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 第七十四回 ('05年10月23日放送)
  「日本の政治は『思考停止』か・・・」

  ゲスト: 野中広務 氏 / 堺屋太一 氏

心の問題だからと言って靖国参拝をする小泉総理大臣。それに強く反発する中国と韓国。この靖国神社問題というのはいつまでも解決をしないのでしょうか。国内では人気の小泉政権ですが、近隣外交は悪化する一方です。この騒動を繰りかえしていくとこの先日本はどうなってしまうのでしょうか。



― 戦後の日中関係は・・・
野中

「戦争の賠償を求められなかった事が日本の今日の経済をここまで近代化する事が出来たんだという事。もう一つは、中国も日本の海外援助のおかげでこれが出来ました、あれが出来ましたというように広く国民に分かるようにして欲しいという事を(中国側に)言いました。そしたら、北京空港を始め多くの所に日本のODAでこれが出来ましたという事を表示してくれるようになってきてですね。良い関係になってきてたんですが・・・、不幸な状況だと残念に思いますね」

― 「靖国参拝問題」は世論が分かれているが・・・
野中 「我が国の独立は、やっぱりサンフランシスコ講和条約の11条の東京裁判で認めた事。それから独立になったという歴史的現実を国民が理解をしてくれるようにして、政界を中心に努力を教育の上でもしていかなければ、中国や韓国だけじゃなしに、アメリカも、イギリスもやがてそういう事を問題にしてくる予兆が出てきていますね、今・・・」

― 堺屋さんは、近隣外交だけじゃなくて、外交全体が方向性を見失いつつあると・・・
堺屋 「外交だけじゃなしに、日本全体は自分の国の理想というのを見失ってますよね。何故かというと、どんどん役人任せになったんですよ。外交なんて特にそうなんですが、外務省の中でも各セクション地域別・問題別で、また各省の中でも石油は経産省、漁業は農水省、BSEは農水省、バラバラになっているでしょ。各省が自分の所の主張だけするんですよ。そしたら、日本は何も譲歩しないという印象を受けているわけですね。外交というものは相手があるわけですからAは譲って、Bはと、Cは半分づつにする、Dは丸々貰う、Eは譲る、これが出来ない。やっぱり政治の主導がなくなってきた。大体、政治主導という言葉がなくなっちゃった。まぁ、官邸主導とは言いますけどね、官邸にいる官僚、あるいはごく少数の人達になって、政治がもっと活発に国会でも党でもこの外交問題を議論しなければならない。そうして国民の全国の人の世論を吸い上げて、今こそ21世紀に日本の国際的位置付けをつくらないけない」

― 小泉外交の4年半を振り返ると・・・
野中 「日本の持つ土台骨を完全に壊してしまったんじゃないですかね。私はそういう気持ちから、協力なリーダーシップ のように見えているけども、官僚が志しを持って、この国をどうしようというものを完全に奪っちゃって、無難に過ごしたらいいと思うようになっちゃってんですね。総理の秘書官のところに行っている秘書官、そういう人以外は各省から参事官が行っているけども、政務秘書官の横におって、電話に取り次ぎやってる。こんな官邸というのは見たことがないですよ。だから、もう何か言おうとしたら、お前逆らうのかと言われるから、ものを言わない方がいいと、こういうね事で一体この国をどういう国にしようとか、あるいは国家戦略をどう持っていこうかという議論が広く行われないところにね不幸があると思います」

― 自民党は大勝しましたけど、選挙後の政治をちょっとまぁ異常なところもあるんじゃないかと・・・
野中 「海部内閣の時に小選挙区制の選挙制度の改正を出したんですね。衆議院で通って参議院で否決されました。この時、中選挙区論者で徹底的して先頭に立っていたのが小泉さんなんです。そして、私たちはその横から一生懸命、やっぱり守旧派というレッテルを貼られながら、頑張って中選挙区制度で守ろうとしておりました。参議院で否決になったから、両院議長が調整しようとしたけど、小泉さんは、良識のある選挙制度に関係のない参議院で否決されたんだから、その総理は辞職すべきだと言うて、先頭に立って言ってましたよ。その通りだっていってね、やってたんですよね。今度も同じパターンなんでよ。それを両院議長のこうなんにも聞かずに、たちどころに解散、しかも言うこと聞かなかった農林大臣の島村さんはただちに罷免、罷免というのは大きい事ですよ。政治家にとりまして…。そして自分が兼務して解散でしょ。私は、憲法7条の解散をやったというのは、後世の批判に耐えられないだろうな思います。しかも、非公認そして刺客を立てる。そして、離党届けを出す人が流れに流されて、何とか救われたいと思って離党届けを出すというような状況というのはもう恐怖政治ですよ。周りにいる人が1人や2人、これはいけませんという人がいなければならん。政治の場ですから、それが殿ごもっともっというわけで、茶坊主衆と、どうしてこういう政治になったのかなぁと…」
堺屋 「小泉さんの任期の後にはもう財政問題、税制問題、団塊の世代の定年の問題、なにより行政の質をどうするかという、こういう大きな問題が目白押しになる時に壊す事だけに熱心だというのはねちょっと皆さん疲れるでしょうな、これは・・・」




 
   
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