沖縄県久米島。山の木々に囲まれた建物から、にぎやかな声が響く。「沖縄・球美の里」。福島第一原発の事故で被災した児童や親たちが、10日間前後を過ごす場所だ。里の目的は“保養”。放射能を気にすることのない環境で一定期間過ごすことで、ストレスの軽減や免疫力の向上を図る。子どもたちは、久米島の豊かな自然に囲まれ、様々な制限から解放された日々を送る。 球美の里がオープンしたのは、2012年7月。これまでに約900人の親子を受け入れてきた。運営を支えるのは寄付や募金だ。里を立ち上げたのは、フォトジャーナリストの広河隆一さん(70)。事故直後から、募金を集め、福島の市民団体に放射能測定器などを提供してきた。 支援に力を尽くすのは、過去の経験からだ。かつて取材で入ったチェルノブイリ原発事故から3年後の現場。被害に苦しむ人々を目の当たりにし、以来、救援活動を続けてきた。保養の取り組みも、その時に知った。救援の中でも救えなかった命…。「福島の子どもたちにも今、全力を尽くさなければ」。焦りは強い。 事故から3年。遠く南の島で続けられている“保養”の取り組みと、福島に向き合い支え続ける広河さんの姿を追う。
制作:RBC琉球放送
取材:野沢 周平 |
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