1968年8月15日、東京・目白にある「千登世橋」から投身自殺した早稲田大学4年生の青年がいた。沖縄出身の真喜屋実蔵は幼い頃、不発弾の爆発により失明するが、文学者を夢見て早稲田大学に進学。しかし、点字教科書は皆無で、同級生の塩谷治さんが独学で点字を習得するなどして学習を支援したが、真喜屋は留年し、精神的に追い詰められていく。そして終戦の日を選んで命を絶った。 真喜屋の死に強く影響された塩谷さんは、盲学校教師となり30年勤めて定年退職。3年前、がんで余命を宣告される中、実現したいことがあった。それは真喜屋から生前託された詩や短歌の製本だった。塩谷さんは真喜屋の遺稿を出版して間もなく、この世を去る。 番組は、戦後の不条理に朽ちた一人の青年の死が数奇な運命を辿る軌跡を描きながら、詩や短歌の背景に迫る。
ディレクター:照屋信之(RBC琉球放送)
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