、他所の現場と違うとね、わかるはずなんですよ。それで、わかった人もいるはずなんですね。ところが、なんとなく言わないという、これが日本全体に、自民党も含めて、何か黙っていた方がいいや、という雰囲気が出ているんじゃないか…。これが、日本全体の制度疲労というか、雰囲気が、ファイトが低下している。分からなかったなんてイーホームズの人が言っていますけれどもね、こんなんわからないはずが無いんです」

― 「官から民へ」の弊害か…
加藤

「絶対に、こんな地震の手抜きなんていう事はしないだろう、という性善説に立っていた部分が官には無かったか、と。いずれにしろ官のほうが、この民間検査も含めて最終責任を持ってデザインするわけですからね。うまくいくようね。ですから、ここは本当に、官と民の線の引き方が難しいケースだったんでしょうね」

堺屋

「安全性は民営の方がずっと安全なんです。あらゆる例示、統計を見ますとね、官がやるほど危険なことはない。民はね、事故と公害ほど高くつくものは無い、と身にしみて知っているんですよ。だから、一つ事件を起こすとね、会社倒産するんですよ。だから必死なんです」

― 小泉総理は、この問題ではほとんど発言しないが…
加藤

「どういう事件なんだろうっていうことが小泉首相にわからないというか、ご当人もまだ様子が良くわからないのだと言っていますからね。ちょっと今、総理として発言するには早いと思います」

岩見

「だけど世間にこれだけ不安が広がっていますからね」

堺屋

「まあ、総理が事実関係と建築知識を、仕入れられる暇は必要だと思うんですよ。だから、しっかり勉強をして頂いて、間違いない、取り消しのない発言をする。それは、それで良いと思うんですけれでも…。やはり、大事な事件、しかもその底辺に、人々の黙るような雰囲気がある。このことをね、もうちょっと深く勉強してやってもらいたいですね」

― 総選挙後の自民党は、物言えぬ雰囲気になっていないか…
加藤

「色々みんな問題だな、と。どうも柱細そうだなと思っても、仲間内だし言わないほうがいいね…、みたいな事が、例えはうまくないのかもしれないけれども、自民党の中にもあります。物言えば、まあ…刺客が来るってことは無いが、しかし、いつ選挙あるかもしれないしね、みたいな雰囲気がありましたよね。それは、自民党が弱くなる。耐震能力が弱くなるということですから」

岩見

「そういう風にお感じになりますか」

堺屋

「非常に感じますよ。刺客の話から、みんなが怖がりだした。特に、昔と違ってね、出身地に関係なく送れるでしょ。そうすると、みんな怖いもんですから、黙るようになる。これは良くない事でね。もっと議論を活発にし、活発に議論する人を評価する世の中に変えてほしいんですね」




 
   
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