『居酒屋もへじ』

水谷豊&石井ふく子 第6弾!

インタビュー

高島礼子さん インタビュー

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―高島さん演じる市川ゆかりはどのような人物ですか?

愛する夫を亡くした辛さや悲しさを乗り越えるために、山口から上京した女性です。夫とはいい思い出しか残っていない、だからこそ忘れる事が出来ない……彼女の中では前向きに生きていこうという気持ちがあるのですが、そこから抜け出せない複雑な思いを抱えた人です。
最初に台本を読んだとき、ゆかりはもへじさんに対して失礼なことをしているな、と思ったのですが、実際に演じながら深く考えると、頭では考えていても思い通りにいかない人間の複雑さを感じました。人の死と向き合うとはそういうことなんだろうなと思いました。

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―高島さんは凛とした強い女性を演じることが多いですが、今回演じられるゆかりは少し違いますね。

そうなんです。『居酒屋もへじ』に出演させていただけることになって大変嬉しかったのですが、台本を読んでみて、とっても難しい役だなと思いました。ゆかりは不幸の影を背負っているけれど、暗いわけではない。無理に明るく振舞っているのかなとか、わざと笑顔を作っているのかなとか、私なりに色々と考えて清弘監督や石井プロデューサーに相談したところ、「影を背負っている事が見え隠れするような芝居をして欲しい。元気はつらつではなく。暗いのとは違う」と。もへじさんと出会ったことで明るさを取り戻す心の動き、しかし夫を忘れられないという想い……本当に難しく、とても悩みましたが、水谷さんをはじめ共演者のみなさん、スタッフのみなさんに助けられ演じることが出来ました。

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―水谷豊さんの印象はいかがですか?

水谷さんとは20年前に少しだけご一緒したのですが、きちんとお芝居をするのは今回が初めてです。水谷さんと共演して、私の想像とは違う、想定外のお芝居をされる方だなと思いました。それに釣られずに自分の芝居を通すか、その流れに乗った方がいいのか……女優として新鮮でしたし、別の私を引き出してくれそうな気がして、とても楽しかったです。具体的にどこが想定外なのかを伝えるのは難しいのですが……アドリブではなく、セリフを言った後の表情や仕草に、私自身の感情が引き込まれてしまうんです。このシーンはこんな風に演じるだろうと思っていると考えていると、それとは違うもへじさんがそこに居て。ゆかりとしては複雑であるべきなのに、高島礼子としてもへじさんを見ていると元気になったり、笑顔になったりしちゃうです。ですから、“こんなにも素敵な人を裏切っちゃいけない”という気持ちに切り替えて、ゆかりを演じました。水谷さんとのお芝居はとっても楽しかったです。「居酒屋もへじ」にお邪魔できて、本当に幸せです。

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