2011年8月に発覚した、名古屋市営バスの大量の事故隠し。名古屋市交通局の内部調査では、事故隠しは実に25 年以上に及び、この10年で少なくとも1989件に上っている。1日32万人が利用する163路線の「名古屋市民の足」に、一体何が起きているのか。 情報公開請求制度を利用し、文書2万枚、CD−R20枚を入手し、分析すると、市バス運転手の実態を収録したドライブレコーダーには、生々しい様子が刻まれていた。 職員数人への取材で得た証言からは、事故隠しだけではなく、長年にわたって交通局の組織に横たわってきた「闇」の存在が明らかになった。助役選考試験で交通局の労働組合・幹部たちの合格率が100%という事実も判明したのである。 一連の独自調査に基づく報道を行うと、呼応するように、2013年6月の名古屋市議会で議員による追及も始まり、ついに交通局長が議場で謝罪した。4758人が所属する巨大組織・名古屋市交通局が、いま大きく揺らいでいる。
制作:CBC中部日本放送
取材:木下 大(CBC報道部) |
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