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 第五十四回 ('05年5月29日放送)
  「高齢化社会・不安の処方箋」

  ゲスト: 塩川正十郎 氏 / 堺屋太一 氏

堺屋さんは団塊の世代という言葉の生みの親ですが、その団塊の世代およそ1000万人はあと2年で定年を迎え始めます、それだけにこの団塊の世代が今後どう生き、どう働くかが高齢化社会の不安を解く鍵となりそうです、今日は年金制度にも詳しい塩川さんと共に高齢化社会の処方箋についてじっくりとお話頂きます、司会は毎日新聞特別顧問岩見隆夫さん、私もお手伝いいたします、ではコマーシャルをはさんでドラマチックトークのスタートです。


― 団塊という言葉はどこで着想されたんですか?
堺屋 「鉱山の言葉で、私ちょうどその頃に鉱山石炭局、今の資源局にいましてね、それで鉱物がこう固まってあるところをノジュールって言うんですよ。これを日本語で団塊と訳しているんです。だから、一つの人口が大きく固まっているそして周囲と違った性格を持っている」

― 団塊の世代の特徴は?
堺屋 「まず第一に、戦争を知らない最初の世代なんですね、戦争と物不足を知らない、そして生まれた時にテレビがすでにあった、社会へ出た時は高度成長真っ最中、そして管理職になってバブル景気を経験して、そしてその崩壊50代になってその崩壊を経験した、だからね我々のね、ちょっと上の世代はね敗戦、終戦という倫理観の変更を経験したんですが、それをなしにずっとこうね一直線に豊かになった、右肩上がりの経済を満喫してきた」
塩川 「高度経済成長の全期間やってたわけですな、一番良いところだけ」
堺屋 「それで50になって、50になってがっくりきたというところがあるんでしょうね」

― 塩川さんは団塊の世代をどうご覧になりますか?
塩川 「日本の経済発展を支えた原動力になった人だと思います。ところが、もう極端に功利主義なんですね、それは従来の、前時代の人に比べてですよ。ですから、団塊の世代に人達が社会的にイニシアチブをとるようになってから考え方が変わったと思うんですね、合理的と言ったら良いですけど」

― 団塊の世代のこれからは?
堺屋 「今の人生80年時代でしょう。22歳から働いたら70歳まで働いて当たり前、一方教育年齢がどんどん延びてますから、それだけの教育でノウハウを蓄えた人が60で辞めるというのは勿体ないです」
塩川 「北欧では、定年を70歳に延ばしたでしょ、そうすると余剰労働力が出来てますね、それの調整は学生を6年生にしたんです。それから、もう一度社会に出た人が2年間学校へ帰って応用学を勉強するというような人材養成っていいましょうか、そういうようなものをかみ合わせて労働調整やってますね」

― 年金兼業型労働(年金を受け取りながら、定年前より給料が少なくとも「好きなこと」を仕事にして働く)を提唱しているが?
堺屋 「まず第一に、何が好きか分からない。例えば何十年か会社に勤められて、再就職の方は、例えば私は人事をやってました、だからどっかの人事をやりたい、ところがねAという大企業で人事してた人がBという中小企業で人事をやれるかといったら全然人脈が違うんですね、だから人好きかどうかなんですよ、人好きな人が人事に向いてるんで、人事部長をやってた人が人事に向いているわけじゃないですね、だから本当に人事が好きだったんですかという事がね問題なんですよね」

― 団塊の世代、お荷物論があるが?
堺屋 「金持ち、智恵持ち、時間持ちなんですよ、これ一番幸せ。もう一つは、60過ぎる支出が減ります、子育て終わりますからね。教育費用がいらない、それから家賃もだいたいローンも払い終わる。それから、親御さんは60歳以上の人は介護の手間もだいたいなくなります。そして衣服とか家具とかそんなに買う事がない、そうすると支出が減るのと年金が入るのとで相当給料が低くても今の年金兼業の考えますとね、そうとう給料が低くてもいい、給料が低いのを今の世の中ではね自分の価値が下がったように思う人がいるんですねそれは職場が変わって社内評価からマーケット評価に変わったというだけですからね、そこは十分に理解して…」


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